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【フランス】ドラゴンボールパーク計画、関係者がAFPに「非常に進んでいる」。跡地に暮らす100世帯は知らされないまま

編集部
吉沢まことVelleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
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【フランス】ドラゴンボールパーク計画、関係者がAFPに「非常に進んでいる」。跡地に暮らす100世帯は知らされないまま

3行サマリー

  • 1991年に閉園したパリ近郊の遊園地ミラポリス跡地に浮上したドラゴンボールパーク計画について、AFP通信が8月10日、「非常に進んでいる」という関係者の証言を報じました
  • 公式に確定している文書は、2025年5月19日の投資誘致会議で交わされた覚書1本のままです
  • AFPの取材によると、跡地には約100世帯が暮らしており、住民は「何も知らされていない」と話しています

AFPの取材に関係者が証言。「計画は非常に進んでいる」

パリ近郊クルディマンシュのミラポリス跡地に、ドラゴンボールのテーマパークを建てる構想が浮上している。この話は前回の記事でお伝えしました。それから1週間後の8月10日、AFP通信がこの計画を独自に取材し、案件に近い関係者の「計画は非常に進んでいる」という証言を報じました。PoliticoとLe Parisienの報道から始まった話に、通信社の確認が加わった形です。

AFPによると、今年4月以降、エリゼ宮(フランス大統領府)、イル=ド=フランス地域圏、地元自治体、投資誘致機関、そして出資者候補のキディヤ・インベストメント・カンパニー(サウジアラビアの政府系ファンドPIF傘下)の間で、複数回の会合が持たれてきたといいます。キディヤは2024年3月に東映アニメーションと組み、リヤド近郊に世界初のドラゴンボールパークを建設すると公式に発表している会社です。そのフランス版ともいえる今回の計画、投資額はPoliticoの報道では10億ユーロを超える可能性があるとされ、複数の閣僚も会合に加わったそうです。

一方で、公式発表はいまも何ひとつありません。AFPの問い合わせに対し、エリゼ宮もクルディマンシュ市もセルジー=ポントワーズ都市圏も情報を確認せず、ヴァル=ドワーズ県などの地方長官府に至っては返答すらなかったと記事は伝えています。

出典はAFPとPolitico。取材を受けた側は全員が口をつぐんだ

出典Près de Paris, un projet de parc d’attractions Dragon Ball à l’étude(AFP通信・La Provence掲載 / 2026-08-10)

出典Macron’s team seeks Saudi funding for manga theme park near Paris(Politico Europe / 2026年7月末)

Le projet est « très bien avancé », d’après cette source, même si aucune annonce officielle n’a encore été formulée.

(訳:この関係者によれば計画は「非常に進んでいる」。ただし公式な発表はまだ何も出ていない)

跡地には9年前から約100世帯。「土地の所有者さえ知らされていない」

今回のAFP記事で一番重いのは、跡地の現状です。ミラポリスの跡地には9年以上前から移動生活者の家族が暮らしていて、その規模は住民によるとおよそ100世帯。約20人の子どもが近隣の学校に通っているそうです。取材に応じた60代の住民男性は「私たちは何も知らされていない」と話し、その兄は「土地の所有者でさえ知らされていなかった」と続けています。

計画が動けば、この100世帯の行き先が正面の論点になります。10億ユーロという数字が独り歩きする裏で、そこに住む人にはまだ誰も説明していない。この非対称が、今回の続報の核だと受け止めました。

国会議員はXで「サウジのオイルマネーで郷愁を誘うのか」と批判

地元の政治も反応し始めました。ヴァル=ドワーズ県選出のオレリアン・タシェ下院議員(LFI)は、地域圏の長官に住民・自治体・団体との「実のある協議」を要求したとAFPは伝えています。タシェ氏は8月9日、自身のXでも「アメリカ人にはディズニーがある。私たちにはミラポリスがあった。公共投資の不足で潰れた。今日マクロンは、その廃墟の上に、サウジアラビアのオイルマネーで作るドラゴンボールパークで私たちの郷愁を誘えると信じている」と投稿しました。8月11日昼(日本時間)の時点でリポスト48件、表示5,000回超です。

クルディマンシュ市議会の野党議員もAFPに対し、「エリゼ宮から降ってきた話で、住民や近隣自治体への事前協議がない」と進め方を疑問視し、跡地は文化・大学・研究の拠点に転用するほうがよいという考えを示しました。

ではフランスのSNSは反対一色なのかというと、そうでもありません。8月11日昼(日本時間)にXのフランス語圏の投稿を確認したところ、年間パスの冗談を飛ばす人、RER A線の増強など交通整備に期待する人、政治主導の進め方に冷ややかな人が入り混じっていました。少なくとも「ドラゴンボールが来ること」自体への拒否感は、ほとんど見かけませんでした。批判の的は作品ではなく、お金の出どころと決め方です。

確定文書は覚書1本のまま、外堀だけが埋まっていく

おさらいすると、公式に確定しているのは、2025年5月19日の投資誘致会議「シューズ・フランス」で交わされた「観光・娯楽の大型案件を検討する」という覚書1本だけです。ドラゴンボールという作品名も、10億ユーロという金額も、東映アニメーションの関与も、すべて報道の段階にとどまります。東映アニメーションは今回もコメントを出していません。

それでも、この1週間で話は「報道が出た」から「通信社が関係者証言で確認し、地元政治が動き始めた」まで進みました。日本の作品が、フランスの大統領府とサウジの政府系ファンドの交渉材料になり、フランスの国会議員が「オイルマネー」と絡めて論争する。ドラゴンボールが海外で背負っている重さを、また一段はっきり示した続報だと感じます。

次の節目は正式発表です。出るとすれば、100世帯への説明とセットなのかどうか。前回書いた「土地が空いていないという現実は、資金の多寡では解けません」という一文が、早くも試されようとしています。

編集部
吉沢まこと
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。

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