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【アメリカ】任天堂のポケモン初代は開発に6年。北米ではアニメが3週間先に流れ、ゲーム、カードの順に広がった

編集部
吉沢まことVelleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
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【アメリカ】任天堂のポケモン初代は開発に6年。北米ではアニメが3週間先に流れ、ゲーム、カードの順に広がった

3行サマリー

  • 株式会社ポケモンの石原恒和社長が、8月28日にサンフランシスコで開かれたファン向けイベント「PokémonXP」に登壇し、初代の開発に6年かかったと振り返りました。
  • 北米での展開はアニメが1998年9月7日、ゲーム『ポケットモンスター赤・青』が9月28日、カードゲームが1999年1月9日と、3段階に分かれていました。
  • 初日の公式配信は、日本時間8月30日14時38分の時点で10万回再生・高評価829でした。

ポケモン30周年、初代の開発に6年かかったと社長がサンフランシスコで振り返った

PokémonXPは、ポケモンワールドチャンピオンシップス2026にあわせて8月28日から30日までサンフランシスコのモスコーンセンターで開かれているファン向けイベントです。株式会社ポケモンの石原恒和社長は初日の8月28日、現地時間15時30分から1時間、「Producing Pokémon: A Conversation with Mr. Ishihara」と題したパネルに登壇しました。パネルの開催は株式会社ポケモンの公式サイトが事前に告知しています。

ブラジルのポップカルチャー媒体O Vícioは、石原社長が初代の開発に6年かかったこと、ゲームボーイのカートリッジの容量が最大の壁だったことを語ったと報じています。同社によれば、当初の容量では150匹ではなく30匹しか入らない見込みで、それでは「たくさんの違うポケモンを捕まえる」という遊びの中心が成り立たなくなるところだったといいます。この30匹という数字はO Vícioの報道によるもので、ほかの媒体の報道はまだ確認できていません。

いっぽう、開発に6年という数字は今回が初出ではありません。石原社長は2026年1月のニューヨーク・ゲーム・アワードでも、ビデオメッセージで「最初の『赤・緑』を完成させるまでに6年かかった」と話しています。30周年の節目に、同じ数字が改めて語られたことになります。

出典:ブラジルのO Vícioと株式会社ポケモン公式が伝えた、8月28日の1時間

出典Tsunekazu Ishihara celebra os 30 anos de Pokémon em painel na PokémonXP(O Vício / 2026年8月29日)

出典Catch All the PokémonXP and 2026 Pokémon World Championships Action(The Pokémon Company / 2026年8月)

o desenvolvimento dos primeiros jogos demorou cerca de 6 anos(最初のゲームの開発には6年ほどかかった)

北米はアニメが9月7日、ゲームが9月28日、カードが翌年1月9日。3段構えで広がった

記録に残っている日付を並べると、北米でのポケモンの立ち上がり方がはっきり見えます。テレビアニメの放送開始が1998年9月7日、ゲーム『ポケットモンスター赤・青』の発売が同年9月28日、トレーディングカードゲームの英語版ベースセットの発売が1999年1月9日。アニメがゲームの21日前、つまり3週間先に流れていました。

O Vícioは、この順番が任天堂の立てた計画だったと石原社長が説明したと報じています。同社の記事によれば、ゲームフリークは当時すでに第2世代の開発に入っていて海外展開にはそこまで積極的ではなく、任天堂の側が「アニメを先に出し、次にゲーム、最後にカード」という道筋を用意したとのことです。

作品を知ってもらってから商品を出す順番は、いまでこそ当たり前に見えます。ただ1998年の時点で、日本のゲームを北米の子どもに届けるために放送から入るという判断をしていたのは、思い切った設計だったと受け止めました。

日本語の公式配信は80万回、英語のパネル配信は10万回。土台には岩田聡さんの仕事があった

今回のイベントが日本と海外でどう見られているかを、公開されている数字で確かめました。日本時間8月30日14時38分の時点で、The Official Pokémon YouTube channel が配信した「Day 1 | PokémonXP」は10万回再生・高評価829。同じ時点で、ポケモン公式YouTubeチャンネル(日本語)が配信した「ポケモンワールドチャンピオンシップス2026 ゲーム部門 1日目」は80万回再生でした。番組の中身が違うので単純な比較にはなりませんが、日本語圏で見られているのは競技そのもので、開発の裏側を語るパネルではない、という差がはっきり出ています。

そのパネルで石原社長が名前を挙げたのが、マリオの生みの親である宮本茂さんと、任天堂の元社長・岩田聡さんでした。O Vícioは、岩田さんが西洋向けのローカライズを可能にするコードの準備を助けたと石原社長が語ったと報じています。日本のファンには、任天堂公式の「社長が訊く」で岩田さん本人が「ゲームフリークさんは『金・銀』に専念してください、『赤・緑』は仕様や構造を一切聞かずにローカライズします」と話していたことで知られている仕事です。

日本の読者にとっての意味は、そこにあります。ポケモンが海外で広がった理由を「作品の力」だけに置くと、話は半分しか説明できません。容量の壁を6年かけて越えた開発と、他社のコードを外から読んで英語版に作り替えた技術と、放送から入る順番。この3つが重なった結果として、いまの30年があります。

次の30年で石原社長が見ているのは、スマートフォンとスマートグラスの先

O Vícioによれば、石原社長はこれからの関心として、スマートフォン、ウェアラブル端末、スマートグラスといった新しい機器をどう使ってトレーナーとつながり続けるかを挙げたそうです。カートリッジの容量と格闘していた会社が、次はメガネの話をしている。30年というのはそういう長さなのだと、素直に感心しました。

PokémonXPとポケモンワールドチャンピオンシップス2026は、8月30日までサンフランシスコで開催中です。

編集部
吉沢まこと
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。