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【台湾】スクウェア・エニックスのドラクエ、台湾だけのコラボ企画が京都の賞で総合グランプリ。71作品の頂点に

編集部
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
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【台湾】スクウェア・エニックスのドラクエ、台湾だけのコラボ企画が京都の賞で総合グランプリ。71作品の頂点に

3行サマリー

  • 台湾の朝食チェーン拉亞漢堡とスクウェア・エニックスの企画『LAYA QUEST 台湾朝食の伝説』が、2026年9月19日の京都アニものづくりアワード2026で総合グランプリとインターナショナル部門金賞を受賞した。
  • 今回はのべ71作品のノミネートから19作品が表彰され、6部門の上に置かれる総合グランプリは1席だけ。2017年創設の同賞で、2024年の総合グランプリは米マクドナルドの『WcDonald’s』だった。
  • 受賞した企画は2026年5月19日から8月10日までの84日間、台湾限定で実施された。目玉の「拉亞國王史萊姆」はスクウェア・エニックス日本本社との共同開発だが、日本では展開されていない。

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台湾の朝食チェーンのドラクエ企画が、京都アニものづくりアワード2026で最高賞を取った

台湾で朝食チェーンを展開する拉亞漢堡(ラヤバーガー)が、スクウェア・エニックスの『ドラゴンクエスト』と組んだ企画『LAYA QUEST 台湾朝食の伝説』で、京都アニものづくりアワード2026の総合グランプリを受賞しました。授賞式は2026年9月19日、京都国際マンガ・アニメフェア2026(京まふ)の会場であるみやこめっせで行われています。

この賞は、アニメやマンガ、キャラクターを使った企業のタイアップ商品・広告・プロモーションを表彰するもので、実行委員会が2017年に設立しました。拉亞漢堡は総合グランプリに加えて、インターナショナル部門の金賞も獲得しています。巴哈姆特GNNは、同賞の創設以来、総合グランプリを取った台湾ブランドは今回が初めてだと報じています。朝食チェーンが日本のアニメ賞の最高位に立つという組み合わせは、受賞一覧を眺めていて素直に意外でした。

実行委員会は「グランプリは、インターナショナル部門から『LAYA QUEST 台湾朝食の伝説』に決定」と発表

出典:アニものづくりアワード実行委員会 プレスリリース(財経新聞 / 2026年9月23日)

出典:台灣首例!拉亞漢堡攜手《勇者鬥惡龍》奪京都動畫製造大獎最高榮譽(巴哈姆特GNN / 2026年9月24日)

受賞結果はアワード公式サイトの2026年受賞一覧にも掲載されています。受賞を受けて、拉亞漢堡の徐沛源執行長は次のようにコメントしました。

自己喜歡、也認真投入的事情得到肯定,對我來說特別有意義(自分が好きで、真剣に取り組んだことが認められたのは、私にとって特別な意味がある)

徐執行長は『ドラゴンクエスト』を中学生のころから遊んでいたとも話しており、企画が担当部署の発案にとどまらなかったことをうかがわせます。

のべ71作品から19作品、その上にひとつだけ置かれるのが総合グランプリ

この賞が「台湾の朝食チェーンのキャンペーン」に最高賞を出したことの意味は、選考の構造を見ると分かりやすくなります。2026年は6部門にのべ71作品がノミネートされ、19作品が表彰されました。部門賞の上に総合グランプリが1席だけ置かれる形で、拉亞漢堡はその1席を取っています。

では、なぜ飲食店のキャンペーンが表彰対象になるのか。この賞が評価するのは作品そのものではなく、アニメやゲームのIPを使って企業が何を作ったかです。実行委員会は、質の高いコラボコンテンツを増やすことを設立の目的に挙げています。つまり審査されているのは「ドラゴンクエストが面白いか」ではなく「ドラゴンクエストの使い方がうまかったか」でした。

海外勢の受賞自体は初めてではありません。2024年の総合グランプリは、米マクドナルドが30カ国で展開した『WcDonald’s』キャンペーンでした。日本のアニメ文化を自社ブランドに取り込んだ企画が最高賞を取る流れは、すでにこの賞にできていたわけです。

