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【サウジアラビア】カプコンのストリートファイター6など16タイトルの国別対抗戦が丸1年の延期。日本代表の予選ルートは未定に

編集部
吉沢まことVelleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
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【サウジアラビア】カプコンのストリートファイター6など16タイトルの国別対抗戦が丸1年の延期。日本代表の予選ルートは未定に

3行サマリー

  • Esports Foundationが8月18日、第1回Esports Nations Cupをサウジアラビア・リヤドで今年11月に開くはずだった予定を、2027年11月へ丸1年延期すると発表しました。
  • 100を超える国と地域、16タイトルが参加する国別対抗戦で、EA SPORTS FCでは17万人超の応募から57人が、Apex Legendsでは39チームがすでに出場権を得ています。
  • 16タイトルのうち日本生まれはカプコンの『ストリートファイター6』とSNKの『餓狼伝説』の2本。日本代表の予選ルートをどう組み直すかは、8月19日時点で示されていません。

Esports Foundationが第1回大会の2027年11月への延期を発表

eスポーツの国別対抗戦「Esports Nations Cup(ENC)」を主催するEsports Foundation(EF)は8月18日、2026年11月にサウジアラビアのリヤドで開く予定だった第1回大会を、2027年11月に延期すると発表しました。理由として挙げたのは「より広い地域情勢についての継続的な評価」と、主要な関係者との協議です。

ENCは、選手が所属クラブではなく自分の国や地域を背負って戦う大会として設計されました。100を超える国と地域が公式パートナーの資格をすでに得ていて、EFはこれを「前例のない国際規模」と表現しています。公式サイトによれば、応募は152を超える国と地域から630件以上にのぼりました。競技タイトルは16。Apex Legends、CS2、Dota 2、EA SPORTS FC、League of Legends、VALORANT、PUBG、Honor of Kingsなどが並びます。

公式発表は「責任ある判断」、Al-Monitorは米国とイランの紛争を理由に挙げた

出典Esports Foundation Postpones Inaugural Esports Nations Cup to November 2027(Esports Nations Cup 公式プレスリリース / 2026年8月18日)

出典Iran war hits Saudi gaming drive as Esports Nations Cup pushed to 2027(Al-Monitor / 2026年8月18日)

The decision to postpone the Esports Nations Cup was not taken lightly.(Esports Nations Cupの延期は、決して軽く下した判断ではありません)

EFのラルフ・ライヒャートCEOはこのように述べたうえで、「適切な条件のもとで、この構想にふさわしい水準の第1回ENCを届ける責任がある」と続けました。公式発表は延期の背景を「より広い地域情勢」としか書いていません。中東を専門とするAl-Monitorは同じ8月18日の記事で、これを継続中の米国とイランの紛争によるものだと報じています。

リヤドは今年、eスポーツ世界大会もF1も予定どおりに開けていない

ENCの延期は、単独の出来事ではありません。Al-Monitorが並べたところによれば、サウジアラビアでは今年、国際的なイベントの中止と延期と移転が続いています。7月にリヤドで開くはずだったEsports World Cup(EWC)はパリのアコー・アリーナへ移り、4月にジェッダで予定されていたF1サウジアラビアGPは新しい日程を出せないまま中止になりました。サウジ映画祭は4月下旬から6月末へずれ込み、世界最大級の技術イベントLEAPは4月から8月下旬へ、サウジ資本市場フォーラムは4月から2027年3月へ動いています。

EWCについては、当ブログでも7月にパリで開幕した経緯を取り上げました。同じ主催団体が、クラブ対抗のEWCを国外に逃がし、国別対抗のENCは1年待つという選択をしたことになります。ENCについては昨年10月に、サウジアラビアが国際オリンピック委員会との12年間のオリンピックeスポーツゲームズ開催契約を解除した経緯もあり、リヤドを舞台にした大型eスポーツ計画は2年続けて予定どおりに進んでいません。

