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【ブラジル】スクウェア・エニックス、ポルトガル語対応を求めたファンをブロック。1億人市場でカプコンとの差が鮮明に

編集部
Velleity Note 編集部Overseas Reception, Read Straight
公開 2026/07/11
最終更新 2026/07/11
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3行サマリー

  • スクウェア・エニックスが、ゲームのブラジル・ポルトガル語対応を求めたファンを公式Xアカウントでブロック。2026年6月9日の投稿がきっかけで現地コミュニティが荒れた。
  • ブラジルは1億人を超えるプレイヤーを抱える中南米最大・世界13位のゲーム市場で、人口の75.3%が何らかのデジタルゲームを遊ぶ。
  • 同じ日本メーカーでもカプコンは『バイオハザード レクイエム』『プラグマタ』をポルトガル語で完全吹き替え。この直前にはアトラスが『ペルソナ6』に字幕対応を入れており、スクエニだけが取り残された形になった。

スクウェア・エニックス、ポルトガル語対応を求めたブラジル人ファンを公式Xでブロック

スクウェア・エニックスの公式X運用が、ブラジルのファンのあいだで反発を招いている。発端は2026年6月9日。『ファイナルファンタジー』シリーズを長く追ってきたブラジル人ファンが、公式アカウントに「作品をブラジル・ポルトガル語に対応してほしい」と要望を送ったところ、返信の代わりにアカウントごとブロックされた。要望そのものはありふれた内容だ。現地の読者がひっかかったのは、会社が対話ではなく遮断で応じたという一点だった。

Cabana do Leitorの報道:ブロックされたファンの投稿が広まり、共感が連鎖した

この件を報じたのは、ブラジルのポップカルチャー系メディアCabana do Leitorだ。同メディアによれば、ブロックされたファンの投稿が拡散すると、ほかのユーザーからも「軽んじられた」という声が続いた。最初に取り上げたブラジル人ユーザーの投稿は、「ファイナルファンタジーでポルトガル語対応を頼んだだけでスクエアにブロックされた。これは一体どういうことだ」という戸惑いそのものだった。個人が声を上げてブロックされる、という構図がそのまま「会社の姿勢」として受け取られた。

元ネタSquare Enix bloqueia fã brasileiro que pediu tradução dos seus jogos em Português(Cabana do Leitor / 2026年6月10日)

Em vez de uma resposta padrão, a empresa decidiu aplicar um bloqueio direto no perfil do fã.(定型の返信ではなく、会社はファンのプロフィールを直接ブロックすることを選んだ。)

ブラジルは1億人超のゲーム大国、それでも『FFタクティクス』新版はポルトガル語なし

ブラジルを「小さな周辺市場」と考えるのは、もう実態に合わない。ゲーム専門調査のPesquisa Game Brasilによると、国内のプレイヤーは1億人を超え、人口の75.3%が何らかのデジタルゲームを遊ぶ。2021年にはメキシコを抜いて中南米最大の市場になり、年間およそR$120億(約12億ドル規模)が動く。世界ランキングでも13位につけ、PwCは2026年の国内ゲーム収益を最大28億ドルと見込む。

それでもスクウェア・エニックスは腰が重い。ファン向け情報を追う現地メディアFINAL FANTASY BRASILは、同社とブラジル向けローカライズの関係を「こじれた関係」と表現している。象徴的なのが、シリーズでも名の通った『ファイナルファンタジー タクティクス ‐ イヴァリース クロニクルズ』が、今回もブラジル・ポルトガル語に対応しないと決まったことだ。これだけの規模の作品を訳さない判断は、ファンに「この会社は結局どこを向いているのか」という迷いを残した。

カプコンは『バイオ』も『プラグマタ』もサンパウロのスタジオで完全吹き替えにした

同じ日本のメーカーでも、真逆に振り切ったのがカプコンだ。同社は『バイオハザード ヴィレッジ』でメインシリーズ初の完全吹き替えに踏み切り、現地の反応が良かったことから路線を続けた。最新作『バイオハザード レクイエム』はサンパウロのRockets Audioスタジオでブラジル・ポルトガル語版が制作され、ゲームメディアArkadeは「ブラジル人は吹き替えに夢中だ」と伝えている。4月17日に発売された新規IP『プラグマタ』も、字幕に加えて完全吹き替えで登場した。プロジェクトの規模で温度差はあり、『モンスターハンターワイルズ』が完全吹き替えなのに対し『モンスターハンターストーリーズ3』は字幕どまり、という濃淡はある。それでも「まず訳す」という順番が定着している点で、姿勢の差ははっきりしている。

流れはカプコンだけではない。この一件の直前、アトラスは『ペルソナ6』でブラジル向けポルトガル語字幕に初対応し、現地のJRPGファンを沸かせたばかりだった。周りが一歩ずつ現地の言葉に寄せていくなかで、ファンをブロックしたスクエニだけが逆を向いて見える。

日本のゲーム会社にとって、ブラジルは「後回しでいい市場」ではなくなった

この話は、日本のゲーム業界にとっても他人事ではない。1億人のプレイヤーがいて、その多くがSNSで声を上げ、横のつながりで動く。そういう市場で「翻訳するかどうか」は、単なるコストの問題を超えて、ブランドへの信頼を左右する分岐点になっている。ブラジルのファンは、日本語や英語のままでも遊ぶ体力を持っている。だからこそ、自分たちの言葉で迎えてくれるかどうかを、会社を選ぶ基準として見はじめている。カプコンやアトラスが積み上げた好感が、そのままスクウェア・エニックスの取りこぼしになりかねない。

日本のメーカーが学べるのは、ローカライズが守りの費用ではなく攻めの投資になりうる、という順序の話だ。1億人が遊び、女性が過半を占め、モバイルが売上の半分を握る市場で、言葉の壁を先に外した会社から順にファンを掴んでいる。

ローカライズにいくら賭けるかが、次の10年のファンを分ける

つまり、ブラジルではもう「日本のゲームだから遊ぶ」段階が終わり、「自分たちの言葉で迎えてくれる会社を選ぶ」段階に入りつつある。スクウェア・エニックスのブロック騒動は、単発の炎上というより、この地殻変動を可視化した出来事だった。1億人の熱量をどう扱うか。その判断の差が、次の10年のファンダムの地図を書き換えていく。

編集部
Velleity Note 編集部
Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。