【フランス】任天堂『マリオカートツアー』9月30日で完全終了。日米に次ぐ3位市場フランスで「ゲームを殺すな」の声が再燃

3行サマリー
- 任天堂がスマホ向け『マリオカートツアー』を2026年9月30日に終了。オフライン版なし、有料通貨ルビーの返金もなし
- 累計2億ダウンロード・収益2億ドル超。フランスは世界支出の7.3%を占め、アメリカ・日本に次ぐ3位市場だった
- 『どうぶつの森 ポケットキャンプ』はオフライン版が残ったのに今回はゼロ。この落差に仏ファンが反発し、署名129万筆の「ゲームを殺すな」運動が再燃
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任天堂、『マリオカートツアー』を9月30日に終了。オフライン版も返金もない「完全消滅」
任天堂が7月8日、スマホ向けレースゲーム『マリオカートツアー』のサービスを2026年9月30日(フランス時間の朝8時)に終えると発表しました。2019年9月の配信開始から7年。サーバー接続が必須の設計なので、終了後はアプリそのものが起動しなくなります。公式FAQには「オフライン版の配信予定はありません」と明記されました。有料通貨ルビーの販売はすでに停止済みで、未使用分の返金もなし。ただ消えるだけ、という終わり方です。
Puissance Nintendo報道:フランスは世界支出の7.3%、日米に次ぐ3位市場だった
元ネタ:Mario Kart Tour ferme définitivement ses serveurs le 30 septembre 2026(Puissance Nintendo / 2026年7月8日)
Avec 7,3 % des dépenses mondiales, la France se classait troisième marché du jeu, derrière les États-Unis et le Japon. Voilà qui confirme notre attachement à la franchise.
訳すと「世界支出の7.3%を占めるフランスは、アメリカと日本に次ぐ3位の市場だった。この数字が我々のマリオカート愛を裏付けている」。フランスの老舗任天堂ファンサイトPuissance Nintendoは、Sensor Towerの推計を引きつつ、この順位を「国民的な誇り」と紹介しました。作中には実在の都市を走る「パリツアー」コースもあり、エッフェル塔や凱旋門の前をマリオで走れる数少ないゲームでした。フランス人にとっては自国が舞台のマリオカートでもあったわけです。
初週9,000万ダウンロードの最速記録から7年。新規コンテンツは2023年10月に止まっていた
2019年9月の配信直後、初週だけで約9,000万ダウンロード。当時の任天堂モバイル史上最速の立ち上がりでした。累計では2億ダウンロードを超え、収益は2億ドル以上。ただし新規コンテンツの追加は2023年10月4日で終わっていて、以降の約3年間は既存ツアーの使い回しが続いていました。
とどめを刺したのはSwitch 2の『マリオカートワールド』でしょう。2026年3月末時点で1,470万本とシリーズ最速の売れ行きで、任天堂のリソースは完全に据え置き機へ戻っています。月額5.49ユーロだったゴールドパスは新規受付を終了し、8月4日からは全プレイヤーに無料開放。最後の3カ月だけ、全員が200ccで走れます。
仏メディアの追悼と怒り:「僕の避難所だった」、矛先は『ポケットキャンプ』との落差へ
仏最大級のゲームサイトjeuxvideo.comの記者は「僕のNintendoの避難所だった。消えてしまうのは心が張り裂ける。スマホで途方もない時間を過ごした」という一人称の追悼記事を出しました。Gameblogの見出しはもっと直球で「7年を経て、任天堂はこのマリオのゲームを死なせる。プレイヤーはすべてを失う」。
そして現地フォーラムやRedditで繰り返されているのが『どうぶつの森 ポケットキャンプ』との比較です。ポケットキャンプが2024年にサービスを終えたとき、任天堂は買い切りのオフライン版「コンプリート」を出し、今でも遊べる形を残しました。マリオカートツアーには、それがありません。「サーバー依存を外したオフライン版が技術的に作れることは任天堂自身が証明した。やらないのは商売上の判断だ」という批判がお決まりのように並びます。「2019年から遊んでいたけど、2ユーロしか課金しなくてよかった。何百ユーロも使った人には悪夢だ」という声もあれば、ガチャ時代の搾取的な設計を挙げて「いっそ清々する」と突き放すプレイヤーもいます。
『ザ・クルー』訴訟の国フランス。129万筆のEU請願が否決された3週間後の発表だった
フランスは「ゲームを殺すな(Stop Killing Games)」運動の震源地です。2024年、仏Ubisoftがレースゲーム『ザ・クルー』のサーバーを止めて遊べなくしたことをきっかけに運動が始まり、2026年3月には仏消費者団体UFC-Que ChoisirがUbisoftを提訴しました。この裁判は今も続いています。
EU全体では「ゲームの破壊をやめろ」という市民請願に129万4,188筆の署名が集まりましたが、欧州委員会は6月16日、法制化を見送りました。その3週間後に飛び込んできたのが、2億ダウンロード級では過去最大となる今回の終了発表です。運動側から見れば「規制がないから消される」の見本のようなタイミングで、仏メディアが単なるサービス終了ニュース以上の熱量で報じているのはこの文脈があるからです。
7年分の課金とコレクションが消える。「基本無料」の持ち物は誰のものか
9月30日、7年分のドライバーもマシンも走行記録も消えます。残す手段はスクリーンショットだけ。日本でもスマホゲームのサービス終了は日常になりましたが、「集めたものは自分の持ち物ではなかったのか」という議論がここまで政治や裁判に発展するのは、世界3位の市場だったフランスならではの温度です。個人的には、ポケットキャンプ方式の買い切り版を出さなかった今回の判断は、運動側に格好の実例を与えたと思います。日本のスマホゲーマーにとっても、これは対岸の話ではないはずです。
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