2026年9月4日 海外メディアとファンの愛を、脚色なしで日本語に @VelleityNote
Home/アニメ・コミックス/ドラゴンボールパーク/【フランス】1兆円のドラゴンボールパーク、日本の権利者の同意はまだと仏ル・モンドが報道。許諾できる会社は5社に分かれている

【フランス】1兆円のドラゴンボールパーク、日本の権利者の同意はまだと仏ル・モンドが報道。許諾できる会社は5社に分かれている

編集部
吉沢まことVelleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
公開
最終更新
現地の一次ソースで確認 約6分で読めます
【フランス】1兆円のドラゴンボールパーク、日本の権利者の同意はまだと仏ル・モンドが報道。許諾できる会社は5社に分かれている
A figurine character from the popular "Dragon Ball" manga franchise sits for sale inside a glass case at a shop in downtown Tokyo on March 8, 2024. The creator of Japan's hugely popular and influential "Dragon Ball" comics and anime cartoons, Akira Toriyama, has died aged 68, his production team said on March 8. (Photo by Richard A. Brooks / AFP)

3行サマリー

  • フランス政府とサウジアラビアのキディヤが8月24日に署名した3つのテーマパーク計画(総額60億ユーロ・約1兆円)のうち、1つが『ドラゴンボール』をテーマにしている
  • ル・モンドは8月25日、この計画がキャラクターと『ドラゴンボール』のブランドを使う日本の権利者の同意をまだ得ていないと報じた
  • 許諾を出せる可能性がある会社は集英社・東映アニメーション・バードスタジオ・バンダイナムコ・カプセルコーポレーショントーキョーの5社に分かれ、どこが窓口になるのかも決まっていない

Seriesドラゴンボールパーク全7本

サウジアラビアとフランスで進むドラゴンボールのテーマパーク計画。東映アニメーションの許諾、パリ近郊の用地、サウジ資本の署名までを時系列で追う。

  1. 2026/4/28【サウジアラビア】世界唯一のドラゴンボールパーク、2026年着工。東映アニメの最大IP輸出案件が問う日本のソフトパワー戦略
  2. 2026/8/4【フランス】35年放置の遊園地跡にドラゴンボールパーク構想。サウジ資本が10億ユーロ超と報じられ、東映アニメの「世界唯一」が揺らぐ
  3. 2026/8/11【フランス】ドラゴンボールパーク計画、関係者がAFPに「非常に進んでいる」。跡地に暮らす100世帯は知らされないまま
  4. 2026/8/21【フランス】パリ近郊のドラゴンボールパーク、8月23日に発表か。東映アニメーションが公表した許諾はサウジの1件だけ
  5. 2026/8/25【フランス】パリ近郊のドラゴンボールパーク、サウジが約1兆円で署名。開業日も東映アニメーションの名前も発表文になかった
  6. 2026/8/28【フランス】1兆円のドラゴンボールパーク、日本の権利者の同意はまだと仏ル・モンドが報道。許諾できる会社は5社に分かれている(この記事)
  7. 2026/9/3【フランス】ドラゴンボールパーク、東映アニメーションが「一切の許諾なし」と否定。仏の地域圏の発表と同じ8月31日に出た

ル・モンド、キディヤは『ドラゴンボール』を使う同意をまだ得ていないと報道

パリ近郊のドラゴンボールパーク計画に、発表から2日で待ったがかかりました。フランスの日刊紙ル・モンドが8月25日、この計画を進めるサウジアラビアの政府系企業キディヤ・インベストメント・カンパニーは、キャラクターと『ドラゴンボール』のブランドを使う日本の権利者の同意をまだ得ていないと報じています。関係筋の話としての報道で、キディヤ側の反論は出ていません。

計画そのものは8月24日にエリゼ宮で署名された基本合意にもとづくものです。ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の訪仏に合わせ、セルジー=ポントワーズの旧ミラポリス跡地に3つのテーマパークを作る、総額60億ユーロ(約1兆円)の枠組みで、直接雇用は2万2000人と説明されました。ただ、その中身にあたる作品の使用許諾が固まっていなければ、パークの主役が悟空になるかどうかは決まっていないことになります。

エリゼ宮もイル=ド=フランス地域圏もキディヤも、取材に答えていない

出典Le projet de parc d’attractions Dragon Ball en Ile-de-France n’a pas encore l’accord des ayants droit japonais(Le Monde / 2026年8月25日)

出典Dragon Ball : le projet de parc d’attractions francilien au coeur d’un imbroglio de droits(Livres Hebdo / 2026年8月26日)

Le projet « n’a pas encore l’accord des ayants droit japonais » pour « utiliser les personnages et la marque Dragon Ball ».(計画は、キャラクターと『ドラゴンボール』のブランドを使うための「日本の権利者の同意をまだ得ていない」)

