2026年5月27日、ドラクエ40周年の特番で『ドラゴンクエストXII 夢の彼方へ』が発表。前作DQ XIから9年・XII初発表から5年を経ての完全リスタートで、発売日と対応機種は未定。

主人公デザインは英語圏で即ミーム化。最大バイラル投稿は51.3万表示の皮肉系、第2位30.7万表示は鳥山明遺作論の擁護派。KotakuもThe Gamerも”divisive”と評する。

シリーズ累計の80%以上が日本市場で、海外で売れない説はほぼ事実。ただしDQ III HD-2D Remakeは全世界200万本のうち約100万本が海外で、海外比率約50%まで跳ねた例外。

2026年5月27日、ドラクエ40周年の放送で『ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎』の開発リスタートが発表された。新タイトルは『ドラゴンクエストXII 夢の彼方へ(Beyond Dreams)』。発売日も対応機種も未定で、雰囲気はダーク路線から「明るく王道ファンタジー」へ全面転換。海外では主人公のビジュアルが即ミーム化し、賛否が割れた。「作り直し」「キャラクターデザイン」「ドラクエは海外で本当に売れていないのか」の3点を、海外メディアの一次反応と歴代販売本数の比較表で検証する。

海外メディアは”作り直し”を淡々と事実報道——Game InformerもEngadgetも論調は冷静

海外大手はおおむね淡々と事実を報じている。Game Informer、Engadget、Nintendo Lifeは見出しに「from scratch」「complete reset」を入れつつも、エグゼクティブP斉藤陽介氏のコメント「ナンバリングがどうあるべきかを突き詰めた結果、新体制で作り直すと決断した」を引用するに留めた。Wccftechは「5年の沈黙の末にスクラップ」と強めだが、報道トーン自体は事実中心。日米のフォーラムやSNSがそれぞれどう受け止めたかについては、本記事では一次調査をしていないので踏み込まない。

主人公デザインに賛否——Kotaku・The Gamer・Know Your Memeで”割れている”

ここは荒れている。Kotakuが「Weirdly Bland Protagonist(妙に味気ない主人公)」、The Gamerが「Gen Z Protagonist」、Know Your Memeにはすでに専用ページが立った。批判の中心は3つ。

  • 半開きの目元が「眠そう/病弱/stoner(ヤク中)に見える」
  • ヘアスタイルが欧米で2020年代初頭に流行ったゆるパーマ(Zoomer perm)に酷似し「世代的に古い」と受け取られている
  • 「主人公というよりイジメられっ子のサブキャラ顔」

擁護の声は2つ。第一に、主人公は「夢に苦しめられる」設定なので眠たげな表情は意図的な演出だという読み。第二に、これが鳥山明氏(2024年逝去)が手掛けた最後のドラクエ主人公デザインであるという文脈の重み。CBRはこの「遺作」性を全面に押し出した擁護記事を出している。

X(旧Twitter)でもKnow Your Memeに専用ページが立ち、起点となった投稿が複数特定されている。実態は「同じコンセプトアートを批判派と擁護派が同じ素材として使い回す」状態で、批判一色ではない。発表当日の最大バイラル投稿は皮肉系(@oluvids、51.3万表示)だが、第2位は擁護の起点(@EmperorBigD「鳥山明が手掛けた最後のDQ主人公。End of an era」、30.7万表示)。両者の規模は拮抗していて、KotakuもThe Gamerも揃って “divisive”(割れている)と書いている。

面白いのは次の流れだ。Mel Stone(@melstonemusic)が「スクエニに発売日を聞くとこの目で見てくる」とコンセプトアートを切り抜いて貼った投稿が、その日のうちにcaroline(@soonrightaway)に引用されて「この画像、見てたら愛着湧いてきた。乗ったわ」へ反転した。批判素材として作られた画像が、同じ画像のまま擁護派にも回収される。冷静な議論より画像が先に走り、その同じ画像の上で批判と擁護が同時進行している。これが英語圏の現状である。

販売数で見る”海外で人気がない”説——ほぼ事実、ただしHD-2Dリメイクは例外

DQ12の作り直し報道が出るたびに必ず再生産される論点が「どうせ海外では売れないIPだから」。これを歴代ナンバリングの日本/海外販売本数で確認する。複数ソース統合のため概数。