EFは発表文で「サウジアラビアはイベントを開催する能力を十分に備えており、主要なスポーツ・エンターテインメントのイベントは予定どおり続いている」と明記しました。開催地としての適格性を否定する趣旨ではない、という立て付けです。

HLTVでは「予想どおり」が最多、予選を勝ち抜いたチームを惜しむ声も出た

海外のコミュニティの受け止めは、驚きよりも既視感が勝っていました。CS2の情報サイトHLTVが8月18日に掲載した記事には、8月19日15時30分(日本時間)時点で68件のコメントが付いています。最も多くの支持を集めたのは「expected(予想どおり)」という一言で、57票が入っていました。EWCのパリ移転を見ていた層にとって、ENCの延期は織り込み済みだったことがうかがえます。

実務的な懸念も出ています。ベルギーのユーザーによる「Feel bad for the mix teams that qualified.(予選を勝ち抜いた混成チームが気の毒だ)」という書き込みは、来年になれば今の顔ぶれのままでは意味を持たないかもしれない、という指摘でした。プロチームは1年あればメンバーが入れ替わります。歓声より先にこの心配が出てくるあたりに、この1年の重さが出ていると受け止めました。EF自身も「今後数週間で、競技カレンダーと予選ルート、新しいスケジュールがもたらすその他の影響について明確にする」としており、HLTVの記事はここから予選のやり直しが起きる可能性を読み取っています。

一方で、コメント欄の上位にはサウジ資本への反発や地政学をめぐる一行の書き込みも目立ちました。SNKの『メタルスラッグ』30周年の米国チャリティー大会がサウジ資本への反発で3時間で撤回されたときと、根の部分は同じです。競技としての価値と、資金の出どころへの目線が、この大会にはいつも同時に向いています。

16タイトルのうち日本発は2本。スト6と餓狼伝説の代表枠が宙に浮いた

日本の読者にとって直接効いてくるのは、競技タイトルの中身です。ENCの16タイトルのうち、日本の会社が作ったのはカプコンの『ストリートファイター6』とSNKの『餓狼伝説』の2本。公式サイトのパブリッシャー一覧にも、Chess.com、MOONTON Games、Electronic Arts、Krafton、Ubisoftと並んでSNKの名前が入っています。当ブログでも6月にスト6がENCの正式種目に決まったことを、7月には日本代表4人が優勝候補に挙がっていることをお伝えしていました。その11月が、まるごと来年に動いたことになります。

格闘ゲームは日本の選手層が厚く、国別対抗という形式では有利に働くと見られていた種目です。日本代表を組む側から見れば、選手のコンディション調整も、スポンサーとの契約期間も、1年ずらして引き直すことになります。EFは既存のENC開発ファンドの各国パートナーへの拠出は維持すると明言しましたが、すでに得た出場枠が2027年にそのまま持ち越されるのかどうかは、発表文のどこにも書かれていません。ここは今後数週間の続報を待つしかない、というのが8月19日時点の正直なところです。

1年の猶予で問われるのは、開催地の安全よりも国別対抗という枠組みの説得力

ENCは隔年開催で、第1回のあとは開催都市を世界各地に回していく構想でした。リヤドでの第1回は4週間のeスポーツフェスティバルの一部として設計されています。その第1回が1年動いたことで、大会が背負う課題は「いつ安全に開けるか」から「1年空けても国別対抗という枠組みに人が残るか」へ移りました。

クラブ単位で回ってきたeスポーツに、国旗を背負う文脈をあとから足すのがENCの狙いです。その熱量は、選手が「今年こそ代表になる」と思える連続性の上にしか積み上がりません。17万人が応募したEA SPORTS FCの予選も、152の国と地域から届いた630件の申請も、いまはまだ形になっていない期待の量です。それを1年つなぎ止められるかどうかを、EFは自分で確かめにいくことになりました。

編集部
吉沢まこと
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。