📊 3行サマリー
- 中国・Perfect World Gamesのオープンワールド『NTE: Neverness to Everness』が、4月29日のグローバル配信初日だけで全世界売上1億人民元(約23億円)を突破した。
- 国別の売上は日本とアメリカがツートップ。売上の75%はPCとPS5が占め、スマホ中心だった中国大作の”脱モバイル”がはっきり数字に出た。
- 日本語版の主要キャストには『呪術廻戦』伏黒恵役の内田雄馬さん、『鬼滅の刃』竈門禰豆子役の鬼頭明里さんら人気声優が並ぶ。日本市場を最初から狙い撃ちした布陣だ。
📝 中国『NTE』、グローバル初日の売上23億円。最大市場は日本だった
中国のPerfect World Gamesが配信するオープンワールドRPG『NTE: Neverness to Everness』(以下NTE)が、グローバル配信の初日だけで全世界売上1億人民元、日本円にしておよそ23億円を記録した。同社が4月30日に開いた投資家向けの説明会で明らかにしたものだ。開発は『Tower of Fantasy(幻塔)』を手がけたHotta Studioで、Unreal Engine 5で作られた”街”を舞台にする現代オープンワールドである。中国国内では4月23日に先行配信され、日本を含むグローバル版は4月29日に始まった。
📰 Perfect World Gamesの投資家説明:「日本と米国が売上のツートップ」
元ネタ:基本プレイ無料”街”オープンワールド『NTE』、初日だけで「売上20億円超」の好発進。グローバル版は日本と米国が売上ツートップ(AUTOMATON / 2026年5月1日)
グローバル版における売上の国別の割合としては日本とアメリカがもっとも大きく、韓国でも予想を上回る好調ぶり。ユーザー数などの主要指標はいずれも『幻塔』のローンチ時を大きく上回っているという。
つまりこの大ヒットは中国国内の数字で押し上げたものではなく、海外、それも日本が引っ張った。中国の大作ゲームが「日本でいちばん売れた」と公式に語られるのは、数年前なら考えにくかった構図だ。
🔥 売上の75%がPCとPS5。中国の大作が”脱モバイル”で家庭用に攻め込んだ
注目したいのはプラットフォームの内訳だ。グローバル版ではPCとPS5を合わせた売上が全体の75%を占めた。中国のオンラインゲームといえばスマホのガチャ課金、というイメージが長く続いてきたが、NTEはその主戦場をPCと据え置き機に移している。さらにプレイデータを見ると、バトルよりも街の探索に費やす時間のほうが長い。Perfect World Gamesは今後、車・家・ファッション・スキンといった”街で暮らす”課金要素を投入する方針を示しており、戦闘で稼ぐ従来型とは設計思想からして違う。日本のプレイヤーがNTEに反応したのは、この家庭用機・探索重視の作りが、原神やゼンレスゾーンゼロに慣れた層の好みと噛み合ったからだろう。
🇯🇵 日本が最大の収益源——鬼頭明里・内田雄馬ら人気声優の起用が効いた
日本がNTEの売上トップ級になった背景には、日本語版の作り込みがある。主人公の鑑定士エスパー・ゼロには内田雄馬さんと内田真礼さん、相棒格のミントには鬼頭明里さんと、日本のアニメファンなら名前を見ただけで反応する人気声優が起用された。内田雄馬さんは『呪術廻戦』の伏黒恵、鬼頭明里さんは『鬼滅の刃』の竈門禰豆子で広く知られる。中国の開発元が日本市場に本気を出すとき、まず手をつけるのが「誰に喋らせるか」だという一例だ。
受け止め方は手放しの絶賛一辺倒ではない。アプリ攻略サイトAppMediaに寄せられた日本のプレイヤーレビューでは「近代の街並みの再現は純粋にすごい。見えない壁がほぼなく、マンションの外階段まで普通に歩ける作り込みは圧巻」と評価する一方、「会話中に口が動いていなかったり、演出のテンポに雑味がある」と中国大作の中では一歩引くという辛口の声も出ている。セルランの平均順位も配信直後の急上昇から5月には30位前後へ落ち着いており、初速の勢いを長期の定着につなげられるかはこれからの運営にかかっている。
🏁 「中国ゲーム=ガチャ」の図式が、家庭用×日本声優で書き換わりつつある
NTEが示したのは、中国の大作が「PCと家庭用機で勝負し、日本の人気声優を前面に立て、日本を最大の収益源にする」という新しい勝ち筋だ。6月3日にはVer.1.1で新キャラクターと新マップ「日向島」が追加され、運営は作業負担の軽減などユーザビリティ改善を続けると表明している。安価なガチャゲームという日本側の古いイメージのままでいると、気づいたときには「中国産の街で日本の声優の声を聞きながら遊ぶのが当たり前」になっているかもしれない。NTEの初週の数字は、その入口に立ったことを示している。個人的には、次の数字が出る夏ごろが本当の勝負だと見ている。


