【フランス】浅野いにお『MUJINA INTO THE DEEP』が最優秀漫画賞と作画賞の2冠。日本で休載中の新作がJapan Expoで頂点に

3行サマリー
- 浅野いにお『MUJINA INTO THE DEEP』が7月10日、フランスのDaruma Awards 2026で最優秀漫画賞と最優秀作画賞の2冠
- 賞は全20部門で、一般投票が審査員票と同じ重みを持つ。版元Kanaは15ノミネート、本作は今回最多の5部門に入っていた
- 日本では第1部が2026年4月に完結し、第2部は2027年から。浅野本人の受賞報告ポストには2日で2,800を超えるいいね
休載中の『MUJINA INTO THE DEEP』が、7月10日の授賞式で最優秀漫画賞と最優秀作画賞の2冠
パリ郊外ヴィルパントで7月9日から12日まで開かれた第25回Japan Expo。その名物企画で、この1年の優れたマンガとアニメを表彰する「Daruma Awards 2026」の授賞式が7月10日夕方にKuriステージで行われ、浅野いにおの『MUJINA INTO THE DEEP』(仏版はKana刊)が「最優秀漫画賞」と「最優秀作画賞」の2つを持ち帰った。
日本ではちょうど第1部が完結し、続きは2027年まで読めない時期の受賞になる。フランスの読者は、休みに入った作家に「待っているから戻ってきて」と賞のかたちで伝えたわけだ。版元のKanaは外薗健『カグラバチ』でも最優秀アクション漫画賞を獲り、マンガ部門の主役になった。
ActuaBD報道:昨年Ki-oonが独占した賞レースで、Kanaが最も格の高い賞を持ち帰った
元ネタ:Daruma Awards 2026 : Crunchyroll domine l’anime et Kana rafle la mise sur les mangas(ActuaBD / 2026年7月12日)
la maison d’édition Kana tire toutefois son épingle du jeu en remportant l’une des distinctions les plus prestigieuses grâce à Mujina into the Deep d’Inio Asano, sacré Meilleur manga de l’année.
(訳:それでも出版社Kanaは、浅野いにお『MUJINA INTO THE DEEP』で最も格の高い賞のひとつを勝ち取り、存在感を示した。同作は年間最優秀漫画に選ばれた。)
記事中でKanaの担当チームはこう語っている。「浅野いにおはウルトラ重要な作家。『MUJINA INTO THE DEEP』ではアクションという少し毛色の違うジャンルに挑んでいるが、心血を注いだのが戦闘シーンから伝わる。作画のために膨大な調べものをしていて、それが絵に出ている」(要約訳)。
一般投票が審査員と同じ重みを持つ20部門。Mujinaは最多5部門ノミネートからの受賞だった
Daruma Awardsは2006年に「Japan Expo Awards」として始まり、2012年に一度姿を消したあと、2016年にだるま人形を模したトロフィーとともに再出発した賞。今年は授賞式10回目の節目で、マンガ・アニメあわせて20部門を、業界プロの審査員票と7月1日まで受け付けた一般投票が同じ重みで決める。会場の熱量がそのまま結果に反映される設計だ。
昨年はKi-oonがほぼ総取りしたが、今年は勢力図が分散。その中で『MUJINA INTO THE DEEP』は今回最多の5部門ノミネートから最優秀漫画・最優秀作画の2冠に届いた。Kana全体では15ノミネートと、こちらも版元別で最多だった。フランスは欧州のマンガ市場のおよそ半分を占める国で、浅野作品は『おやすみプンプン』『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』以来の固定ファンが厚い。休載中でも票が集まる下地は、20年かけてできあがっていた。
日本では第2部を待つ身。浅野本人の「受賞したそうです」ポストに2日で2,800超のいいね
『MUJINA INTO THE DEEP』は2023年3月から小学館「ビッグコミックスペリオール」で連載中のアクション。既刊は6巻で、2026年4月に第1部が完結した。浅野は休載の理由を「体力の限界」と「ストックの枯渇」と率直に説明していて、第2部の再開は2027年の予定だ。
受賞を受けて浅野本人はXに「フランスで開催中のJapanExpoで発表された『Daruma Awards 2026』で、『MUJINA INTO THE DEEP』が最優秀漫画賞と最優秀作画賞を受賞したそう」と、どこか他人事のような調子で投稿。この控えめな報告に2日で2,800を超えるいいねが付いた。作品の公式アカウントも「㊗️号外」と速報を打っている。
日本の音楽勢も強かった。BUMP OF CHICKENが『僕のヒーローアカデミア』最終章のエンディング「I」で最優秀エンディング賞、『ダンダダン』第2期がオープニング賞、『薬屋のひとりごと』第2期が最優秀サウンドトラック賞。劇場アニメ部門は『チェンソーマン レゼ篇』(MAPPA)が獲った。中沢啓治『はだしのゲン』が過去の名作を対象とするパトリモワーヌ(遺産)賞に選ばれたのも、フランスらしい選択だった。
アニメの頂点はボンズ『ガチアクタ』。10回目のダルマ賞が映すフランスの日本作品地図
アニメ側の最優秀は、ボンズ制作の『ガチアクタ』。最優秀アクションアニメとあわせてこちらも2冠で、配信するCrunchyrollは自社発表で計7部門の受賞を誇った。アニメの賞はほぼ配信プラットフォーム経由の作品が押さえた格好で、賞の風景が「テレビ」から「配信」に完全に置き換わったことも今回はっきりした。
並べてみると面白い。マンガの頂点は休載中の浅野いにお、新設のFnac新人賞は『魔男のイチ』(西修・宇佐崎しろ)、遺産賞は『はだしのゲン』。フランスの読者は最新作から60年前の名作まで、自分たちの物差しで日本の作品を選び直している。第2部が始まる2027年、この2冠は日本での『MUJINA』の売れ行きにも跳ね返ってくるだろう。休んでいる間に海外で頂点に立つ。マンガの読まれ方に国ごとの時差がある時代の、なんとも浅野いにおらしい受賞だった。
いま読まれている記事
【アメリカ】無職転生III 第13話「日記」で英語圏の評価が割れた。レビューは10点中2.5点、ファンは「年間ベスト」
【アメリカ】ソニーのPS5日本語専用に黒、11月19日に5万5,000円。多言語版より3万円以上安く、海外Redditで310票
【アメリカ】任天堂『ファイアーエムブレム 万紫千紅』海外870人投票で最多は24時間プレイ。クリア時間の集計サイトはデータ不足
【世界】カプコン『モンハンライズ』スマホ版、Netflixでフィリピン先行配信。海外Redditは計1649票「Switch 2対応より先か」
【アメリカ】日本ファルコム『空の軌跡 the 2nd』、Steam同時接続1万5154人。前作the 1stは2つのアプリに分かれていた
「アニメ・コミックス」の続きを読む
【世界】アニメ映画『我々は宇宙人』、シッチェス映画祭で最優秀長編アニメ賞。日本作品は6年ぶり、30歳の監督は日本人最年少
【フランス】松本大洋×ペドロサ『南蛮人』、480ページを両側から読む1冊。日本の単行本は10月30日発売

薬屋のひとりごと 第3期が2026年秋アニメの期待度で5地域すべて一番。日本は3,864人調査で515票、英語圏は14万人が登録

【フランス】ドラゴンボールパーク、東映アニメーションが「一切の許諾なし」と否定。仏の地域圏の発表と同じ8月31日に出た

