スティールボールラン主題歌の海外の反応、OPとEDで正反対|EDはコメント率がOPの5.4倍

3行サマリー
- Kroiが歌うオープニング「SPIN」の公式ノンクレジット映像は、公開から約2日で553万2936回再生・高評価23万3869件(再生数に対する高評価率4.2%)。
- 千葉雄喜が歌うエンディング「死ぬか生きるか」は、公開から約16時間で74万7896回再生・高評価1万7770件(同2.4%)。再生数に対するコメント率はオープニングの約5.4倍。
- r/animeのエンディング用スレッドは票133に対しコメント158件。反発は「歴代で初めての日本語書き下ろしED」と「Dr. Lukeのプロデュース参加」の2点に集まっています。
EDの高評価率2.4%に対しOPは4.2%、スティールボールラン主題歌で英語圏の受け止めが割れた
TVアニメ『スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険』の主題歌は、オープニングとエンディングで英語圏の反応が正反対に分かれています。Kroiの「SPIN」を使ったノンクレジットオープニングが好意的に迎えられた一方、千葉雄喜の「死ぬか生きるか」を使ったノンクレジットエンディングには、公開の直後から批判的な書き込みが集中しました。
ただ、2本は公開のタイミングが違います。オープニングは2026年9月24日0時(日本時間)、エンディングは9月25日17時29分(同)の公開で、本記事の観測時点でオープニングは約2日、エンディングは約16時間しか経っていません。分母がまるで違うので、再生数の絶対値で優劣を語ることはできません。そこで再生数に対する比率で並べ直してみます。
高評価率は、オープニングが23万3869件 ÷ 553万2936回で約4.2%、エンディングが1万7770件 ÷ 74万7896回で約2.4%。1.8ポイントの差がつきました。もっとはっきり開いたのはコメント率のほうで、オープニングの1万2070件 ÷ 553万2936回=約0.22%に対し、エンディングは8892件 ÷ 74万7896回=約1.19%。おおよそ5.4倍です。再生の伸びに対して書き込みだけが突出する。これは賛否が割れているときに出る、かなり分かりやすいサインです。数字を並べ直して初めて温度差の正体が見えた、というのが正直な実感でした。
Warner Bros. Japan Anime公式の映像2本とr/animeの2スレッドを実測した
出典:『スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険』ノンクレジットオープニング「SPIN」(Warner Bros. Japan Anime / 2026年9月24日公開・日本時間)
出典:同 ノンクレジットエンディング「死ぬか生きるか」(Warner Bros. Japan Anime / 2026年9月25日公開・日本時間)
出典:JoJo’s Bizarre Adventure: Steel Ball Run ED Song(r/anime)(Reddit / 2026年9月25日)
数値はいずれも2026年9月26日9時20分(日本時間)に確認したものです。エンディングのスレッドでいちばん多くの票を集めたのは、次の一文でした。
Outside of not using an English song when that’s what they’ve always done, but you choose a rap song for an Anime about a horse race in 1890?(138票)
r/animeのEDスレッドは票133に対しコメント158件、コメント数が票を上回った
エンディングのスレッドは、投稿から約16時間で票133、コメント158件。コメント数がスコアを追い越しています。同じサブレディットのオープニング用スレッドが票539に対しコメント83件、つまり票がコメントの約6.5倍だったのと比べると、形がまるで違います。多くの人がうなずいてそのまま去っていったオープニングと、賛成と反対が言葉を交わし続けているエンディング。数字の形だけで、場の空気の違いが伝わってきます。
個別の書き込みは匿名であり、それ自体を事実の根拠にはできません。ここでは票数の多いものを、集合的な傾向を示す例として並べます。エンディングのスレッドでは、これまでのジョジョのアウトロで一番だと評価する声は見当たらず、上位は「Comfortably the worst Jojo outro so far.」(104票)、「I don’t think this is going to go over well with most fans.」(91票)といった否定的なものが占めました。目立つのは楽曲そのものへの好き嫌いではなく、「ジョジョのEDとして想定していたもの」との落差を挙げる書き込みです。昔ながらのカントリーを期待していた、という趣旨のコメントが126票を集めているあたりに、そのズレがよく表れています。
日本語詞であることを冷静に受け止める声もありました。「I was pretty surprised to hear Yuki Chiba’s voice, but that’s definitely for the Japan audience, not the foreign one.」(25票)は、この曲が国内の聴き手に向けた座組みだと理解したうえでの反応です。
ジョジョのTVアニメEDは第1部のYes「Roundabout」から第6部まで既存の洋楽だった
反発の一つ目の理由は、シリーズが20年以上かけて築いてきた慣例が、ここで途切れたことです。TVアニメ版のエンディングテーマは、第1部・第2部がYes「Roundabout」、第3部がThe Bangles「Walk Like an Egyptian」とPat Metheny Group「Last Train Home」、第4部がSavage Garden、第5部がJodeci「Freek’n You」、第6部がDuffy「Distant Dreamer」。一貫して既存の洋楽が使われてきました(Real Sound、TOWER RECORDS ONLINE)。
本編と地続きではない洋楽が流れて1話が終わる。この構造そのものが、TVアニメ版ジョジョの記号になっていました。『スティール・ボール・ラン』は、歴代で初めてそこに書き下ろしの日本語曲を置いています。138票を集めた最上位コメントが真っ先に突いているのも、曲調の話より先に「これまで英語曲だったのに、なぜ」という一点でした。