出版業界誌リーブル・エブドは翌26日、この報道を受けて関係先に取材しています。結果は、エリゼ宮もイル=ド=フランス地域圏もキディヤも回答なし。フランスでの『ドラゴンボール』の版元であるグレナも、コメントを控えました。グレナはフランス国内で同作を3400万部売っていますが、今回のパーク計画には関わっていないと同誌は書いています。東映アニメーションのフランス法人も、同誌のインタビュー依頼に応じていません。

署名式から2日たって、当事者になりうる会社が1社も口を開いていない。ここが今回いちばん引っかかったところでした。

許諾を出せる会社は5つに分かれ、鳥山明さんの死去でさらに複雑になった

なぜ話が進まないのか。リーブル・エブドが整理した権利の分かれ方を見ると、事情がはっきりします。マンガと関連書籍の出版は集英社、映像と商品化の権利は東映アニメーション。そこに鳥山明さんが設立したバードスタジオ、ゲームを担うバンダイナムコが加わります。さらに2023年、鳥山さんの担当編集だった伊能昭夫さんが設立したカプセルコーポレーショントーキョーが、作品全体の製作と監修を担っています。合わせて5社。同誌は、このうち誰がテーマパークの許諾を出せるのかは分からない、と書いています。

2024年3月に鳥山さんが亡くなったあと、権利の管理はいっそう見通しにくくなりました。サウジアラビア国内のドラゴンボールパークは、その死去より前の2024年3月に合意しています。あちらは東映アニメーション・バードスタジオ・集英社が公式にクレジットされていて、窓口がはっきりしている。同じキディヤの案件でも、フランス側は入り口の時点で条件が違います。

マクロン大統領は作品名を出さず、ペクレス地域圏議長はTikTokで「悟空が来る」と言い切った

発表のしかたもそろっていませんでした。8月24日のマクロン大統領の投稿は「3つのテーマパーク」「マンガへの関心」という書き方にとどまり、『ドラゴンボール』の名前を出していません。ところが数時間後、イル=ド=フランス地域圏のヴァレリー・ペクレス議長がTikTokで、夢ではない、ドラゴンボールがイル=ド=フランスに来る、悟空がパリのすぐそばに自分のパークを持つ、と言い切りました。慎重に名前を伏せた大統領と、断言した地域圏議長。この差が、そのまま今回の混乱の形になっています。

先に大きく報じられたことが交渉にどう働くかは、まだ誰にも分かりません。ただ、権利者に何も言わせないまま国のトップが看板を掲げてしまった順番は、日本の出版・アニメの商習慣からは相当に遠いものです。リーブル・エブドは、『週刊少年ジャンプ』の元編集長で鳥山さんの担当編集だった鳥嶋和彦さんが8月26日にXで、この件になぜ日本人が誰も関わっていないのかと疑問を投げかけた、とも伝えています。

日本のファンが引っかかったのは金額ではなく「版権元は合意したのか」だった

日本側の受け止めも、実は最初から金額の話ではありませんでした。週刊女性PRIMEは8月26日、今回の発表に対するネット上の声として、フランスとサウジが合意したというなら版権元も合意したのか、日本の作品なのに外国で作られるのはつくづく情けない、といった投稿を紹介しています。1兆円という数字より、誰が許可したのかという一点に反応が集まっていた。ル・モンドの報道は、その疑問にそのまま答えた形になりました。

この計画をどう読むかは、8月24日の署名を伝えた記事で書いたとおり、発表文に東映アニメーションの名前が入るかどうかが分かれ目でした。入らなかった理由が、今回の報道で1つ埋まったことになります。2026年の着工が発表されているサウジアラビアのドラゴンボールパークと比べると、順番の違いがよく見えます。

日本のファンにとっての実際の関心は、悟空のパークがどこに建つかよりも、日本の作品を海外で大きく使うときに日本側がどこまで主導権を持てるのかという点にあります。フランスは世界で2番目にマンガが読まれている市場で、2026年4月にはヴォクリューズ県のパルク・スピルーに日本国外で初めての『NARUTO』エリアができました。受け入れ側の土壌は十分にある。足りていないのは、権利を持つ側と話をつける順番のほうです。

サウジのときは合意が先、今回は発表が先。順番が逆になった

整理すると、今回の構図はシンプルです。資金も土地も政治的な後押しもそろっているのに、作品を使う許可だけがない。2024年のサウジの案件では合意が先にあり、今回は発表が先に出ました。この順番の違いが、開業日も運営者も残り2つのテーマも決まらないまま報道だけが走っている状態を作っています。

次に動くとすれば、5社のどこかが公式に態度を示したときです。東映アニメーションが許諾を公表するのか、集英社やカプセルコーポレーショントーキョーが窓口として出てくるのか、あるいは沈黙が続くのか。ここが決まらないかぎり、パリ近郊に建つのが本当にドラゴンボールのパークなのかは確定しません。続報が出たら追いかけます。

編集部
吉沢まこと
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。