2026年8月19日 海外メディアとファンの愛を、脚色なしで日本語に @VelleityNote
Home/音楽・カルチャー/【韓国】松田聖子『青い珊瑚礁』の韓国語版が配信開始。翌朝のメロンで95位、6月に出たテヨンの『晩餐歌』はいまも7位

【韓国】松田聖子『青い珊瑚礁』の韓国語版が配信開始。翌朝のメロンで95位、6月に出たテヨンの『晩餐歌』はいまも7位

編集部
吉沢まことVelleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
公開
最終更新
verified現地の一次ソースで確認 約7分で読めます
【韓国】松田聖子『青い珊瑚礁』の韓国語版が配信開始。翌朝のメロンで95位、6月に出たテヨンの『晩餐歌』はいまも7位

3行サマリー

  • 松田聖子さんが1980年に発表した「青い珊瑚礁」の韓国語版が、8月18日18時(現地時間)に配信開始。歌ったのはAKMUのイ・スヒョンさんです
  • 配信から15時間後の8月19日9時に韓国の3チャートを確認したところ、メロン95位、Bugsリアルタイム16位(11ランク上昇)、genie 67位でした
  • 同じ企画の第1弾、テヨンさんが歌ったtuki.「晩餐歌」は配信から51日たってもメロン7位・Bugs 5位に残っています

松田聖子「青い珊瑚礁」の韓国語版、配信15時間でBugsリアルタイム16位に入った

松田聖子さんが1980年に発表した「青い珊瑚礁」の韓国語版が、8月18日18時(現地時間)に韓国の音楽配信サイトで公開されました。歌ったのはAKMUのイ・スヒョンさん。歌手でタレントのカンナムさんが企画する「J-POP REMAKE」プロジェクトの第3弾です。

配信の予告段階については8月12日の記事で書きました。あのときはまだ「配信の発表だけでXの賛否が割れている」という段階でした。今回は音源が実際に出たので、配信の翌朝に韓国の音楽チャートを見にいっています。

8月19日9時(日本時間・韓国時間とも同じ)に確認したところ、Bugsのリアルタイムチャート(8時集計)で16位。前の集計から11ランク上がっていました。46年前の日本の曲が、韓国語の歌詞に置き換わって、韓国のリアルタイムチャートの20位以内にいます。

日刊スポーツとヘラルドミューズが伝えた配信当日、MV主演は女優のシンシアさん

出典악뮤 이수현, ‘푸른 산호초’ 리메이크 오늘(18일) 발매…신시아 MV 지원사격(日刊スポーツ / 2026年8月18日)

出典악뮤 이수현, 오늘(18일) ‘푸른 산호초’ 발매..독보적 여름 감성(ヘラルドミューズ / 2026年8月18日)

신시아는 강원도 묵호의 푸른 바다를 배경으로 한 편의 청춘 영화 같은 연기를 펼치며 이수현의 보컬과 특별한 시너지를 더했다.(シンシアは江原道・墨湖の青い海を背景に、一本の青春映画のような演技を見せ、イ・スヒョンのボーカルとの相乗効果を加えた)

両紙とも、ミュージックビデオの主演が女優のシンシアさんで、撮影地が江原道の墨湖(ムコ)だと伝えています。ヘラルドミューズは、シンシアさんが手書きのメッセージでリメイクを応援したことにも触れました。ティザー映像は前日の8月17日18時にカンナムさんのYouTubeチャンネル「동네친구 강나미」で先に出ています。

そのYouTubeの数字も見ておくと、8月19日9時の時点でミュージックビデオ本編が31万2,931回、前日に出たティザーが34万4,207回。公開から1日長いぶんとはいえ、ティザーのほうが本編より多く回っています。

3つのチャートを並べると、第1弾テヨンの「晩餐歌」が51日たっても上にいる

チャートは1つだけ見ても振れ幅がわからないので、同じ時刻に3つ確認しました。同じ企画の第1弾・第2弾も一緒に探しています。

曲(企画での順番)メロンBugsgenie
青い珊瑚礁/イ・スヒョン(第3弾・8月18日配信)95位16位(11ランク上昇)67位
晩餐歌/テヨン(第1弾・6月29日配信)7位5位(変動なし)13位
残酷な天使のテーゼ/ハンロロ(第2弾・7月30日配信)圏外圏外圏外
2026年8月19日9時(日本時間)に各サイトで確認。3つとも毎時更新の実時間チャートで、対象はメロンがTOP100、Bugsが100位まで、genieがTOP200まで。

目を引いたのは第1弾のほうです。テヨンさんが歌ったtuki.「晩餐歌」は6月29日の配信で、この日で配信から51日。それでもメロン7位、Bugsリアルタイム5位にいます。7月にこの企画を書いたときは、韓国メディアの報道でメロンのTOP100が13位でした。そこからさらに上がっていることになります。

一方で、第2弾のハンロロさんが歌った「残酷な天使のテーゼ」は3つとも圏外でした。ハンロロさん自身の曲は同じ時刻にgenieで11位・16位・38位に入っているので、歌い手が沈んでいるわけではありません。企画としての3曲が、そろって同じ結果になっているわけではないということです。

配信前は「なぜ8月に」だった反応が、公開後は翻案歌詞の出来の話に移っている

8月12日の記事で書いたとき、韓国のXで目立っていたのは「そもそもなぜJ-POPリメイクという企画をやるのか」「8月だけはこういうものを見たくない」という声でした。8月15日は光復節で、日本の植民地支配からの解放を記念する日です。配信日はその3日後にあたります。

