2026年9月14日 海外メディアとファンの愛を、脚色なしで日本語に @VelleityNote
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【世界】森本レオさん死去。海外の追悼が集まったのは1,441万人のアニメ掲示板ではなく、3万人のトーマス掲示板だった

編集部
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
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現地の一次ソースで確認 約7分で読めます
【世界】森本レオさん死去。海外の追悼が集まったのは1,441万人のアニメ掲示板ではなく、3万人のトーマス掲示板だった

3行サマリー

  • 俳優・ナレーターの森本レオさんが9月4日に83歳で亡くなり、所属事務所が9月11日に「原因不明の突然死」と発表しました。
  • 訃報が出た9月11日、日本語版ウィキペディアの「森本レオ」は前日の372回から26万7,100回へ跳ね上がりました。出演作のうち伸び率が一番大きかったのは、1987年のアニメ映画『王立宇宙軍 オネアミスの翼』の25.8倍です。
  • 英語圏でまとまった追悼が立ったのは、登録1,441万8,567人のアニメ掲示板ではなく、登録3万439人の「きかんしゃトーマス」掲示板でした(433票・コメント21件)。

事務所は「原因不明の突然死」と発表、葬儀は家族だけで済ませていた

森本レオさんが亡くなったのは9月4日でした。所属事務所がそれを公表したのは1週間後の9月11日で、死因は「原因不明の突然死」、「とても穏やかな顔で旅立ちました」と伝えています。葬儀は故人と遺族の意向で家族のみで執り行われ、お別れの会の予定はないとのことです。83歳でした。

1943年2月13日、名古屋市生まれ。日本大学芸術学部を出てラジオのディスクジョッキーを務めたあと、1967年のNHK名古屋制作『高校生時代』で俳優としてデビューしました。ドラマでは『愛という名のもとに』『ロングバケーション』『ショムニ』、ナレーションでは『きかんしゃトーマス』の日本語版と『Qさま!!』。あの穏やかな声をどこかで一度は聞いたことがある、という人は多いはずです。

そしてアニメでは、1987年公開のガイナックス作品『王立宇宙軍 オネアミスの翼』で、主人公の宇宙飛行士候補シロツグ・ラーダットを演じています。

日本語の訃報見出し91本が一度も書かなかった作品が、閲覧数では2番目に読まれた

出典俳優の森本レオさん死去、83歳 穏やかな語り口のナレーションで人気(日本経済新聞 / 2026年9月11日)

出典Actor, Narrator Leo Morimoto Dies at 83(Anime News Network / 2026年9月13日)

In anime, Morimoto starred as Shitotsugh Lhadatt in the Royal Space Force: The Wings of Honnêamise film.

2026年9月14日の14時台に、Googleニュース日本版で「森本レオ 死去」を引くと91本の記事が並びました。その見出しに出てくる作品名を数えると、「きかんしゃトーマス」が18本、「ショムニ」が4本、「Qさま!!」が4本、「ロングバケーション」と「愛という名のもとに」が各1本。『オネアミスの翼』も『王立宇宙軍』も、91本の見出しに一度も出てきませんでした。

ところが、読者が実際に読み直した作品の並びは少し違いました。Wikimedia Pageviews APIで、訃報が出た9月11日の日本語版ウィキペディアの閲覧数を出演作ごとに取ってみます。

作品9月10日9月11日前日比
きかんしゃトーマス364回4,350回12.0倍
王立宇宙軍 オネアミスの翼155回3,994回25.8倍
愛という名のもとに325回1,303回4.0倍
人形劇 三国志78回1,088回13.9倍
ロングバケーション390回958回2.5倍
世界の車窓から102回429回4.2倍
バーテンダー98回196回2.0倍
ショムニ27回131回4.9倍

本人のページは372回から26万7,100回へ、718倍です。作品で一番読まれたのは見出しどおり『きかんしゃトーマス』でしたが、その次に来たのが『王立宇宙軍 オネアミスの翼』でした。伸び率では25.8倍で最大です。見出しに一度も書かれなかった作品を、訃報を読んだ人のほうが自分で探しに行っていたことになります。

英語の訃報は6本、作品名を見出しに置いたのはアニメ媒体の1本だけだった

英語で確認できた訃報は6本でした。Googleニュース英語版で「Leo Morimoto」を引いて出てきたのが4本、別途ウェブ検索で2本です。見出しの取り方が、媒体の性格でそのまま割れています(かぎかっこ内は見出しから抜き出した語句)。

