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【アメリカ】任天堂『スーパーマリオ』の未知バージョン97本が倉庫から発見。史上初の満点鑑定が付き、8月12日に競売開始

編集部
吉沢まことVelleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
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【アメリカ】任天堂『スーパーマリオ』の未知バージョン97本が倉庫から発見。史上初の満点鑑定が付き、8月12日に競売開始

3行サマリー

  • 米ウィスコンシン州のレトロゲーム店で、未開封の『スーパーマリオブラザーズ/ダックハント』97本が箱ごと発見。記録のない未知のバージョンでした
  • 鑑定会社PSAは97本のうち5本に満点「PSA 10」を付与。NESカートリッジへの満点は史上初です
  • 8月12日から米Goldinオークションで3本の競売が開始。箱には「NESカセット 組立済 100個」と日本語の出荷ステッカーが残っていました

未開封の『スーパーマリオブラザーズ/ダックハント』97本、ウィスコンシン州の店の倉庫に眠っていた

米ウィスコンシン州ウォーキシャのレトロゲームショップ「OneStopWonders」の倉庫から、未開封の『スーパーマリオブラザーズ/ダックハント』合体カセットが97本、出荷時の箱ごと見つかりました。NES(米国版ファミコン)に同梱されていた、米国でいちばんありふれたはずのソフトです。ところがラベルも説明書も基板も、コレクターの誰も記録したことのない仕様でした。鑑定会社PSAは97本のうち5本に満点の「PSA 10」を付け、これはNESカートリッジとして史上初の満点になります。現地時間の8月12日からは競売大手Goldin Auctionsで、満点の1本を含む3本のオークションが始まります。店主が1本14.99ドルで店頭に並べようとしていた箱が、数週間で「ゲーム史の発見」に変わった話です。

発見者は任天堂専門メディアの編集長。投稿から15分で鑑定会社2社が動いた

出典We discovered a new variant of Super Mario Bros.(Nintendo Wire / 2026-07-29)

出典Rare Nintendo cartridges found in storage could be worth millions(ABC7 Chicago / 2026-08-09)

What I had found wasn’t just a box of pristine Super Mario Bros./Duck Hunt cartridges. It was an undocumented, never before seen variant.(見つけたのは、単にきれいな『スーパーマリオブラザーズ/ダックハント』の箱ではありませんでした。記録のない、誰も見たことのないバリアントだったのです)

発見の当事者は、任天堂専門メディアNintendo Wireの編集長ジェイソン・ガノス氏です。店主ケビン・ブラウン氏との雑談で「金の回収業者から流れてきた古い箱」の存在を知り、倉庫のハロウィーン飾りの下から引っ張り出したと、経緯を自身の記事で写真付きで公開しています。カセットの写真をコレクター向けFacebookグループに投稿すると、15分ほどで別々の鑑定会社2社のディレクターから「この個体は何かがおかしい」と連絡が届いたそうです。全部買い取りたいという申し出と、偽物だと断じる声が同時に押し寄せたというくだりには、コレクター界隈の熱量がよく表れていますね。鑑定したPSAのビデオゲーム部門責任者クレア・シェルトン氏はIGNの取材に「衝撃でした。できすぎていると感じたほどです」と話しています。

説明書の一語の違いと「9340」の刻印。販売終了後の1993年第40週に、なぜ作られたのか

未知のバージョンだと確定させた手がかりは、拍子抜けするほど小さなものでした。既知の説明書が「maintenance or repairs」と書く箇所を、今回の説明書は「maintenance or service」と書いています。カセット背面のラベルは英語のみだった既知仕様と違って多言語表記で、基板の製造コードは「9340」、つまり1993年第40週を示していました。これまで知られていた最終生産より2年も後です。同梱バンドルの販売はとうに終わっていた時期で、保証交換用の補充在庫だったか、実現しなかったバンドル向けだったか、というのが発見者側の推測です。製造の経緯について任天堂はコメントを出していません。

この箱がここまで無傷で残った経緯も、売り主の説明に沿うと数奇です。売り主の祖父は基板から金を回収する業者を営んでおり、任天堂から溶解処分のために引き渡された在庫が、処分されないまま20年以上ガレージに置かれていたとされています。この由来は売り主側の話で、任天堂側の確認は取れていません。ただ、箱に残る1995年12月19日付の出荷ラベルと「Mario – Hunt Remanufactured NES」「数量100」という内容表記は実物として記録されており、97本という現存数は「途中で3本だけ箱から抜けた」ことまで教えてくれます。

箱の日本語ステッカーが出発点を示す。日本で組み立てられ、シアトルの任天堂へ送られていた

日本の読者として引っかかるのは、箱に貼られていた日本語のステッカーです。書かれていたのは「NESカセット 組立済 100個」。つまりこの100本は日本で組み立てられ、米国任天堂(当時シアトル拠点)へ出荷されたものでした。日本のファミコンには『スーパーマリオブラザーズ』と『ダックハント』の合体カセットは存在せず、海外市場だけのための仕様です。日本で作られたのに日本では一度も売られず、30年後にウィスコンシンの倉庫で「史上初の満点」を取ったカセット、という巡り合わせになります。

相場の面でも他人事ではありません。未開封レトロゲームの高騰はABC7が過去に報じた未開封『スーパーマリオブラザーズ』の66万ドル落札などで知られており、今回は「未記録バリアント」かつ「満点」という上乗せが付きます。今回の競売は現地時間8月12日開始・期間約3週間で、落札額は9月上旬に確定する見込みです。そして今回の教訓は日本側にこそ刺さります。世界でいちばん量産され、いちばん研究されてきたマリオですら、未記録の版が箱ごと眠っていました。日本の問屋や家庭の倉庫にも、まだ値札の付いていない「デッドストック」が確実に残っています。

15ドルで売られかけた97本が、ゲーム保存の議論と相場を動かす

今回の発見が示したのは、最も量産された定番ソフトですら記録の穴があるという事実です。発見者らは97本の一部を手元に残し、一部は慈善オークションに回す計画も明かしています。金の回収のために溶かされる寸前だった箱が、結果としてゲーム保存の側に戻ってきたことが、個人的にはいちばんの朗報だと感じました。現地時間8月12日に始まる競売の落札額は、未開封レトロ市場の現在地を測る新しいものさしになります。結果が出た時点で続報をお届けします。

編集部
吉沢まこと
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。