2026年7月29日 海外メディアとファンの愛を、脚色なしで日本語に @VelleityNote
Home/アニメ・コミックス/【韓国】日本のマンガ1400作品を無断掲載した『マナトッキ』運営者を送検。『ニュートッキ』の分は捜査できないと韓国紙

【韓国】日本のマンガ1400作品を無断掲載した『マナトッキ』運営者を送検。『ニュートッキ』の分は捜査できないと韓国紙

編集部
吉沢まことVelleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
公開
最終更新
verified現地の一次ソースで確認 約5分で読めます
【韓国】日本のマンガ1400作品を無断掲載した『マナトッキ』運営者を送検。『ニュートッキ』の分は捜査できないと韓国紙

3行サマリー

  • 日本のマンガなど約1400作品を無断で翻訳・掲載した疑いで、韓国の海賊版サイト「マナトッキ」の運営者(30代男性)が6月26日、拘束のまま検察へ送られました
  • 韓国・文化体育観光部の集計では、こうした違法サイトの2024年の閲覧数は年42億9300万回、訪問者は年4億8900万人。韓国の人口の9倍を超えています
  • この運営者は、2002年に発効した日韓犯罪人引渡し条約のもとで日本が自国民を韓国へ引き渡した、初めてのケースでした

日本のマンガ1400作品を無断掲載、マナトッキ運営者が6月26日に拘束のまま検察へ

慶尚北道警察庁サイバー犯罪捜査隊は6月26日、韓国の違法マンガ配信サイト「マナトッキ」の中心的な運営者とされる30代の男性を、拘束のまま検察へ送致しました。容疑は、2019年3月26日から2021年7月16日までの間に、日本のマンガなどの電子書籍を購入したうえで韓国語に翻訳・複製し、約1400作品を掲載していたというもの。有料のコンテンツを無料で読ませて利用者を集め、賭博サイトのバナー広告で稼いでいたというのが警察の説明です。

この男性は韓国の捜査が迫った2017年に日本へ出国し、2022年に日本国籍を取得しています。それでも6月11日、法務部が日本当局との協議を経て金浦空港経由で身柄を引き取りました。2002年に発効した日韓犯罪人引渡し条約のもとで、日本が自国民を韓国に引き渡した最初の事例です(送還当時の経緯はこちらの記事にまとめています)。

仁川日報:ニュートッキとブックトッキの運営疑惑は「手続き上、捜査対象に含められなかった」

出典마나토끼 운영자, 뉴·북토끼 연관성 수사 난항(仁川日報 / 2026年7月21日)

出典불법 유통 사이트 마나토끼 운영자 구속 송치…“향후 서비스 재개 계획 無”(トップスターニュース / 2026年6月29日)

일본 측으로부터 송환을 승인받은 범죄 혐의가 ‘마나토끼’ 운영에 한정돼 있어 ‘뉴토끼’와 ‘북토끼’ 운영 혐의는 절차상 수사 대상에 포함될 수 없었다

(日本側から送還を承認された容疑が「マナトッキ」の運営に限られていたため、「ニュートッキ」と「ブックトッキ」の運営容疑は手続き上、捜査対象に含められなかった)

仁川日報は7月21日の1面で、この男性が「ニュートッキ」「ブックトッキ」も運営していたかどうかについて、現時点で捜査が進められない状態にあると報じています。警察は送還の時点で3サイトの関連を調べていると説明していました。その説明が止まった理由が、日本が引き渡しを承認した容疑の範囲だった、という内容です。

引き渡しの容疑がマナトッキ1件に絞られた時点で、捜査できる範囲は決まっていた

犯罪人引渡条約には「特定性の原則」というルールがあります。引き渡しを受けた国は、引き渡しの時点で相手国が承認した容疑でしか起訴・処罰ができない。被疑者の人権を守るための仕組みで、送還後に新しい容疑が出てきた場合は、引き渡した国の政府に改めて同意を求める必要があります。

つまり今回は、6月11日に身柄が動いた瞬間ではなく、その前の日韓の協議でどの容疑を承認するかが決まった時点で、韓国側が扱える範囲は確定していたことになります。ニュートッキ側の運営疑惑を調べるには、日本の同意を待つしかありません。文化体育観光部の担当者は仁川日報に対し、マナトッキだけでなくニュートッキ、ブックトッキまで捜査を拡大できるよう必要な手続きを踏んでいる、と述べています。

当事者からは焦りの声も出ています。韓国デジタルコンテンツ創作者協会のキム・ドンフン会長は同紙に、創作者側は運営者の追跡から民事訴訟まで打てる手をすべて打ってきたのに、捜査と引き渡しの手続きのほうが遅れていると語りました。

4月に「再開する計画は全くない」と告知したサイトが、7月には再び読める状態に

ニュートッキ、マナトッキ、ブックトッキの3サイトは4月27日、公式サイトに「サービスを終了する」「今後サービスを再開する計画は全くない」「以後、似た名前を使うサイトはすべて偽物なので注意してほしい」という告知を出して一斉に閉鎖しました。5月11日に施行される改正著作権法の緊急遮断制度を目前にしたタイミングです(閉鎖当時の記事はこちら)。

ところが仁川日報が7月7日に報じたところでは、運営者が検察へ送られたあともマナトッキには接続できる状態が続き、ニュートッキとブックトッキも同じだったといいます。同紙は、文化体育観光部が7月5日に遮断したニュートッキ運営陣の公式テレグラムチャンネルが、わずか2日で復活していたことも確認しています。このチャンネルは、遮断をかいくぐる新しいアドレスを利用者に案内する役割を担ってきました。

文化体育観光部の集計では、こうした違法サイトの2024年の年間閲覧数は42億9300万回、年間訪問者数は4億8900万人。韓国コンテンツ振興院によれば、2023年のウェブトゥーン産業の被害規模は約4465億ウォンで、産業全体の約2割にあたります。

捜査を広げる鍵を握っているのは日本側。被害の中心にあるのが日本のマンガだから

日本の読者にとって、これはよその国の著作権事件ではありません。3サイトのうちマナトッキは日本のマンガを専門に扱う枠で、容疑の中身も「日本のマンガなどの電子書籍を買って韓国語に翻訳し、複製して載せた」というものです。スラムダンクやワンピースといった作品名が捜査資料に並んでいると韓国メディアは伝えています。日本の出版社と作家が、韓国語圏で最も大きな海賊版の供給源に直接さらされていた構図です。

そのうえで、捜査の範囲を決めているのが日本側の判断だという点が重い。特定性の原則がある以上、ニュートッキとブックトッキの運営疑惑まで韓国が踏み込めるかは、日本政府が追加の同意を出すかどうかにかかっています。引き渡しの実現を「日韓協力の成果」として報じたところで終わりにせず、承認する容疑の範囲まで含めて動けるか。海賊版対策で日本側の窓口になってきたCODA(コンテンツ海外流通促進機構)がここでどこまで前に出るか、個人的にはそこが一番の見どころだと感じています。

運営者は捕まっても、掲載はまだ止まっていない

6月11日の送還は、国籍を変えて逃げ切るという手が通じなかったことを示す出来事でした。それでも7月末の時点で、サイトは読める状態のまま残り、姉妹サイトの運営疑惑には捜査が届いていません。運営者を1人捕まえることと、違法な掲載を止めることは、同じではなかった。日本のマンガがいちばん多く並んでいた棚だからこそ、次にどの容疑が承認され、どこまで捜査が広がるのかを日本側から見ておきたいと受け止めました。

編集部
吉沢まこと
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。