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【台湾】大貫妙子、デビュー51年で初の台湾公演。8月29日の台北の音楽祭には日本から10組が出演

編集部
吉沢まことVelleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
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【台湾】大貫妙子、デビュー51年で初の台湾公演。8月29日の台北の音楽祭には日本から10組が出演

3行サマリー

  • 大貫妙子が、1975年のアルバム『SONGS』でのデビューから51年で初めて台湾の舞台に立ちます。8月29日・30日、台北の音楽祭「JAM JAM ASIA」です。
  • 会場は臺北流行音樂中心。7つのステージに80組を超える出演者が並び、2日通し券はNT$3,888です。
  • 日本からの出演は少なくとも10組。うち2組は、フジロックとMURO FESTIVALが名指しで推薦して台北へ送り出しました。

大貫妙子、1975年のデビューから51年で初めて台湾の舞台に立つ

日本のシティポップを代表する歌手・大貫妙子が、初めて台湾で歌います。舞台は8月29日と30日に台北で開かれる音楽祭「JAM JAM ASIA」(JJA)。主催の臺北流行音樂中心(北流)が7月8日に発表しました。北流は発表文のなかで、大貫を今年のJJAで「最も注目される出演者の一人」と位置づけています。

大貫は1973年に山下達郎らとシュガー・ベイブを結成し、1975年のアルバム『SONGS』でデビュー。1976年からソロで活動し、これまでにオリジナルアルバムを27枚出しました。坂本龍一との『UTAU』があり、映画『東京日和』の音楽で日本アカデミー賞最優秀音楽賞も受けています。経歴を並べるだけでも十分に長いのですが、その50年余りのなかで台湾のステージに立つのは今回が初めてです。

北流の発表文:デビューから50年余りで、初めて台湾の舞台へ

出典JJA卡司重磅揭曉!日本 City Pop 傳奇歌手大貫妙子首度來臺 國蛋、持修接力登場(臺北流行音樂中心 / 2026年7月8日)

出典JJA集結亞太音樂交流團!號召日本FUJI ROCK、印尼Lalala Festival、新加坡Freshmusic音樂誌推薦重點新秀(Blow 吹音樂 / 2026年7月28日)

其中,最受矚目的莫過於日本 City Pop 傳奇歌手大貫妙子 Taeko Onuki,出道50多年來首度登上臺灣舞台。

(訳:なかでも最も注目されるのが、日本のシティポップの伝説的歌手・大貫妙子。デビューから50年余りで初めて台湾の舞台に立つ)

〈都会〉〈くすりをたくさん〉の再発見が、70年代の曲を2026年の台北へ運んだ

北流はこの発表のなかで、大貫を招いた理由をはっきり書いています。〈くすりをたくさん〉や〈都会〉といった1970年代の作品が世界各地で掘り起こされ、世代も国境も越えて新しい聴き手を集めている、と。台湾側は「懐かしの歌手」としてではなく、いま世界で聴かれている音楽の作り手として大貫を呼んでいます。

ここが日本の感覚と少しずれるところだと感じました。日本ではシティポップの世界的な再評価は、竹内まりやの〈プラスティック・ラブ〉のように、特定の一曲がバズった話として語られがちです。けれど海外のフェスの側から見ると、それは掘り出し物が一曲見つかったという話ではなく、1970年代の日本の作り手をまるごと現役として扱える、という判断になっている。北流が7ステージ80組の座組みのなかで大貫に大きな枠を割いたのは、その判断の実物です。

JJAはTMEX(臺北音樂博覽會)から派生した音楽祭で、TMEXは今年で3年目。60社を超える音楽ブランドと100人以上の海外の業界関係者を集める見込みだと北流は説明しています。台湾が音楽の輸出入のハブになろうとしている、その真ん中に大貫が置かれた形です。

日本からは10組。札幌の高校軽音部から出たバンドがフジロックの推薦で台北に立つ

公表された出演者リストを数えたところ、日本からの出演は少なくとも10組ありました。大貫妙子、ATARASHII GAKKO!、Ann Sally、東京の実験バンドんoon、DJ KRUSH、DJ KOCO aka SHIMOKITA、板歯目、テレビ大陸音頭、ギョウザマン、モノンクル。日本のヒップホップの草分けであるDJ KRUSHは、北流での演奏が今回初めてです。

おもしろいのは、このうち2組が「日本のフェスからの推薦」という枠で来ている点です。テレビ大陸音頭はフジロック、板歯目はMURO FESTIVALの推薦。JJAは韓国の釜山国際ロックフェスや弘大フェス、インドネシアのLalala Festival、シンガポールの音楽メディアFreshmusicにも同じように声をかけ、各地の主催者に「いま推したい新人」を挙げてもらっています。

テレビ大陸音頭は2023年に札幌の高校の軽音部で結成された4人組です。「俺に真実を教えてくれ!!」がSpotifyのバイラルチャートで3週連続1位に入り、2025年にフジロックの新人枠ROOKIE A GO-GOへ、2026年にはRED MARQUEEへ上がりました。フジロックは公式の出演者情報のなかで、このバンドがTMEX・JAM JAM ASIAに招かれると紹介しています。日本のフェスが自分の新人枠から出たバンドを、そのまま台湾の舞台へ橋渡ししている構図です。

日本のバンドや歌手が海外で演奏するときの入口は、これまでレコード会社の海外部門か、現地のプロモーターからの単発のオファーがほとんどでした。フェスの主催者同士が推薦し合う経路は、無名に近い段階のバンドを国境の外へ出せる点でこれまでと質が違います。高校の軽音部で始まったバンドが3年で台北の大型音楽祭に立つ速さは、その違いをよく表していると思います。

日本の音楽が台湾へ渡る入口は、レコード会社だけではなくなった

大貫妙子の初台湾は、それ自体で十分に大きな出来事です。ただ、同じリストをもう一度眺めると、51年目のベテランと結成3年のバンドが同じ2日間に並んでいます。前者は世界的な再発見が連れてきた出演で、後者はフェス同士の推薦が連れてきた出演でした。台湾へ日本の音楽が入っていく道が、少なくとも2本になったということです。

とはいえ、推薦枠で渡った日本勢は10組中2組にとどまります。残りはすでにキャリアのある人たちで、この経路がまだ細い試みであることも確かです。来年も同じ枠が続き、そこから台湾で名前が売れるバンドが出てくるかどうか。そこまで見てはじめて、新しい入口ができたと言えるはずです。

チケットは2日通し券がNT$3,888、単日券がNT$2,188。深夜のDJ企画は別途NT$800で、こちらもDJ KRUSHとDJ KOCO aka SHIMOKITAという日本勢が中心にいます。8月29日からの台北は、日本の音楽にとってわりと大事な2日間になりそうです。

編集部
吉沢まこと
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。