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【インド】ソニーのプレステ、2028年にディスク生産終了。1本5000ルピーを中古で取り戻す遊び方が消える

編集部
Velleity Note 編集部Overseas Reception, Read Straight
公開 2026/07/19
最終更新 2026/07/19
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【インド】ソニーのプレステ、2028年にディスク生産終了。1本5000ルピーを中古で取り戻す遊び方が消える

3行サマリー

  • ソニーが7月1日、PlayStation向け新作のディスク生産を2028年1月で打ち切ると発表した。撤回を求める署名は21万5000人分を超えた。
  • インドの新作は1本4000〜5500ルピー。遊び終えた後に中古で売って半分以上を回収する売買が、コルカタなどの専門店の売上の大半を占めている。
  • ソニーは日本企業で、日本もパッケージ版の縮小が進む。カプコンのパッケージ比率は2022年度24.5%から2026年度7%まで落ちた。

ソニーが2028年1月で新作ゲームのディスク生産を打ち切る

ソニー・インタラクティブエンタテインメントは7月1日、PlayStation向けの新作タイトルについて、2028年1月以降はディスクを生産しないと発表しました。それ以前に出たゲームは引き続きディスクで買えますし、パブリッシャーは既存タイトルの追加発注もできます。店頭には「箱にダウンロードコードが入った商品」を並べる選択肢も残ります。ただ、箱の中身がコードになった時点で、ディスクを買う一番の理由だった「遊び終わったら売れる」が消えます。

会社の説明はシンプルで、デジタル版の需要が物理ディスクを大きく上回ったから、というものです。実際、2025年度第4四半期のPS5・PS4のフルゲーム売上は85%がデジタルで、これは同社の過去最高比率でした。2026年3月期の通年でも78%です。

Outlook Respawnの現地取材:コルカタの店は「売上の大半が中古の売り買い」

元ネタThe End of Physical PlayStation Games Impacts India Differently(Outlook Respawn / 2026年7月7日)

For a large section of India’s console gaming community, it is the only reason console gaming is financially sustainable at all.(インドの家庭用ゲーム層のかなりの部分にとって、これこそが家庭用ゲームを金銭的に続けられる唯一の理由だ)

取材した記者は、西ベンガル州最大の電気街であるコルカタ・チャンドニーチョークに足を運んでいます。2011年から新品と中古の両方を扱ってきた Infinity Video Games でソニーの発表を伝えたところ、反応は芳しくありませんでした。店の商売は中古ディスクの売り買いで回っていて、定価の新品が売れる数はそのごく一部だ、という説明が返ってきています。近隣の他店も同様で、店主たちは一様に驚いたと書かれています。

同じ通りにあるソニーセンターの店長プラカシュ・アガルワル氏のコメントは、もう少し複雑です。「うちの店の周辺に中古市場があるのは知っています。バンドル特典でもない限り、お客さんはうちでゲームを買いません。物理版が止まれば売上は増えるかもしれない。ただ、そもそも本体を買うことに慎重になるお客さんが増えるでしょう」。ソフトが売れるようになっても本体が売れなくなる、という見立てです。

1本5000ルピーのゲームを、インドの人はこうやって数百ルピーにしていた

インドでのPS5新作の店頭価格は、タイトルによっておおむね4000〜5500ルピーです。世帯収入の水準を考えると、15時間で終わるかもしれないゲームに5000ルピーを出すのは決して軽い判断ではありません。

そこを埋めていたのが中古でした。発売日に5000ルピーで買った『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』が、数か月後には4000ルピーを切って中古棚に並ぶ。発売日に買ってクリア後すぐ手放せば、支払った額のかなりの部分が戻ってきます。中古同士を交換していけば、新作1本を遊ぶ実質負担は数百ルピーまで落ちます。デジタル版にはこの逃げ道がありません。Gameloot や Gamenation といったインドのプラットフォームや、ゲーム系サブレディットのコミュニティは、まさにこの仕組みの上に成り立っています。

ソニーが用意した「箱入りダウンロードコード」は、この点では代わりになりません。一度引き換えたコードは店にも友人にも渡せず、遊び終わっても1ルピーも戻ってこないからです。

インドの100店舗計画は、発表当日まで現地オフィスにも知らされていなかった

もう一つ、インド側にとって痛かったのが伝達の仕方です。TweakTown が伝えた High Chaos Run の報道によると、今回の決定はパブリッシャーにも取引先にも、ソニー自身の各国オフィスにも事前に共有されていませんでした。

PlayStation のインド法人は発表の時点で、現地の卸や小売と組んでPlayStation専門の実店舗を2028年までにおよそ100店舗つくる交渉を進めていた最中でした。当然ながら、その計画の柱はディスクの店頭販売です。交渉相手だった投資家のコメントが記事に残っています。「ディスクを売らないのに、なぜプレイステーションと組む必要があるのか。まして1店舗に数千万ルピーを出す理由がどこにある。しかも公表前に一言もなく、その間ずっと金を入れてくれと言い続けていた。彼ら自身も知らされていなかったわけだが」。発表後、取引先との連絡は冷え込み、ソニー側の対応は「受け入れるか手を引くか」に近いものだったとされています。

撤回署名は21万人超、日本でもパッケージ版の縮小は同じ速度で進んでいる

撤回を求めるオンライン署名は、公開から4日で12万人分に達しました。その後も伸び続け、21万5000人分を超えています。ソニーの公式アカウントは発表から1週間ほど沈黙を続けています。ニコ・パートナーズのアナリスト、ダニエル・アーメッド氏は、2025年に新品のディスク版PlayStationソフトがおよそ7000万本売れていた点を挙げ、今回の判断はコスト削減と中古市場の排除が狙いだと指摘しました。

ソニーが引き合いに出した85%という数字にも注釈が要ります。ここにはデジタル専売タイトルや旧作、DLC、課金が全部入っています。物理版とデジタル版が両方あるファーストパーティ作品だけを見ると比率は変わり、Game Sales Data によれば2024年後半の欧州では『ASTRO BOT』の売上の約6割が物理版でした。

ソニーは日本の会社で、国内のパッケージ離れも同じくらい急です。カプコンの決算資料では、パッケージ売上の構成比が2022年度の24.5%から2026年度には7%まで落ちています。日本のパッケージ派の議論は「中古で売れなくなる」に加えて「棚に並ぶ実物がなくなる」という所有の話に寄りがちで、インドのように価格そのものが壁になっている国とは、同じ発表を受けても痛みの出方が違います。

ディスクが消えると、インドでは値段の逃げ道ごと消える

ソニーの説明は消費者の選択を追った結果というものですが、その85%が成り立つのは通信環境と購買力が揃った市場の話です。インドではデジタルが安いわけではなく、定価はそのまま家計への負担になります。中古という値下げ装置を失うと、遊べるゲームの本数が単純に減ります。

2028年1月まではまだ時間があり、署名の規模を見る限り撤回の可能性がゼロとも言い切れません。ただ、ソニーが世界一律で決めた1つの方針は、インドでは「そもそもゲーム機を買うか」という手前の判断にまで効いてしまっています。日本で語られている所有の議論と、インドで起きている価格の議論は、同じ発表から出てきた別の問題です。

編集部
Velleity Note 編集部
Overseas Reception, Read Straight

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