2026年7月29日 海外メディアとファンの愛を、脚色なしで日本語に @VelleityNote
Home/音楽・カルチャー/【韓国】エヴァ『残酷な天使のテーゼ』、公式の韓国語版が7月30日に公開。少女時代テヨンの『晩餐歌』に続く第2弾

【韓国】エヴァ『残酷な天使のテーゼ』、公式の韓国語版が7月30日に公開。少女時代テヨンの『晩餐歌』に続く第2弾

編集部
吉沢まことVelleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
公開
最終更新
verified現地の一次ソースで確認 約5分で読めます
【韓国】エヴァ『残酷な天使のテーゼ』、公式の韓国語版が7月30日に公開。少女時代テヨンの『晩餐歌』に続く第2弾

3行サマリー

  • 『新世紀エヴァンゲリオン』の主題歌『残酷な天使のテーゼ』の韓国語版が、7月30日18時に韓国の音楽配信サイトで公開されます。歌うのはシンガーソングライターのハンロロ(한로로)です。
  • これは歌手で放送人のカンナムが企画した「J-POP REMAKE」プロジェクトの2曲目。1曲目は少女時代テヨンが歌ったtuki.『晩餐歌』で、6月29日に公開されています。
  • 原曲は1995年に高橋洋子が歌ったもの。日本のアニメ主題歌が、31年目にして韓国語で正式に歌い直されることになります。

エヴァ『残酷な天使のテーゼ』、公式の韓国語版が7月30日18時に公開

『新世紀エヴァンゲリオン』の主題歌『残酷な天使のテーゼ』が、韓国語で正式にリメイクされます。所属事務所のSHgoldネットワークスが7月27日に発表しました。歌うのはシンガーソングライターのハンロロ(한로로)で、音源は7月30日18時に韓国の各音楽配信サイトで公開されます。

ファンが勝手に訳して歌う「번안(翻案)」ではなく、権利処理を済ませた公式の韓国語版という点がこれまでと違います。長らく非公式のカバーが積み上がってきた曲だけに、韓国のエヴァファンにとっては節目の一曲になりそうです。

スポーツ京郷とアジア経済が報じた「J-POP REMAKE」第2弾の中身

出典한로로 ‘잔혹한 천사의 테제’ 리메이크(スポーツ京郷 / 2026年7月27日)

出典한로로, ‘잔혹한 천사의 테제’ 한국어 리메이크(アジア経済 / 2026年7月27日)

시대를 대표하는 일본 명곡을 대한민국 아티스트들의 음악적 색채로 재해석해 선보이고 있다.
(時代を代表する日本の名曲を、韓国のアーティストの音楽的な色で再解釈して届けている)

両紙とも、発表元はプロジェクトを主管するSHgoldネットワークスだと明記しています。歌い手のハンロロは、文学的な歌詞とモダンロックのサウンドで知られる書き手で、2026年の第23回韓国大衆音楽賞では「今年のミュージシャン」に選ばれました。韓国の音楽賞のなかでも批評性の強い賞で、いわゆるアイドル枠とは別の評価軸にいる人です。

この曲との縁も急に生まれたものではありません。ハンロロは2024年の音楽イベント「WONDERLIVET 2024」で『残酷な天使のテーゼ』をすでに歌っていて、原曲のロックの手触りを残したまま自分の声に寄せた編曲が話題になりました。当時から音源化を望む声が出ていたと、スポーツ京郷は伝えています。

第1弾は少女時代テヨンの『晩餐歌』。企画したのはカンナム

「J-POP REMAKE」は、歌手で放送人のカンナムが企画し、SHgoldネットワークスが主管、カカオエンターテインメントが流通を担うプロジェクトです。日本の名曲を韓国のアーティストの声で歌い直す、という一点に絞った企画で、6月に立ち上げが発表されました。