タイトル日本初発売年日本海外海外比率
DQ I(FC)1986約150万本北米 約50万本(Dragon Warriorとして配布キャンペーン含む)約25%
DQ II(FC)1987約240万本北米 約15万本約6%
DQ III(FC)1988約380万本北米 約9.5万本約2%
DQ IV(FC)1990約310〜318万本北米 約8万本約2.5%
DQ V(SFC)1992約280万本SFC版海外未発売/DS版で北米6万・欧州7万DS版でも約5%
DQ VI(SFC)1995約320万本DS版で初の海外展開(規模小)一桁%
DQ VII(PS)2000約410万本PS版 北米+欧州 約20万本/3DS版 北米初月3.5万約5%
DQ VIII(PS2)2004約370万本約120万本約24%
DQ IX(DS)2009約426万本約104万本(2010年末ワールドワイド530万到達時点)約20%
DQ X(Wii、オンライン)2012100万本超(パッケージ、2014年時点)中国版(Shanda Games運営、2016年末〜2019年5月30日でサービス終了。約3年でVer.3相当まで運営)撤退済
DQ XI(PS4/3DS)2017約320万本(2018年11月時点)約80万本(同時点)約20%
DQ XI S(Switch等、決定版)2019〜XIシリーズ累計で約850万本(2026年時点)同上に含む累計で約25〜30%
DQ III HD-2D Remake2024.11物理+デジタルで約100万本約100万本約50%
DQ I & II HD-2D Remake2025.11初週41.3万本(11月単月約30万本)DQIII+DQI&II 合算で全世界400万本超(2026年5月)未公表
DQ VII Reimagined2026.02初週45.6万本米国Circanaで強含み、数字未公表未公表

表から読み取れることは、率直に言えば「ドラクエは海外で人気が薄い」がほぼ事実である、ということだ。注釈は4つ。

第一、初期から海外比率は構造的に低い。DQ I(北米50万本)はNintendo Power誌の無料配布キャンペーンで底上げされた数字で、DQ II〜IVは8万〜15万本のレンジ。米国エニックスが閉鎖された1995年より前から、海外でDQは商業的に成立していない。「閉鎖がなければ違った」は希望的観測で、実績が支えない。

第二、DQ VIII以降の海外比率20%前後は事実だが、絶対値はDQ8:120万 → DQ9:104万 → DQ11:80万むしろ減少している。同時代の据置JRPGがFF15で全世界1000万本(2022年5月)、ペルソナ5シリーズでP5+P5R合算1046万本(2025年8月)を出している。海外100万本前後はAAA JRPGの中ではまさに「日本専用」と呼ばれる水準にあたる。「ゼロではない」という以上のことは言えない。

第三、DQ Xは中国版が2016年末にShanda Games運営でローンチされたが、約3年(Ver.3相当まで)で2019年5月30日にサービス終了した。撤退理由としては、中国が2000〜2015年までゲーム機輸入を禁止しており過去作のDQ体験者が極端に少なかったこと、ゲーム嗜好の差が指摘されている。アジア圏での失敗例として、欧米中心の議論では見落とされがちな具体ケース。

第四、ただしHD-2Dリメイク路線は例外的に伸びている。DQ III HD-2D Remake(2024年11月)は全世界200万本のうち約100万本が海外で、海外比率は約50%。過去の20%レンジから倍以上に跳ね上がっている。確認できる関連事実は2点。Octopath Travelerシリーズが全世界700万本(2026年3月時点)まで積み上がり、HD-2D形式そのものが欧米市場で先に商業的に成立していたこと。DQ III HD-2DのSteam版ユーザーレビューが91%好評(1,461件)でPC Gamer等の専門メディアレビューも高評価だったこと。なぜHD-2Dだけ海外比率が跳ね上がったのかについての確定的な要因分析は、購入層調査がないため踏み込まない。DQ I&II HD-2D(2025)とDQ VII Reimagined(2026)も同路線で続いており、シリーズ累計400万本超を上乗せした。

結論として「ドラクエは海外で人気がない」はナンバリング新作についてはほぼそのまま事実。注釈をつけるなら「ゼロではなく100万本ラインは出している」「同時代の据置JRPGに比べると見劣りする規模」「HD-2Dリメイク路線だけは海外比率50%まで跳ね上がる例外」「アジア圏でも失敗事例がある」あたり。

そしてここがDQ12にとって重要。DQ12『夢の彼方へ』のトレーラーはフルポリゴン3Dで、HD-2D路線ではない。海外比率50%という例外はDQ12には直接波及しない。DQ12が海外で取りに行ける現実的な参照値はDQ XIの80〜100万本(比率20-30%)。それ以上を期待する根拠は表にはない。

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