📊 3行サマリー

  • 中国の長編アニメ映画『傘少女』の日本語吹替版が、2026年6月19日からグランドシネマサンシャイン池袋ほか全国の劇場で順次公開された。
  • 本国・中国では2024年7月に公開されたが、初日の興行収入は752万元、13日間で約1900万元どまりと振るわず、一方で口コミサイト・豆瓣のスコアは6.6と作画には支持が集まっていた。
  • 日本版はチンダイ役に石見舞菜香、ワングイ役に佐倉綾音、モーヤン役に梶裕貴という3人の人気声優を起用。佐倉は『羅小黒戦記』に続く中国アニメの吹替となる。

📝 中国アニメ『傘少女』、6月19日に石見舞菜香ら3声優の吹替で日本公開

中国発の長編劇場アニメ『傘少女(さんしょうじょ)』の日本語吹替版が、2026年6月19日からグランドシネマサンシャイン池袋などで順次公開された。原作は中国の漫画『傘少女夢談』。古代中国を舞台に、工芸品の修復を行う「秘宝閣」を中心とした物語だ。平和の象徴とされる傘・青唐傘に宿る精霊チンダイが、姿を消した刀の精霊ワングイを捜して、精霊を見ることのできる若き修復師モーヤンと旅に出る。

日本語版でチンダイを演じるのは、『フルーツバスケット』本田透役や『【推しの子】』黒川あかね役で知られる石見舞菜香。ワングイ役は『僕のヒーローアカデミア』麗日お茶子役などの佐倉綾音、モーヤン役は『進撃の巨人』エレン役などの梶裕貴が務める。池袋や川崎チネチッタなど一部の劇場では、吹替版に加えて字幕版も上映される。

📰 アニメ!アニメ!報道:制作は「咕冬動漫」、緻密な色彩が高く評価された一本

元ネタ美しすぎると話題!? 中国アニメ映画「傘少女」石見舞菜香×佐倉綾音×梶裕貴らが吹替担当(アニメ!アニメ! / 2026年4月28日)

唯一無二の色彩表現と緻密な作画、美しく作り込まれた世界観が高く評価され、中国公開後の2024年に日本でも「電影祭」にて1週間限定上映された。

制作は、近年のアジアのアニメ制作を引っ張るスタジオのひとつ「咕冬動漫」。日本では2024年の「電影祭」で字幕版が1週間だけかかり、短い上映ながら手応えのある反応が残っていた。今回はそこに豪華な声優陣を乗せ、全国公開という正式な形で戻ってきた格好になる。ワングイ役の佐倉綾音は、収録を振り返ってこんなコメントを寄せている。

それぞれの思惑が交錯するストーリーを彩るのは、とにかく美麗で、眺めているだけであっという間に時間が過ぎてしまう、息を呑むような色彩と映像美。収録しながら圧倒されてしまいました。

🔥 本国では初日752万元から急失速、「画は美しいのに票房は惨敗」の落差

ところが本国・中国での成績は、この評判とは裏腹だった。『傘少女』は2024年7月6日に中国で公開されたが、初日の興行収入は752万元、13日間でも累計約1900万元にとどまり、劇場アニメとしては厳しい数字に終わっている。中国メディアは「票房惨敗」と書いた。

面白いのは、作品そのものの評価は決して低くない点だ。口コミサイト・豆瓣のスコアは6.6で、とくに水彩画のような色づかいと作り込まれた美術には支持が集まった。背景には、中国の劇場アニメ市場が『哪吒』のような3DCG大作に大きく傾き、2Dの手描き寄りの作品が客席を埋めにくいという事情がある。絵の力で押し切ろうとした『傘少女』は、まさにその逆風をかぶった一本だった。

🎙️ 佐倉綾音は『羅小黒戦記』に続く中国アニメ吹替、相次ぐ日本上陸の受け皿に

注目したいのは、これが単発の出来事ではないことだ。佐倉綾音は中国アニメ『羅小黒戦記』のシャオバイ役も担当しており、中国作品の吹替はこれが初めてではない。直近でも中国発の3DCGアニメ『ナタ 魔童の大暴れ』が12月に吹替公開を控え、『転生宗主の覇道譚』『破産富豪』といった中国アニメが日本のテレビ・配信に次々と入ってきている。

つまり日本の声優と配給が、中国アニメの「日本での受け皿」になりつつある。本国でヒットしなかった作品でも、絵やキャラクターに見どころがあれば、日本のファン層と人気声優を頼りにもう一度勝負をかけられる。『傘少女』の全国公開は、その流れを象徴する一例と見ていい。

🇯🇵 中国でコケた美麗アニメが、日本の劇場で「もう一度」評価される構造

日本のアニメファンにとって、この公開は二つの意味で見逃せない。ひとつは純粋に、本国で埋もれかけた完成度の高い美術を、石見・佐倉・梶という耳なじみのある声で楽しめること。もうひとつは、海外アニメの評価が「本国の興収」だけでは決まらなくなってきたという変化を、肌で感じられることだ。

票房という物差しでは失敗作にカウントされた『傘少女』が、海を渡って別の観客と別の声を得て、もう一度スクリーンにかかる。日本の劇場やファンが、中国アニメの作家性を拾い直す側に回っているとも言える。気になった人は、評価の分かれたこの一本を自分の目で確かめてみてほしい。公開はグランドシネマサンシャイン池袋ほか全国で、一部劇場では字幕版も上映されている。