第1弾は、少女時代のテヨンが歌ったtuki.『晩餐歌』。6月29日に公開されました。原曲はtuki.が15歳のときに書いた曲で、YouTubeの再生回数が1億回を超えたJ-POPの代表曲のひとつです。韓国メディアの報道によれば、テヨン版はBugsのリアルタイムチャートと日刊チャートでそれぞれ1位、メロンのTOP100では13位に入っています。テンアジアは「テヨンがリセンヌと手を組んで大当たり」と、音源チャート上位進出を伝えました。ミュージックビデオには、日本人メンバーのミナミが在籍するグループRESCENE(リセンヌ)のメンバーが出演しています。RESCENEは7月にもKARAの18年前の曲をリメイクしてメロン1位を取っており、「昔の名曲を今の声で歌い直す」流れの真ん中にいるグループです。

企画の出発点は、韓国と日本の文化をどちらも近くで見てきたカンナムの長年の問題意識にあった、とスポーツ京郷は説明しています。自分のYouTubeチャンネルで日本のヒット曲をカバーしてきた延長線上に、この企画が置かれている形です。

韓国のファンの反応は「30年前の名曲」への驚きに寄っている

発表直後の韓国のオンラインコミュニティでは、ゲーム・アニメ系の掲示板ルリウェブに記事が転載され、コメントが集まりました。目立ったのは「30年前の名曲だなんて」という時間の長さへの驚きと、「ロロよ、エヴァに乗れ」というエヴァファンらしい軽口です。「カンナムのブッキング力がすごい。RESCENEの次はハンロロか」と、企画そのものへの評価に触れる声もありました。

個々の書き込みは匿名なので事実の根拠にはできませんが、反応の重心が「誰が歌うか」よりも「あの曲が正式に韓国語になる」という一点に寄っているのは、はっきり見て取れました。韓国では長らく非公式の翻案歌詞が出回ってきた曲です。そこに公式版が加わることの意味を、ファン側が先に理解している印象を受けました。

日本のアニメ主題歌が「訳される側」に回ったということ

日本から見て面白いのは、この企画の向きです。これまで日韓の音楽の話といえば、K-POPが日本語詞で日本市場に出ていく話がほとんどでした。今回はその逆で、日本の曲が韓国語に訳されて韓国市場に出ていきます。しかも一発ネタではなく、Vol.1、Vol.2とナンバリングされた継続プロジェクトとして組まれています。

選曲も示唆的です。1曲目のtuki.『晩餐歌』は2023年の新しい曲、2曲目の『残酷な天使のテーゼ』は1995年の曲。世代の幅を意図的に広く取っていて、「いまのJ-POP」と「アニメ経由で世界に届いた古典」の両方を韓国語で鳴らそうとしています。日本のアニメソングが、海外で消費される素材ではなく、現地の一流アーティストが正面から取りに行くレパートリーになりつつある、ということだと受け止めました。

権利面が整理された公式リメイクである以上、原曲の権利者側にも収益が戻ります。日本の音楽が海外で稼ぐ経路として、ライブ遠征や配信だけでなく「現地語カバーの正規化」という道が現実的な選択肢に育つかどうか。この2曲がその試金石になります。

ただ、いまの時点で出ているのは2曲だけです。第1弾がチャートで結果を出したのは、曲の力よりもテヨンという名前の力が大きかったはずで、知名度で押せない歌い手が続いたときに同じ数字が出るとは限りません。ハンロロは批評家からの評価が高い一方、テヨンほどの大衆的な集客力を持つ人ではない。第2弾の成績こそが、この企画が「テヨン一発」で終わるのか、日本の楽曲を運ぶ常設の経路になるのかを分けると見ています。

30年前のアニメ主題歌が、いま韓日の音楽をつなぐ入口になっている

『残酷な天使のテーゼ』は、日本ではもうカラオケの定番として空気のように存在している曲です。その曲が、隣の国では2026年にようやく公式の言葉を得る。同じ曲でも国境を挟むと時計の進み方が違うのだと、あらためて感じました。

ハンロロ版の出来がどうであれ、この企画がVol.3、Vol.4と続くかどうかが本当の見どころです。7月30日18時、韓国の音楽サイトに並ぶ1曲を、日本のリスナーも一度聴いてみる価値があると思います。

編集部
吉沢まこと
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。