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【台湾】ONE PIECEや鬼滅の刃など日本の漫画24作品が韓国発WEBTOONに。縦読みに作り替えず横読みのまま配信

編集部
吉沢まことVelleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
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【台湾】ONE PIECEや鬼滅の刃など日本の漫画24作品が韓国発WEBTOONに。縦読みに作り替えず横読みのまま配信

3行サマリー

  • LINE WEBTOONの台湾版が横読み表示の新分類「翻頁漫畫」を設け、日本の単行本マンガ24作品を7月29日と8月12日の2回に分けて配信し始めた
  • 縦スクロールへの作り替えはなく、原作のコマ割りと見開きを残したまま、縦と横の表示を読者が切り替える形になっている
  • 8月18日時点の累計閲覧数は『呪術廻戦』が2万7299、8月12日組の『ONE PIECE』が634。24作品すべてに「授権区域:台湾」の表示がある

LINE WEBTOON台湾、日本の単行本マンガ24作品を横読みのまま配信し始めた

韓国NAVER系の縦スクロール漫画プラットフォーム、LINE WEBTOONの台湾版に「翻頁漫畫(ページをめくる漫画)」という分類が加わりました。並んでいるのは日本の単行本マンガ24作品です。『呪術廻戦』『鬼滅の刃』『僕のヒーローアカデミア』『SPY×FAMILY』『ONE PIECE』『ダンダダン』『SAKAMOTO DAYS』『Dr.STONE』『君に届け』といった、日本の読者にもなじみのある顔ぶれがそろっています。

配信は2回に分かれました。12作品が7月29日、残る12作品が8月12日です(各作品ページの初回配信日を8月18日に確認)。24作品すべてに「授権区域:台湾」と明記されており、台湾に限定したライセンスであることがわかります。

読者は縦読みと横読みを自分で切り替えられる

出典《咒術迴戰》《鬼滅之刃》《膽大黨》登上 LINE WEBTOON(巴哈姆特GNN / 2026年8月18日)

出典LINE WEBTOON 台湾版「翻頁漫畫」ジャンル一覧(LINE WEBTOON / 2026年8月18日に確認)

LINE WEBTOON日前正式推出全新功能「翻頁漫畫」,以橫向翻頁模式把日本單行本漫畫的閱讀節奏帶進手機螢幕。

台湾最大のACGメディアである巴哈姆特GNNは8月18日、この機能について「原作のコマ割り、見開きの迫力、ページをめくるリズムを完全に保つ」と伝えています。読者は作品の性質や自分の習慣に合わせて、縦に読むか横にめくるかを選べる。プラットフォーム側は、これで台湾版のコンテンツが「韓国と海外の縦読み」「台湾オリジナル」「CANVASの投稿作品」「日本の単行本マンガ」の4つの柱になったと説明しています。

台湾の読者が身構えていたのは「縦読みに切り刻まれること」だった

面白いのは、この配信が始まる前の空気です。7月23日、台湾最大の掲示板PTTのアニメ・漫画板にラインナップの画像が持ち込まれると、42件の反応がつきました。そこでの前提はほぼ全員が同じで、「日本の漫画は縦読みに作り替えられて来る」というものでした。過去に『鋼の錬金術師』が縦読み・カラー化された形で配信された前例があったからです。

議論の中心は見開きでした。「ONE PIECEを縦読みに分解して読みやすくなるのか」「ダンダダンのように見開きで魅せる作品は影響が大きいのでは」「一番の問題は見開きだ」。コマを切り離して並べ替える手法そのものへの拒否感を書く人もいれば、「正規に読める窓口が増えるのは良いこと」と受け止める人もいて、意見は割れていました。

答え合わせは7月30日に来ます。実際に開いた読者が「縦読みだと思って開いたら、横向きにめくる漫画だった」と投稿し、そこに「みんな縦になると思っていたのに、変わっていなかった」「作り替えていないなら応援したい。台湾には良い漫画の統合プラットフォームが本当に足りない」という反応が続きました。カラー化もされておらず、白黒のまま。左下のボタンで縦並びに切り替えることはできますが、それも1ページを上下に置き直すだけだ、という報告も出ています。身構えていたぶんだけ拍子抜けした、という空気が伝わってきて、そこが少し微笑ましく感じられました。

一方で、プラットフォームそのものへの不満も表に出ています。8月15日に立った「WEBTOONに不満を持っている人がこんなに多いとは知らなかった」というスレッドには27件の反応が集まり、コインの価格が高いこと、購入した話に広告が出ること、以前は無料だった作品が有料に変わることなどが並びました。月額制を望む声も複数ありました。日本の作品が入ったことと、課金への不信が、同じ場所で同時に語られている状態です。

20日たった『呪術廻戦』が2万7299ビュー、6日目の『ONE PIECE』は634ビュー

数字も見ておきます。8月18日に24作品すべての作品ページを確認したところ、累計閲覧数と購読者数は次のとおりでした(上位のみ抜粋)。

作品配信開始累計閲覧購読
呪術廻戦7月29日27,2994,666
鬼滅の刃7月29日20,3624,052
君に届け7月29日12,4034,847
SPY×FAMILY7月29日11,0723,700
僕のヒーローアカデミア7月29日7,3712,571
ダンダダン8月12日652323
ONE PIECE8月12日634316
SAKAMOTO DAYS8月12日279200

7月29日組と8月12日組では公開からの日数が違うので、単純な比較はできません。それでも1日あたりに直すと、『呪術廻戦』が約1,365、『ONE PIECE』が約106。世界で最も売れている漫画が、縦読みが主流のこの場所では3桁から始まっている。日本の漫画を読む層と、縦読みを読む層が、まだあまり重なっていないということだと思います。購読者数の最高は『君に届け』の4,847で、少年漫画ではなく少女漫画でした。

日本の見開きは、そのままの形で輸出できるのか

日本の作品を海外の縦読みプラットフォームに載せるとき、これまでは「縦に作り替える」が既定路線として語られてきました。スマートフォンの画面は縦長で、見開きは横長。この矛盾を解くには作り替えるしかない、という理屈です。実際に『鋼の錬金術師』はそうやって配信され、台湾の読者にも「あれは良かった」と評価する人がいます。

今回はその手を選んでいません。24作品を原作の形のまま入れて、表示の切り替えを読者に委ねた。作り替えには1作品ごとに人手とコストがかかりますし、切り分け方を誤れば作品の演出そのものが壊れます。24作品を一度に、しかも2週間の間隔で並べるという速度を取るなら、作り替えない選択は理にかなっています。

日本の出版社にとっては、コマ割りの編集権を渡さずに海外の大型プラットフォームの棚を借りられる、という前例になります。縦読みへの改変を許すかどうかは、これまで海外展開の交渉でいちばん重い論点のひとつでした。読者にとっては、慣れた形で読めるかわりに、縦読みに最適化された読み心地は手に入らない。どちらを取るかを、プラットフォームではなく読者が決める形に落ち着いたわけです。

作り替えないという判断が、次の輸出の前提を変える

台湾で始まったこの24作品は、まだ台湾限定のライセンスにとどまっています。数字も、プラットフォームの規模から見れば小さい。それでも、縦読みで育った読者に日本の見開きをそのまま差し出すという試みが、世界最大級の縦読みプラットフォームの中で始まった。ここは記録しておきたいところです。LINE WEBTOONは今後も日本の漫画を増やしていくとしており、閲覧数がどこまで伸びるかで、次に日本の作品が海外へ出るときの前提が変わります。

編集部
吉沢まこと
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。