📊 3行サマリー
- 韓国SHIFT UPが2026年5月11日のQ1決算で、PS5独占で売れた「Stellar Blade」の続編をソニー(SIE)経由ではなく自社パブリッシングで出すと表明。
- 同時開発の完全新作「Project Spirits」とあわせて、続編情報は年内に詳細公開。Project Spiritsのグローバル販売はTencent傘下Level Infiniteが担う。
- SHIFT UPは4月、バイオハザードの生みの親・三上真司が率いる開発約60人のUNBOUND Gamesを完全子会社化済み。日本人クリエイターが韓国大手の中核に入る構造になってきた。
SHIFT UPは5月11日のQ1決算で「続編はソニー経由ではなく自社で出す」と明言した
韓国・ソウルのゲームスタジオSHIFT UP(CEO:金亨泰、Kim Hyung-tae)が、2026年5月11日に公開した2026年第1四半期の投資家向け資料の中で、「Stellar Blade」続編をソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)を通さず自社パブリッシングで出すと初めて明言した。Stellar BladeはPS5独占で2024年4月に発売、2025年6月にPC版(Steam)も投入、いずれもSIEパブリッシングでの世界展開だった。続編がSIE抜きで出る理由について資料は多くを語っていないが、続編開発自体は「目標の品質基準を満たす見込み」で順調に進んでいるとだけ書かれている。SIEを通さない選択は、Stellar Bladeで得た600万本級の販売実績と自社のIR力で十分に世界に届くと踏んだ判断、と読むのが自然な線になる。
4Gamer.net報道:「続編はSHIFT UPの自社パブリッシングに。完全新作Project Spiritsとともに年内に詳細を発表予定」
元ネタ:「Stellar Blade」続編はSHIFT UPの自社パブリッシングに。完全新作「Project Spirits」とともに年内に詳細を発表予定(4Gamer.net / 2026年5月11日)
Stellar Bladeは,SIEから発売されたが,続編はSHIFT UPの自社パブリッシングとなる。開発は順調に進んでおり,目標の品質基準を満たす見込みだという。
Project Spiritsについては「効率的なコスト管理のもとで開発体制が整っており、順調に開発が進行中」と説明された。Project Spiritsは2025年11月にTencent傘下のLevel Infiniteとグローバルパブリッシング契約を結び済みで、こちらは外部パートナー経由での販売になる。続編はソニーを通さず自社で、新作は中国大手と組む。販売戦略を1社で抱え込まず、IPごとに使い分ける形にした。
4月1日にバイオハザードの三上真司が率いるUNBOUND Gamesを完全子会社化済み
もう一つの注目点が、SHIFT UPが2026年4月1日に完全子会社化したUNBOUND Gamesの存在だ。UNBOUNDは、初代『バイオハザード』のディレクターとして知られる三上真司氏が率いる新スタジオで、開発チームは約60人。4Gamer.netによれば、買収目的は人材獲得が主で、すでに世界観構築など複数領域で両社の協業が始まっており、ハイエンドからミッドスケールまで複数プロジェクトが並行で進んでいる。続編の自社販売化と、日本人ベテラン開発者の取り込みは、ほぼ同じ四半期に並行で進められた動きで、両者は無関係ではない。Stellar Blade続編の品質を支えるためのスタジオ強化と読める。
🇯🇵 ソニー離脱と三上真司の傘下入りが日本側にもたらす二つの含意
日本のゲームファンと業界から見ると、今回の発表は二段構えの意味を持つ。一つ目は、Stellar BladeをPS5独占で世界に届けてくれたSIE Japanの存在感が、続編フェーズで一段薄まること。Stellar BladeのPS5発売はSIEのファーストパーティ運営に近い体制で進められ、PS5本体の販売推進にも貢献していた。続編が完全に韓国スタジオ単独で出されるのは、SIEにとって強力な韓国産アクション枠を1つ失うインパクトがあり、PS5後継機を見据えた韓国ファーストパーティ戦略の見直しを迫られる材料になる。
二つ目は、三上真司氏という日本のアクション・サバイバルホラー文脈の象徴的人物が、韓国大手の傘下で次回作を作る構図ができたこと。直近の動きを並べると見え方がはっきりする。5月22日には『龍が如く』生みの親の名越稔洋氏が率いるNagoshi Studioが、出資元NetEaseから追加70億円の出資を得られず開発資金難に陥ったと報じられた(マ・ドンソク主演ゲームの開発危機)。5月23日には鉄拳の原田勝弘氏がサウジ資本のSNK傘下で新スタジオ「VS Studio SNK」を立ち上げた。日本のレジェンド開発者が、日本のメガパブリッシャーではなく海外大手の傘下で新作を作る構図が、この1か月だけで3例目になる。三上真司氏のUNBOUND→SHIFT UP傘下もこの流れの中にある。
韓国産AAAが「日本を経由せず」世界に届く時代の象徴になりつつある
Stellar Bladeは2026年1月時点でPS5+PC合計で約610万本に達したとSensor Towerが集計しており、Steam版は発売3日で100万本という韓国製ゲーム史上最速の立ち上がりだった。Steam日本のTop Sellersでも一時1位を取り、日本のSteamユーザーにとっても無視できないタイトルになっている。その続編がSIE Japanの手を借りずに、韓国スタジオ自身の手で世界に出る。同じスタジオが三上真司氏のような日本人クリエイターを取り込み始めている。「韓国産AAAが日本のパブリッシャーを介さず、日本人クリエイターを抱えながら、世界に届く」という構造が、ここで一つ可視化された。年内に出るとされる続編とProject Spiritsの詳細発表が、その実像をどこまで具体化するか。実弾が見えるのは2026年の冬になりそうだ。


