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【フランス】任天堂、30年前に中止した幻のF-ZEROを8月4日に配信。欧州にはバーチャルボーイ本体すら売られなかった

編集部
吉沢まことVelleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
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【フランス】任天堂、30年前に中止した幻のF-ZEROを8月4日に配信。欧州にはバーチャルボーイ本体すら売られなかった

3行サマリー

  • 任天堂が7月31日、バーチャルボーイ用に作られながら発売されなかった2本、『ZERO RACERS』と『D-HOPPER』の配信日を8月4日に決めたと発表しました。
  • 『ZERO RACERS』は1996年に完成していたF-ZERO。ハードごと切り捨てられ、30年間だれも遊べないままでした。
  • バーチャルボーイは1995年に日本と南北アメリカだけで売られた機械です。フランスをはじめ欧州には本体が一度も届いていません。

任天堂、未発売のまま眠っていたバーチャルボーイ用2本の配信日を8月4日に決めた

任天堂は7月31日、「バーチャルボーイ Nintendo Classics」に『ZERO RACERS』と『D-HOPPER』を追加すると発表しました。配信は8月4日。Nintendo Switch Online+追加パックの加入者が対象で、Switch 2でもSwitchでも遊べます。同じ日に、あの赤一色の画面を好きな色に変えられる機能も入ります。右スティックを押し込みながらLとRを押すだけ、という気軽さです。

2本の存在自体は今年1月、17作品を紹介する映像のなかで先に明かされていました。今回決まったのは日付のほうです。ついでに言うと、専用のペーパーモデル(段ボール製のビューアー)が期間限定で値下げされています。買うなら今週です。

Puissance Nintendo報道:ZERO RACERSの正体は「バーチャルボーイのF-ZERO」

出典Deux jeux Virtual Boy inédits débarquent sur Nintendo Classics le 4 août, dont un F-Zero annulé(Puissance Nintendo / 2026-07-31)

出典Virtual Boy – Nintendo Classics adding unreleased games Zero Racers and D-Hopper next week, screen customization filter(Nintendo Everything / 2026-07-31)

Quel dommage qu’on n’ait pas pris le soin d’emmener le Virtual Boy en vacances !(バーチャルボーイをバカンスに連れて行ってやらなかったのが、なんとももったいない)

1996年に完成していたF-ZERO、ハードの失速に巻き込まれて消えた

『ZERO RACERS』は、四角いダクトをつないだような立体コースを浮遊マシンで5周する競走ゲームです。毎周ごとに決められた順位を保ち、3位以内で次のコースへ。コース上の「Rapid」を踏むと短時間だけ猛烈に加速します。名前こそ違いますが、中身はF-ZEROそのもの。しかも家庭用としては初の3D化でした。1996年には完成していたのに、バーチャルボーイが売れず、発売はそのまま取りやめになっています。

もう1本の『D-HOPPER』を作ったのはインテリジェントシステムズ。ファイアーエムブレムやペーパーマリオの開発元です。空の王国の王子ドリンが謀反にあって地の底へ落とされ、妖精に助けられながら4体の精霊を探す、跳んで羽ばたく横スクロールのアクションでした。もとの題名は『ドラゴンホッパー』。Puissance Nintendoによれば、北米では1996年8月26日の発売が予定されていたものの中止となり、その後に「Dragon Hopper」の商標を他社が押さえたため、今回は『D-HOPPER』に改められたということです。

フランスのメディアは「バカンスに連れて行ってやらなかった」と欧州未発売を惜しんだ

この記事に【フランス】と付けたのには理由があります。バーチャルボーイは1995年、日本と南北アメリカでしか売られませんでした。欧州とオーストラリアには本体そのものが出荷されていません。つまりフランスの読者にとって『ZERO RACERS』は、幻のソフトという以前に、そもそも触ったことのない機械のソフトなのです。

だからでしょうか、7月31日のフランス語圏の反応には独特の湿り気がありました。Puissance Nintendoの署名記事(Xavier氏)は、任天堂の保存への姿勢をひとしきり褒めたあとで、上に引いた一文を落としています。バカンスの季節に書かれた記事だと思うと、この言い回しはなかなか効きます。

速報自体は横並びでした。認証済みアカウントのNintendo-Master(@NM_Officiel)とNintendo-Difference(@N_Difference)が同じ日の朝に相次いで配信し、フランス語のタイムラインには「F-Zeroのスピンオフ」という説明が並びました。ゲーム内容への論評より先に、まず事実を伝える書き方です。熱狂というより、静かな驚きに近い温度でした。

いっぽう、2本の存在が最初に明かされた1月には、アメリカのゲームメディアGameXplain(@GameXplain)が「バーチャルボーイのアプリがスターフォックス2と同じことをやっている」と評しています。完成していながら発売中止となり、2017年のスーパーファミコン ミニでようやく世に出たあの一本を引き合いに出すのは、海外のファンにとって最もわかりやすい説明なのだと思います。

F-ZEROの世界観を手がけた今村孝矢も「聞いたこともなかった」

いちばん驚いたのは、日本側から出てきた反応でした。1989年に任天堂へ入り、1990年の『F-ZERO』でキャラクターやマシン、世界観の設定を手がけた今村孝矢氏(@ima_1966)が、1月の発表を受けてこう書いています。「『ZERO RACERS』について。何にも知らないし聞いたことも無かった‥」。この投稿は5万回以上表示されました。そして7月31日の任天堂の告知にも「ZERO RACERSはエアレースみたいな感じなんだ!知らんかった」と重ねています。

キャプテン・ファルコンを生んだ本人が、シリーズの一本の存在を知らなかった。社内の別チームで動いていた企画だったのか、事情はわかりません。ただ、この一言は「幻のソフト」という言葉に具体的な手ざわりを与えてくれました。当時の任天堂の中でさえ、この作品はそこまで奥に埋まっていたわけです。

遊べなかった30年が、8月4日で終わる

完成していたのに出せなかったソフトが、30年してから配信される。似た例はスターフォックス2くらいしか思いつきません。しかも今回は2本同時で、片方はシリーズの生みの親すら知らなかった一本です。

日本の読者にとっては、バーチャルボーイはたった1年で店頭から消えた記憶のはずです。それが今、フランスやドイツの人と同じ日に、同じソフトを遊べる状態になりました。8月4日、日本時間の火曜日。私は『ZERO RACERS』のほうから始めるつもりです。

編集部
吉沢まこと
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。