【インド】eスポーツ代表24人が名古屋アジア大会へ。挑む10種目の8つがセガ『ぷよぷよ』など日本のゲーム

3行サマリー
- インドが9月19日開幕の名古屋アジア大会に向けeスポーツ代表24人を発表。国内予選が対象とした10のメダル種目すべてに代表を確保した
- 挑む10種目のうち8つは『ぷよぷよ』『鉄拳8』『グランツーリスモ7』など日本企業のIP。最年少はグランツーリスモ代表の15歳
- リーグ・オブ・レジェンド代表は6月のクアラルンプール予選をグループ3連勝で突破し名古屋行きを確定。一方、開催国の日本は同種目に出場しない
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インド、eスポーツ10種目に24人の代表団。9月19日開幕の名古屋アジア大会に挑む
インドeスポーツ連盟(ESFI)が、2026年9月19日に開幕する愛知・名古屋アジア競技大会へ向けた24人のeスポーツ代表団を発表した。国内選考大会「ナショナルeスポーツ選手権(NESC)2026」はプネー、コチ、ニューデリーの3都市でLAN決勝を行い、9競技・10のメダル種目で代表を選び切った。オディシャ州のスポーツ大臣が代表ユニフォームを披露する式典まで開かれた。クリケットの国で、eスポーツ代表が陸上や競泳と同じ「州が式典を開く対象」になっている。
インドのアジア大会eスポーツはこれまで、前回の杭州大会(2023年実施)で記録したリーグ・オブ・レジェンド5位が最高成績だった。今回は全種目に代表を送り込んだうえでのメダル挑戦になる。
ANI通信の報道:州スポーツ大臣が代表ジャージを披露、24人の陣容が確定
元ネタ:24-member Indian Esports squad set for Asian Games 2026 qualification campaign(ANI / 2026年6月10日)
India’s 24-member Esports contingent is all set to begin its campaign towards the Asian Games 2026 in Aichi-Nagoya, Japan.(インドの24人からなるeスポーツ代表団が、愛知・名古屋で開かれるアジア大会2026への挑戦を始める)
ぷよぷよ・鉄拳・グランツーリスモ。挑む10種目のうち8つが日本企業のゲーム
代表団の内訳を見ると、日本のゲームファンには見慣れた名前が並ぶ。個人種目はカプコンの『ストリートファイター6』、バンダイナムコの『鉄拳8』、SNKの『THE KING OF FIGHTERS XV』、ソニーの『グランツーリスモ7』、セガの『ぷよぷよeスポーツ(Puyo Puyo Champions)』、コナミの『eFootball』(モバイルと家庭用の2種目)。チーム種目の『ポケモンユナイト』も、開発は中国テンセント系だがIPは日本のポケモンだ。つまりインド代表が挑む10種目のうち8つが日本生まれのタイトルで、残りはリーグ・オブ・レジェンドと『Honor of Kings』の2種目しかない。
選手の顔ぶれも面白い。グランツーリスモ代表のアブドゥス・サラーム・モハメッドはまだ15歳で、代表団の最年少だ。ぷよぷよ代表のパリトシュは、敗者側ブラケットから勝ち上がり、決勝で2018年ジャカルタ大会の銅メダリスト、ティルト・メータを倒して代表の座をつかんだ。クリケットの国インドに「ぷよぷよの国家代表」が誕生し、その座をかけて世代交代のドラマまで起きている。
鉄拳8代表のグラシシュ・シンは「インド代表になるのは夢がかなった瞬間。アジア最大の舞台で国を誇らせるために毎日上達したい」と語った。格闘ゲームやレースゲームは1人で戦える分、チームゲームより代表への道が短い。日本のメーカーが作ったゲームが、インドの若者にとって国の代表になるための現実的な競技種目になっている。
リーグ・オブ・レジェンド代表は予選3連勝で名古屋行き確定。開催国の日本は不出場
6月12日から14日にクアラルンプールで開かれたリーグ・オブ・レジェンドの大陸予選では、S8UL Esportsの選手で構成されたインド代表がグループBでスリランカ、ヨルダン、カザフスタンに3連勝し、首位で本戦行きを決めた。本戦に進むのは韓国、台湾のシード2カ国を含む8カ国だけで、S8ULは公式Xで「Qualified. Focused. Ready.(予選突破。集中。準備はできた)」と投稿し、インドのファンから祝福が集まった。
皮肉なのは開催国の側だ。優勝候補筆頭の韓国に対抗できる唯一の国とみられていた中国は今大会のリーグ・オブ・レジェンドへの派遣を見送り、さらに開催国の日本も同種目に出場しない。アジア大会のリーグ・オブ・レジェンドで開催国が不参加になるのは今回が初めてで、フランスのeスポーツメディアSheep Esportsもこの点を驚きをもって報じている。名古屋の会場で、日本のゲームを使う種目にはインド代表がいて、世界最大級のeスポーツ種目に日本代表がいない、というねじれた光景が生まれる。
名古屋で「インドのぷよぷよ代表」を生で見られる。任天堂のインド進出とも重なる
日本のファンにとって、この話は遠い国の代表発表では終わらない。会場は愛知・名古屋なので、インド代表のぷよぷよや鉄拳のプレイを現地で直接観戦できる。eスポーツが正式メダル種目になった杭州大会は中国開催かつコロナ禍の延期があり、日本の観客が気軽に見に行ける環境ではなかった。日本のタイトルが並ぶメダル種目を自国開催で観られるのは、今回が事実上初めてになる。
もうひとつの接点は市場だ。任天堂は2027年2月から3月にかけてSwitchでインド市場へ正式参入するという報道があり、ソニーもインドでのプレイステーション事業を広げている。人口14億人の国で「日本のゲームの国家代表」が毎年生まれる構造は、日本メーカーにとって単なる美談ではなく、次の主戦場の需要そのものだ。インド側から見ても、BGMIのような自国で規制に揺れたタイトルではなく、日本製の格闘・レース・パズルが安定した代表種目として残った形になる。
クリケットの国の24人が、日本生まれのゲームでメダルを狙う時代になった
つまりこういうことだ。日本企業が作ったゲームが、インドでは国の代表ユニフォームを着るための競技になり、その本番の舞台が日本の名古屋になる。15歳のグランツーリスモ代表や下剋上のぷよぷよ代表が9月にどこまで勝ち上がるか。日本のゲームが海外で「遊ばれるもの」から「国家対抗で競われるもの」に変わっていく現場を、今回は日本国内で見届けられる。
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