ところが音源が出たあと、ミュージックビデオのコメント欄で上位に並んでいるのは、ほとんどが歌そのものの話でした。8月19日9時に確認したところ、最も多くのいいねを集めていたのは「イ・チャンヒョクさんがハモリで割り込んでくるんじゃないかとハラハラしながら最後まで聴いた」という4,100いいねの書き込みです。イ・チャンヒョクさんはイ・スヒョンさんの兄で、AKMUのもう一人。ソロ名義の曲なのに兄が出てくる前提で聴いてしまう、という身内ネタです。

そのほかでは「参加した歌手を全員集めてライブをやるべきだ」に2,200いいね、「翻案の歌詞は普通の作詞と違って表現に制約があるのに、曲をうまく理解して耳をつかんだ」に1,500いいね。「翻案がぎこちないと言われても、歌手がキャリーすれば曲は良くなると証明した」という書き込みにも443いいねが付いていました。個々のコメントは匿名なので事実の根拠にはできませんが、反応の重心が時期の話から歌詞と歌の話へ移ったことは、いいね数の並びからはっきり見て取れます。

韓国語の「번안(翻案)」は日本語の「カバー」とずれている

コメントに何度も出てくる「번안(ポナン)」という言葉について補足します。日本語に訳すと「翻案」ですが、日本語で普段そう言う場面はほとんどありません。

韓国語漢字本来の意味日本語での普通の言い方
번안(ポナン)翻案原曲のメロディーはそのままに、歌詞を自国語で作り直すこと「日本語詞をつけた」「訳詞」

ずれているのはここです。日本語の「カバー」は、原語のまま歌う場合も歌詞を訳す場合もどちらも含みます。韓国語の번안は歌詞を書き換えることが前提の言葉なので、「번안이 어색하다(翻案がぎこちない)」という批評がそのまま成立します。つまり韓国のリスナーは、この曲を「イ・スヒョンさんのカバー」ではなく「誰かが韓国語詞を書き直した作品」として聴いていて、その書き直しの出来を採点しているわけです。韓国語の詞は「Bay」名義でクレジットされています。

具体的にどこが話題になったかというと、「남쪽 바람(南の風)」でした。「歌詞に入れるとかなり不自然になりかねない言葉なのに、今回は神の一手だ」という書き込みに24いいねが付いています。おもしろいのは、原曲の同じ箇所も三浦徳子さんの詞で「南の風に乗って」と歌っていることです。直訳に近い置き換えが、韓国語では逆に耳慣れない響きになって、それが幻想的だと受け取られた形になります。日本語で聴き慣れた一節が、海を渡ると耳新しく響く。今回いちばん印象に残ったのはそこでした。

配信より前のティザー期間に、日本ではAKMU、韓国では松田聖子の閲覧数が跳ねていた

日本にとっての意味を数字で見るために、ウィキメディアのPageviews APIで各ページの閲覧数を取得しました。8月11日から17日の1日あたり平均と、その前の8月4日から10日の平均を比べています。APIの確定値は8月17日までしか出ないので、この数字には8月18日の配信そのものは含まれていません。見えているのはティザーが流れていた期間の動きです。

ページ8月4日〜10日8月11日〜17日倍率
韓国語版「마츠다 세이코(松田聖子)」15.3回/日58.4回/日3.82倍
日本語版「AKMU」64.6回/日229.3回/日3.55倍
日本語版「松田聖子」1,578.4回/日1,612.6回/日1.02倍
ウィキメディアのPageviews API(all-access/user)で2026年8月19日に取得。確定値は8月17日まで。

平均でならすと3倍前後ですが、日別に見ると増えたのはほぼ8月16日の1日でした。韓国語版の「마츠다 세이코」はその日だけ230回(前後の日は10〜50回台)、日本語版の「AKMU」は800回(前後の日は70〜190回台)です。歌い手の発表が8月12日、ティザー公開が8月17日なので、この日に何があったのかは特定できていません。原因を断定せずに書いておきます。

それでも方向ははっきりしています。韓国では松田聖子さんを調べる人が増え、日本ではAKMUを調べる人が増えました。一方で日本語版の「松田聖子」はほぼ動いていません。日本の側から見ると、この件で新しく知りたくなったのは松田聖子さんではなく、歌ったほうの人だったということです。

日本の音楽にとって、これは輸出の形が1つ増えたという話でもあります。韓国では1998年まで日本の大衆文化の輸入が制限されていて、いまも日本語の歌が地上波で流れることはほとんどありません。だからこそ「権利処理を済ませて韓国語で歌い直す」という形式に意味があります。企画は今回で3曲目まで来て、1曲目はまだトップ10に残っている。日本の曲が韓国のチャートに常駐しているという状態は、これまであまり見なかった景色です。

1曲目がまだ7位にいることが、この企画のいちばんの成果になっている

今回の配信で見えたのは、青い珊瑚礁が初日でどこまで行ったかよりも、51日前に出た「晩餐歌」がまだトップ10にいるという事実のほうでした。単発の話題ではなく、聴き続けられている曲がある。第2弾が圏外にとどまっていることも含めて、企画としての当たり外れがはっきり出ています。同じ枠組みで出た3曲でここまで結果が割れるとは思っていませんでした。

青い珊瑚礁がこの先どこまで動くかは、これから数日の集計を見ないとわかりません。今後の順位の推移と、第4弾に何の曲が選ばれるかは追いかけます。

編集部
吉沢まこと
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。