出現率4%の隠しカップが、巴哈姆特に「交換しませんか」の書き込みを生んだ

受賞企画の中身は、販促物を並べただけのものではありませんでした。核になったのは「拉亞國王史萊姆」という台湾限定キャラクターです。スクウェア・エニックス日本本社と共同で開発され、王冠をかぶったスライムとして台湾のみに登場しました。

店頭では、スライムの乳酸ソースを使ったメニュー、コラボドリンクカップ、スライム型の保温バッグ、6種のスライムメニューを載せる皿などが展開されました。ペット用のかぶりもの「拉亞國王史萊姆」は169台湾ドルの追加購入品です。ドリンクカップには隠しバージョンが仕込まれ、出現率は約4%とされていました。

この4%が、店頭のキャンペーンを収集ゲームに変えています。台湾最大のゲームコミュニティ巴哈姆特のドラゴンクエスト掲示板では、企画初日の5月19日にスレッドが立ち、その後も断続的に書き込みが続きました。5月末から6月末にかけては「キングスライムが1個余っているので、通常のスライムと交換したい」という趣旨の交換希望が複数回投稿されています。「近くの店でコラボをやっていたので199元の皿セットを即買いした」という報告や、アプリを使えばスライムセットを買わなくても追加料金でグッズを入手できる、といった攻略情報の共有も見られました。

一方で、本稿の確認時点(2026年9月26日)では、受賞そのものに反応した現地の一般ユーザーの投稿はほとんど見つかりませんでした。台湾側の盛り上がりは、受賞が決まった9月より、企画が動いていた5月から8月の書き込みに厚みがあります。批判的な声も探しましたが、見つかったのは特定店舗での品切れや在庫不足への不満が中心で、味や価格への強い批判は確認できませんでした。賞を受け取ったのは企業でも、熱狂していたのは交換相手を探していた人たちだったのだと受け止めています。

ドラクエ40周年の年に最高賞を取った企画が、日本では体験できない

日本のドラゴンクエストファンにとって落ち着かないのは、この企画が日本で展開されていないことです。『ドラゴンクエスト』は2026年にシリーズ40周年を迎えていますが、その節目の年に日本の賞で最高評価を受けたコラボは、台湾に行かないと体験できないものでした。「拉亞國王史萊姆」は台湾専売として作られており、日本のスクウェア・エニックスが共同開発に関わりながら、日本の店頭には並んでいません。

規模の面でも、これは小さな実験ではありませんでした。拉亞漢堡は台湾の朝食チェーンとして、業界団体の登録データでは加盟530店・直営4店の計534店を抱えます。84日間にわたり、500店を超える店頭がドラゴンクエストの世界観に置き換わっていた計算です。日本のコンビニやファストフードのIPコラボが1〜2週間の短期決戦になりがちなのと比べると、期間の取り方がかなり違います。

日本のメーカーにとっての示唆は、IPの海外展開を「ライセンスを出して終わり」にしなかった点にあります。既存のスライムを貸すのではなく、その市場のためのキャラクターを日本本社と一緒に作る。その手間が、結果として日本の賞の最高位という形で返ってきました。

日本のIPをいちばんうまく使ったのが、日本で売っていない台湾の朝食店だった

今回の受賞が示したのは、日本コンテンツの海外受容がライセンス収入の話にとどまらなくなっている、ということです。拉亞漢堡がやったのは、ドラゴンクエストを看板に借りることではなく、朝食を買うという日常の行為を探索と収集に作り替えることでした。徐執行長が語った「朝食を1つ買いに来たお客さんに、ゲームの中で探索し、収集し、驚きに出会う楽しさを感じてもらえるか」という問いが、そのまま企画の設計図になっています。

その結果、のべ71作品の頂点に立ったのは、日本のゲーム会社でも日本の広告代理店でもなく、台湾で500店超を展開する朝食チェーンでした。日本のIPをいちばんうまく使った事例が日本国内になかったことは、40周年を迎えたシリーズにとって、祝うべき話であると同時に宿題でもあります。

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編集部
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。