📊 3行サマリー

  • 日本の8人組ガールズグループCutie Streetが、韓国の音楽番組「Mカウントダウン」で代表曲を韓国語バージョンで披露。ステージ映像はYouTubeで1100万回再生を超えた。
  • 韓国でのJ-pop人気は2023年、imase「Night Dancer」がJ-pop曲として初めてMelonのTop 100入りして以降に拡大。米津玄師は韓国初公演の2日間で2万2000席を完売した。
  • 韓国初の大型J-popフェスは2024年の2万5000人規模から2025年には4万人超へ。日本のアイドルが「韓国語で歌う現地化」で新しい市場をこじ開けつつある。

📝 日本の8人組Cutie Street、韓国語で歌いMnet番組で動画1100万回の反響

日本の8人組ガールズグループ「Cutie Street」が、韓国の音楽番組「Mカウントダウン」(Mnet)に出演した。披露したのは代表曲「귀엽기만 하면 안 되나요?(かわいいだけじゃダメですか?)」の韓国語バージョンだ。3月のこのステージ映像はYouTubeで1100万回再生を超え、メンバー個人にフォーカスしたクリップも複数が100万回に達した。パステルカラーの衣装と、あえて子どもっぽさを強調した「かわいさ」のコンセプトが韓国の視聴者に刺さり、7月には早くも再来韓が決まっている。日本のアイドルが韓国の音楽番組で韓国語で歌い、ここまで跳ねるのは数年前なら考えにくかった。

📰 Korea Herald:批評家「日本勢がK-popの現地化戦略を取り入れている」

元ネタJ-pop gains traction among young Korean listeners(The Korea Herald / 2026年5月8日)

Korea Heraldは、Cutie Streetの人気を「韓国で広がるJ-pop全体の流れ」を映す一例と位置づけた。文化評論家のキム・ソンス氏は、日本側のやり方が、韓国アーティストの日本進出と同じ構図になっていると指摘する。

韓国アーティストが日本語の曲を出し、日本のリアリティ番組に出演して自分たちを売り込んできたやり方とよく似ている。

🔥 韓国SNSで「K-popより韓国語が多い」、オタクコア流行も追い風に

韓国のオンラインコミュニティでは、Cutie Streetをめぐって「K-popアイドルより韓国語の歌詞が多い」といった声が並んだ。半分冗談で「パスポートを取り上げろ(=ずっと韓国にいさせろ)」という反応も広がったが、これは長く活動してほしいというファン心理の裏返しだ。背景には、韓国の若年層で流行する「オタクコア」やギャル風メイクといった文化的な追い風がある。

J-popはかつて韓国で、一部のロック・バンド好きが聴くニッチな趣味とみなされていた。それが2022〜23年のコロナ期以降、SNS主導の音楽消費とともに聴き手を広げた。転換点としてよく挙げられるのが、シンガーソングライターのimaseだ。2023年に「Night Dancer」がJ-pop曲として初めてMelonのTop 100入りし、その後YOASOBIやあいみょんが幅広い人気を得た。1980〜90年代のシティポップも、ストリーミングのアルゴリズムやショート動画を経由して再浮上している。Cutie Streetが従来のJ-pop人気と違うのは、韓国語版MVを作り、韓国向けのショート動画やvlogを出し、片言でも韓国語で話しかける点だ。評論家のキム氏は、韓国の観客がこうした「韓国のファンとつながろうとする誠実さ」に好意的に反応していると話す。

🇯🇵 米津玄師2.2万席完売、J-popフェスは2年で4万人——日本勢の新市場

J-popの韓国での広がりは、ライブの数字にもはっきり出ている。米津玄師は昨年の韓国初公演で、2日間2万2000席を完売した。韓国初の大型J-popフェス「Wonderlivet」は、2024年の2万5000人規模から2025年には4万人超へと拡大した。9月にはback numberが京畿道高陽のKINTEXで(12〜13日)、VaundyがインチョンのInspire Arenaで(19〜20日)公演を予定し、いずれもチケットは完売済みだ。

日本のアーティストにとって、韓国は「アニメ人気の延長」でも「一部の濃いファン向け」でもない、現実的な収益市場になりつつある。これまで日本のアイドルやダンスポップが韓国市場に深く入った例は少なく、入り口はバンドやロックが中心だった。Cutie Streetはアイドル/ダンスポップという枠でその扉をこじ開けた格好だ。評論家のイ・ムンウォン氏は、日本アニメが韓国で想定以上に広がっている流れを踏まえ、J-popの見通しも明るいとみている。日本のレコード会社や事務所にとっては、韓国を「ついで」ではなく専用のプロモーションを組む対象として扱うかどうかが、次の数年の分かれ目になる。

🏁 J-popの韓国進出は「韓国にどれだけ合わせるか」で結果が割れる

今回のポイントは「日本のものが韓国でウケた」ことそのものより、ウケ方が変わったことにある。韓国語版をわざわざ作り、現地のSNSの文法に合わせて出す。これは韓国アイドルが日本で長年やってきた現地化を、日本側がそのまま採り入れたということだ。裏を返せば、現地化をしない日本のアーティストが同じ波に自動的に乗れる保証はない。J-popの韓国進出は、「曲の良さ」だけでなく「どれだけ韓国に合わせにいくか」で結果が割れる段階に入った。曲を作って韓国に届ければ売れる、という時代ではなくなったと感じる。