📊 3行サマリー
- NAVER系WEBTOON Entertainmentが2026年Q1決算を発表、日本売上は1億5,430万ドル(約239億円)で前年比6.1%減
- 韓国売上は固定為替で前年比+3.2%、韓国の月間課金ユーザーは+8.5%。グローバル月間アクティブユーザーは約1.45億人
- 日本の課金ユーザー1人あたり売上は22.5ドルで世界一、韓国(7.8ドル)の約3倍。LINEマンガが収益のドル箱から「縮むドル箱」へ移行する局面
📝 WEBTOON Entertainment、Q1日本売上1.54億ドルで6.1%減と発表
韓国NAVERの傘下にあるWEBTOON Entertainment(NASDAQ: WBTN)は2026年5月11日、第1四半期の決算を発表した。全社売上は3億2,090万ドルで前年同期比1.5%減。最も収益性の高い日本市場の売上は1億5,430万ドル(約239億円)で、前年比6.1%減と縮んだ。ただし利益面は別の景色で、純損失は2,200万ドルから880万ドルへ約60%縮小、調整EBITDAは132%増の950万ドル。売上は減っているのに利益は出ている、という奇妙な構造の転換が、日本のLINEマンガ親会社で起きているという話だ。
📰 Anime News Network:赤字は約60%縮小、調整EBITDAは2.3倍に拡大
元ネタ:WEBTOON Ent. Narrows Losses in 1st Quarter 2026(Anime News Network / 2026-05-19)
Japan remains the company’s most lucrative market on a per-user basis. The average revenue per paying user in Japan was US$22.5, far higher than in Korea (US$7.8) or the rest of the world (US$6.8).
ANNはWEBTOONの公式発表と聯合ニュース(YNA)を引用しつつ、調整EBITDA950万ドルが従来ガイダンスの上限を超えたこと、Q1決算で損失幅が大幅に縮んだことを伝えている。韓国売上が固定為替で前年比3.2%増、韓国・日本を除いたグローバルの月間課金ユーザーが3.3%伸びた点も併記されており、利益改善の出どころが日本ではないことが明示されている。
🔥 日本減を韓国の課金ユーザー+8.5%が部分的に相殺、ARPPUは依然3倍乖離
WEBTOONの収益構造は、市場別に切って見るとはっきり二極化している。日本は1人あたり単価が高い成熟市場で、課金ユーザー1人あたり売上(ARPPU)が月22.5ドル。韓国(7.8ドル)の約2.9倍、その他地域(6.8ドル)の3.3倍にあたる。ところが日本の月間アクティブユーザーは2,110万人で前年比3.6%減、課金ユーザーは210万人で8.3%減と、ユーザー基盤そのものは縮んでいる。
韓国はその真逆だ。課金ユーザーが前年比8.5%増。単価は日本の3分の1だが、ユーザー数の伸びで売上を押し上げ、固定為替ベースで+3.2%成長した。全社のグローバル月間アクティブユーザーは1億4,500万人。「単価で稼ぐ日本」と「ユーザー数で伸びる韓国+その他」、2つのエンジンが逆方向に動く非対称な構造が、いま決算上に浮き上がってきた格好だ。
🇯🇵 LINEマンガが「縮むドル箱」へ、ピッコマは別陣営という前提
ひとつ整理しておきたい。ここで言う日本売上1億5,430万ドルは、主にLINEマンガ・eBookJapanなどNAVER WEBTOON系の数字であって、Kakao系のピッコマは別会社(Kakao Piccoma)の決算に乗る。つまり日本のウェブトゥーン市場全体が縮小したという話ではなく、NAVER系のLINEマンガが日本で6%減速したのが今回のニュースの核心になる。
日本市場はWEBTOON Entertainmentにとって全社売上の約48%を占めるドル箱で、ユーザー1人あたり単価も世界最高水準。それが3年連続で月間アクティブユーザーを減らしながら、課金単価の伸びで全社の利益体質を支えてきた構造が、今回の減収で揺らぎ始めた。日本のマンガアプリ市場でピッコマが売上首位を維持していることを踏まえると、LINEマンガは『単価は高いが伸びない日本』と『単価は低いが伸びる韓国とその他』のあいだで、どちらに賭けるかを選ばされる段階に入った、と読める。
ジュンク・キムCEOは決算で「堅実な第1四半期」と評価しつつ、アマチュア向けプラットフォーム『CANVAS』の大規模リニューアルを年内に進めると明言した。AI推薦の強化とあわせて、韓国・グローバル側の新規ユーザー獲得に資源を振り向ける宣言と受け取れる。日本側でも、ダンデライオン制作で2026年放送予定の『エレキシード』など、IP収益化(Q1で3桁%成長)が新しい柱として動き始めている。
🏁 成熟する日本市場、伸びる韓国——収益構造の転換が始まった四半期
2026年Q1の決算が示したのは、ウェブトゥーン業界の重心が静かにずれ始めているという事実だ。売上の半分弱を稼ぐ日本がユーザー数・売上ともに減速し、もう半分を稼ぐ韓国とその他地域がユーザー数で伸びている。「単価で稼ぐ日本」モデル単独では、もはや成長戦略にならない。次の見どころは2つ。WEBTOONがアニメ化・IP事業の3桁%成長を本格化させて日本依存からの転換を完了できるか、それともピッコマに食われる前に日本市場で課金ユーザーを取り戻す手を打つか。個人的には、Q2でLINEマンガの日本月間アクティブユーザーが2,110万人から下振れするかどうかが、今年最大の分岐点になると見ている。


