📊 3行サマリー

  • ニューデリーの日本アニメイベント「メラ!メラ!アニメジャパン!!」に、2025年9月、2日間で6万人以上が来場した
  • ビルボード・ジャパンの「日本曲インド版」トップ10は藤井風「死ぬのがいいわ」が1位。「紅蓮華」「すずめ」などアニメ・映画の主題歌が並ぶ
  • インドのチケット最大手BookMyShowは2023年度のオンライン販売だけで売上144億円、前年比228%増。日本の音楽がインドに入る最短ルートはアニメ経由になりつつある

📝 ニューデリーの日本アニメイベントで、6万人が日本語の歌詞を口ずさんだ

ニューデリーで2025年9月にあった「メラ!メラ!アニメジャパン!!(MMAJ)」というイベントに、2日間で6万人以上が集まった。ステージで日本人アーティストがアニメソングを歌うと、インドの観客が日本語の歌詞を一緒に口ずさんだ。ジェトロ(日本貿易振興機構)のニューデリー事務所が、その光景を報告している。インドで日本のアニメソングがどこまで届いているのか。実感のこもった報告だと思う。

📰 ジェトロ報告:インドの音楽イベント市場が拡大、アニメソングが日本の入口になっている

元ネタ拡大するインドエンタメ市場(2)音楽イベントと日本アニメの影響力(ジェトロ / 2026年1月21日)

インド人来場者らも日本語の歌詞を口ずさむなど、日本のアニメソングの認知度の高さが垣間見えた。

レポートはジェトロ・ニューデリー事務所がまとめたもので、インドのエンタメ市場の拡大と、そこに日本のアニメ・音楽がどう食い込んでいるかを追っている。MMAJは2024年に続いて2回目の開催。出演したのは谷本貴義(「金色のガッシュベル!!」「デジモンテイマーズ」「ドラゴンボール改」などの主題歌を担当)や、数々のアニソンで知られる春奈るなといった、アニメ音楽の畑のアーティストたちだ。インドのコンテンツ系イベントでは、アニメソングのライブが組み込まれることがもう珍しくないという。

🔥 ビルボード「日本曲インド版」1位は藤井風、配信とSNSが認知を押し上げた

ビルボード・ジャパンが出している「Japan Songs(インド版)」というチャートがある。2025年11月時点のトップ10を見ると、1位は藤井風「死ぬのがいいわ」、2位は米津玄師「IRIS OUT」、3位はRADWIMPS「すずめ(feat.十明)」。10位にはLiSA「紅蓮華」も入っている。映画とアニメの主題歌がチャートの大半を占めている状態だ。

背景はわりとシンプルで、NetflixやAmazon Prime Videoがインドに入って、日本アニメのカタログが一気に増えた。アニメを見る人が増えれば、その主題歌も自然と耳に残る。新海誠の『すずめの戸締まり』はインドの劇場でかなりの成績を出したし、『鬼滅の刃』はSNSでファンアートやミームが今も回り続けている。日本の音楽が単独で人気になったというより、アニメという入口があって、そこから曲に流れてきた。

音楽イベント市場そのものも伸びている。Coldplayが2025年1月にアーメダバードでやった公演は、2日間で延べ22万人超を集め、ギネスに「21世紀最大のスタジアムコンサート」として登録された。チケット最大手のBookMyShowは2023年度のオンライン販売だけで売上648億ルピー(約144億円)、前年比228%増。市場が膨らんでいるところに、日本のアニメソングがちょうど乗った形だ。

🇯🇵 日本の音楽がインドに届くなら、いまのところ「アニメ経由」が最短になる

ここで日本側にとって何が見えるか。インド市場に日本の音楽が単独で殴り込んでも、たぶん厳しい。ボリウッド音楽の地盤は強いし、欧米のポップスもMTVが流れていた時代から浸透している。そのなかで日本のアーティストがいきなり名前で勝負するのは現実的じゃない。

でもアニメソングは話が別だ。アニメのファンがすでにいて、その人たちにとって主題歌は「もう知っている曲」になる。MMAJで観客が日本語の歌詞を歌えたのは、配信でアニメを見て曲を覚えていたからだ。日本の音楽がインドに入る最短ルートは、現状アニメ経由になっている。ジェトロのレポートも「インドで音楽イベントを行う場合には、アニメと関連させることでファンからの認知が期待できる」と書いていて、ここはかなり実務寄りの指摘だと思う。

課題もある。チケットの転売は深刻で、Coldplay公演では2,500ルピー前後で売られたチケットが、転売サイトで最大96万ルピーまで吊り上がった。イベント運営も配信もチケット販売もインドの地場企業が握っているので、日本側が単独で動くより、現地のパートナーと組むほうが現実的だ。

🏁 次の試金石は、藤井風がロラパルーザで「アニメ抜き」で通用するか

はっきりした答えが出そうなのが、2026年1月のロラパルーザ・インド(ムンバイ)だ。日本からは藤井風が参加を発表している。藤井風は「死ぬのがいいわ」でインド版チャートの1位を取っているが、あの曲がインドで広がったのも、海外配信やSNSきっかけの面が大きい。野外フェスという「アニメ文脈の外」の舞台で、藤井風がどれだけ刺さるか。そこが、日本の音楽がアニメの看板なしでインドに届くかどうかの、最初のわかりやすい答えになる。個人的には、アニメ経由で名前を覚えてもらう段階は、もう超えつつあると感じている。