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【イギリス】是枝裕和の実写『ルックバック』、10月のロンドン映画祭で最優秀作品賞を争う10本に選出。日本の作品はこの一本だけ

編集部
吉沢まことVelleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
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【イギリス】是枝裕和の実写『ルックバック』、10月のロンドン映画祭で最優秀作品賞を争う10本に選出。日本の作品はこの一本だけ

3行サマリー

  • 第70回BFIロンドン映画祭(10月7日〜18日)の最優秀作品賞を争う10本に、是枝裕和監督の実写映画『ルックバック』が選ばれました。BFIが8月17日に発表しています
  • 10本の製作国は10か国にまたがり、日本の作品はこの一本だけ。受賞作の発表は最終日の10月18日です
  • 世界初上映は9月2日から12日の第83回ヴェネチア国際映画祭で、こちらもコンペティション部門の20本に入りました。日本公開は9月11日です

実写『ルックバック』、ロンドン映画祭で最優秀作品賞を争う10本に入った

英国映画協会(BFI)は8月17日、第70回BFIロンドン映画祭のオフィシャル・コンペティション部門に選んだ10本を発表しました。そのなかに、是枝裕和監督が藤本樹の読み切り漫画『ルックバック』を実写化した作品が入っています。会期は10月7日から18日まで。最優秀作品賞は最終日の10月18日、審査員によって決まります。

BFIの発表によれば、10本の製作国はイギリス、アイルランド、ブラジル、デンマーク、フランス、ドイツ、ハンガリー、イタリア、日本、ポーランドの10か国。つまり日本からの選出はこの一本だけです。上映プログラムの全容は9月2日に発表され、一般チケットの発売は9月17日から始まります。

BFIの発表文:賞を争うのは10本、勝者が明かされるのは10月18日

出典Official Competition films announced for 70th BFI London Film Festival(BFI / 2026年8月17日)

出典Hirokazu Kore-eda In Competition At London Film Festival(Deadline / 2026年8月17日)

Ten films will compete for Best Film at the 2026 BFI London Film Festival Awards.

(訳:10本が2026年のBFIロンドン映画祭アワードで最優秀作品賞を争う)

BFIは今回のコンペティションについて、フィクションからドキュメンタリーまで語りの幅がきわめて広い顔ぶれになったと説明しています。過去にこの映画祭へ招かれてきた監督と、初めて参加する監督が同じ土俵に並ぶ布陣です。

ヴェネチアの20本にも入り、日本公開9月11日を挟んで海外の評価が動く

『ルックバック』はまだどこでも一般公開されていません。世界初上映の場は、9月2日から12日に開かれる第83回ヴェネチア国際映画祭。こちらも金獅子賞を争うコンペティション部門です。ヴェネチア・ビエンナーレの公式サイトによると、コンペティションの出品は20本。うち日本が製作に関わるのは『ルックバック』と塚本晋也監督作の2本で、日本単独の製作はこの作品だけでした。上映時間は100分と記載されています。

そのあと9月11日にK2 Picturesの配給で日本公開を迎え、北米プレミアはトロント国際映画祭になると海外の業界メディアが報じています。10月にロンドンでコンペティションに臨み、10月18日に結果が出ます。アメリカ、カナダ、イギリス、アイルランドの配給はGKIDSが担当し、年内の劇場公開を予定しています。

順番を並べると、ヴェネチアとトロントの評価が先に立ち、日本の観客の感想はそのあとに重なる構図です。国内の口コミが形になる前に、海外の批評がひととおり出そろう。日本の作品としては、珍しい順番だと感じます。

日本のXで流れているのはサントラと公開日。映画祭のコンペ入りはほとんど届いていない

この選出が海外と日本でどれくらい届いているのか、当編集部でXの反応を実際に数えてみました(2026年8月19日午後・日本時間の時点)。

米アニメ専門媒体Anime News Networkの公式アカウントが8月18日に投稿したロンドン映画祭の記事は、表示1.5万回に対していいね35件、リポスト5件、返信1件。北米配給を持つGKIDSの公式アカウントがBFIの発表を引用した投稿は、表示5,432回でいいね36件、返信3件でした。フランスの映画メディアが同じ内容を紹介した投稿は表示119回。日本語では映画祭情報を扱うアカウントの投稿が表示265回にとどまっています。公式筋がきちんと伝えている一方で、ファンの側が沸いている数字ではありません。

日本語で「ルックバック 実写」を最新順に追うと、直近数時間の投稿は坂東祐大によるサウンドトラックの発売告知、メイキング写真が解禁されたこと、「もう来月なんだ」という公開日の話が中心でした。映画祭のコンペティション入りに触れる投稿はほとんど見当たりません。日本では「9月11日に観られる映画」として受け止められていて、賞レースの文脈はまだ乗っていない、というのが観測した限りの印象です。

アニメ版で世界に届いた読み切りが、今度は実写で映画祭の土俵に乗る

原作は2021年に少年ジャンプ+で公開された読み切りで、Anime News Networkによれば公開初日の閲覧数は250万を超えました。2024年には押山清高監督・スタジオドリアン制作で60分のアニメ映画になり、国内外で高く評価されています。台湾では8月27日からアニメ版が再上映され、実写版も9月11日に日本と同時公開されます(関連記事)。

今回の実写版は、W主演の出口夏希と蒔田彩珠に加え、子ども時代を七瀬ふうりと岡田六花が演じ、菅田将暉や宮藤官九郎らも出演します。是枝監督は脚本と編集も自ら手がけました。マンガ原作の実写映画が、ヴェネチアとロンドンという2つのコンペティションに同じ年で入るのは、日本の作品としてかなり異例です。是枝監督という作家の名前が入り口になり、原作の知名度が後押しした形だと受け止めました。

海外の劇場で日本の漫画作品が数字を出すことは、この数年で珍しくなくなりました。ただし賞レースの土俵に上がるとなると話は別で、そこは長く実写の作家性が評価される場所でした。『ルックバック』はその境目に立っています。10月18日にロンドンで名前が呼ばれれば、日本の漫画が海外でどう評価されるかを測る物差しが1つ増えます。

編集部
吉沢まこと
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。