では、なぜ今その慣例が変わったのか。洋楽の既存曲をエンディングに使う方式は、世界同時配信が当たり前になった現在、配信地域ごとに権利処理が要り、差し替えや消音が起きやすくなります。書き下ろし曲ならその心配は生じません。ただし制作側からこの点についての説明は出ておらず、あくまで一般的な背景として添えておきます。
Dr. Lukeのプロデュース参加が、英語圏で曲とは別の議論を呼んだ
二つ目の理由は、制作陣の名前でした。「死ぬか生きるか」はDr. Luke(Lukasz Gottwald)がプロデュースし、ミックスをSerban Gheneaが手がけています。音楽ナタリーやSpincoasterなど日本の音楽メディアは、この座組みをKaty PerryやDoja Cat、Nicki Minajを手がけた世界的プロデューサーとの共作として、実績の文脈で伝えました。
英語圏のファンは、同じ名前にまったく別の文脈を重ねています。Dr. Lukeは歌手Keshaとの法廷闘争が2014年に始まり、2023年に和解で終結するまで、長く議論の対象になってきた人物です。r/animeのスレッドでも、クレジットに気づいたことを理由に落胆を示す書き込みが59票と52票を集めました。これらはファンの受け止めであり、当サイトが人物への評価を述べるものではありません。Dr. Luke本人および制作側から、今回の起用についてのコメントは出ていません。
つまりエンディングへの反発は、「洋楽の慣例が途切れたこと」と「起用された名前」が同じタイミングで重なって膨らんだものです。どちらも千葉雄喜の歌唱やラップの出来に向けられた評価ではありません。ここを混同したまま「海外で不評」とだけ受け取ると、何が起きたのかを見誤ります。
OPへの称賛は曲より映像に集まり、マイブリッジ「The Horse in Motion」への言及が52票
一方のオープニングですが、英語圏の絶賛は映像に対して集まっており、Kroiの楽曲への評価とは分けて読む必要があります。オープニング用スレッドの上位には「Blue balls gone, steel balls achieved. No one uses color and style like Jojo openings.」(119票)、「The opening is so creative and full of spoilers in true JoJos fashion」(37票)と、色彩と演出を挙げる声が並びました。
楽曲のほうには留保が付きます。88票を集めたコメントは「Not sure about the song, but the visuals is top 3 at least.」とはっきり切り分けていますし、36票のコメントも「The visuals are by far the best in the series, but the song will take some getting used to.」と書いています。後者はKroiのファンを名乗ったうえでの一言で、評価がまだ定まりきっていない段階だと分かります。
映像でとりわけ反応が良かったのは、エドワード・マイブリッジの連続写真『The Horse in Motion』を下敷きにしたカットでした。「Horse in Motion reference is genius」というコメントが52票。1878年に馬の四肢が同時に地面を離れる瞬間をとらえたこの連続写真は、1890年のアメリカ大陸横断レースを描く『スティール・ボール・ラン』と、時代も題材も気持ちよく噛み合います。オープニングは作品の時代設定を映像で語りきり、エンディングはその時代性への期待を外した。今回の割れ方は、この一点で説明がつきます。
日本の報道は千葉雄喜の「自身初のアニメ主題歌書き下ろし」として伝えている
同じ発表が、日本ではまったく違うトーンで流通しています。音楽ナタリーやSpincoaster、KAI-YOU、NiEWといった媒体は、千葉雄喜にとって自身初となるアニメ主題歌の書き下ろしであること、世界的プロデューサーとの共作であることを、実績として好意的に報じました。英語圏の反発を扱った国内記事は、本記事の執筆時点で見当たりません。海外で何が起きているかを書かないまま「世界的プロデューサー」という肩書だけを流すのは、読者に渡す情報として片側だけだと思います。
千葉雄喜はKOHH名義から改名した日本のラッパーで、「チーム友達」のヒットやMegan Thee Stallion「Mamushi」への参加で国内外に名前が知られています。当サイトでも米名門ブルーノート3都市での公演を取り上げました。Kroiも『SAKAMOTO DAYS』『Liar Game』のオープニングを担当してきた日本のバンドで、両者とも日本のレーベルに所属しています。つまり今回は、日本の第一線のアーティストが起用されたこと自体が、海外では減点として受け取られたという、なかなか見ない形のねじれです。
この温度差の根っこにあるのは、英語圏のジョジョ視聴者にとってエンディングが「アニメの主題歌」ではなく「番組の終わり方」として記憶されてきた、という事実でしょう。誰が歌うかより先に、何が流れるかが評価される場所です。そこへ日本の音楽ニュースの文法をそのまま持ち込めば、今回のようなズレは起きます。
割れているのは曲の出来ではなく、ジョジョのEDに何を期待してきたかの差
数字をもう一度並べます。オープニングは高評価率4.2%・コメント率0.22%、エンディングは高評価率2.4%・コメント率1.19%。r/animeでは票539対コメント83と、票133対コメント158。同じ作品の同じ週の主題歌で、これだけ形の違う反応が出ました。割れているのは曲の出来ではなく、ジョジョのエンディングに何を期待してきたかの差です。
とはいえ、どちらの数字も公開から数日以内のものです。オープニングの楽曲に「a grower(聴くほど良くなる曲)」という評価が付いているとおり、本編での使われ方が積み重なれば印象は動きます。2026年10月以降、各話の終わりに「死ぬか生きるか」が繰り返し流れたとき、英語圏の評価がどこへ着地するか。そこが次の観測点になります。
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