  • 共同通信の英語サイト Japan Wire(9月11日)「known for gentle narration」(穏やかなナレーションで知られる)
  • Anime.com(9月11日)「Leo Morimoto, Voice of Honneamise’s Shirotsugh, Dies at 83」
  • The Japan Times(9月12日)「Actor and narrator Reo Morimoto dies at 83」
  • Anime News Network(9月13日)「Actor, Narrator Leo Morimoto Dies at 83」
  • Daily Express(9月13日)「iconic Thomas & Friends actor」
  • The Mirror US(9月13日)「Thomas & Friends actor」

作品名を見出しに入れたのは Anime.com だけでした。同記事は、35年後に4Kリマスター版のテレビCMのナレーションで本人が同じ作品に戻ったことにも触れ、2022年のコメントとして「絶対にうまくやらないでください」と演出されたという本人の回想を引いています。役づくりの指示としては、なかなか聞かない言葉です。

もうひとつ、細かいことですがローマ字が割れました。4本が Leo、The Japan Times だけが Reo です。同じ人の訃報を英語で検索しようとしたとき、綴りが2通りある状態が最初から生まれていたことになります。

そして英国のタブロイド2紙は「Thomas & Friends actor」と書きました。ただし彼が担当したのは日本語版のナレーションで、英語版の番組に出ていたわけではありません。Daily Express の記事も写真キャプションでは「Japan’s Thomas & Friends」と補っていて、見出しだけが少し滑っている形です。

1,441万人のアニメ掲示板は動かず、3万人のトーマス掲示板に433票が集まった

海外のファンがどこで彼を悼んだのかを、2026年9月14日14時30分ごろ(日本時間)に海外掲示板Redditで確かめました。

登録1,441万8,567人のアニメ板 r/anime では、直近1か月に「Morimoto」「Honneamise」「Shirotsugh」「Royal Space Force」「Thomas narrator」のどれで引いても投稿は0件でした。同じ条件で「seiyuu」と「Bleach」を引くとどちらも結果が返るので、検索そのものは動いています。訃報のスレッドが立たなかった、ということです。

まとまった追悼があったのは、登録3万439人の r/thomasthetankengine でした。9月11日16時27分(協定世界時、日本時間では12日1時27分)に立ったスレッドは433票・コメント21件・支持率100%。タイトルは「Leo Morimoto the Japanese narrator for Thomas & Friends sadly passed away today aged 83」で、日本語版のナレーターだと正確に書いています。登録者数でいえば、アニメ板の473分の1のコミュニティです。

コメントの並びも、そのまま海外での受け止め方になっていました。最多41票は「日本のトーマスを1990年から2007年、第1シリーズから第8シリーズまで担当した」という補足です(ファンウィキを引いたもので、公式の記録では裏が取れていません)。8票のコメントは「発表が今日で、亡くなったのは今月4日」という訂正のあとに、日本語版のトーマスで育ったと書いていました。5票のコメントも「子どものころDVDで日本語版のトーマスを見ていた」。そして3票のコメントが、アニメ映画 Royal Space Force の主人公シロツグの声だと知っていたから堪える、と書いています。

彼の声を実際に耳で覚えていた海外の人は、アニメのファンダムではなく、日本語版のトーマスを見て育った層のほうにいました。

同じ日本人の訃報でも、届き方はまるで違います。ルパン三世の作曲家・大野雄二さんが亡くなったときは、イタリアの7誌が一斉に追悼記事を出しました(【EU】大野雄二 死去 海外の反応。ルパン三世の作曲家にイタリア7誌が一斉追悼)。作品が現地の言葉で長く流れ続けていたかどうかで、ここまで差が出ます。

英語版ウィキペディアに項目がない人は、英語圏から名前で辿れない

最後にもうひとつ。英語版ウィキペディアに「Leo Morimoto」の項目は存在しません(2026年9月14日にAPIで確認)。日本語版「森本レオ」から張られている言語間リンクは、中国語版とエジプト・アラビア語版の2本だけです。

英語版の『Royal Space Force: The Wings of Honnêamise』の閲覧数は、9月10日187回、訃報の11日197回、ピークが12日の283回、13日は242回でした。日本語版が25.8倍に跳ねたのに対して、英語版は1.5倍で収まっています。英語版の『Thomas & Friends』にいたっては1,187回、1,101回、1,207回とまったく動いていません。英語版には配役だけを扱う『Voice acting in Royal Space Force: The Wings of Honnêamise』という項目まであるのに、演じた本人の項目がない。名前から作品へ辿る道が、英語圏には最初からなかったことになります。

作品は国境を越えても、演じた人の名前は同じようには越えません。越えるためには、向こう側のファンがその名前を置いておける場所が要ります。『オネアミスの翼』のシロツグを英語で好きになった人は確かにいて、r/thomasthetankengineの3票のコメントがその1人でした。ただ、その人が今回の訃報に気づくまでの経路は、あまりにも細かったと思います。

編集部
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。