2026年9月14日 海外メディアとファンの愛を、脚色なしで日本語に @VelleityNote
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【韓国】映画ちいかわ、日本から68日遅れで9月30日公開。吹き替え予告で一番多かった声は「歌も韓国語にして」

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Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
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【韓国】映画ちいかわ、日本から68日遅れで9月30日公開。吹き替え予告で一番多かった声は「歌も韓国語にして」

3行サマリー

  • 『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』の韓国公開は9月30日。日本公開の7月24日から68日遅れで、台湾の7月31日、香港の8月6日よりあとになりました
  • 韓国語吹き替え予告は2つの公式チャンネルに上がっていて、9月14日時点の再生数は合計52万回。コメント欄で一番多くのいいねを集めたのは「主題歌も韓国語で歌って」という要望の529件でした
  • 主要3役はテレビアニメ版からの続投。ハチワレの韓国語名は「가르마(カルマ)」=髪の分け目で、日本語の「八割れ」とは指しているものがずれています

Series映画ちいかわ 海外公開全4本

映画ちいかわの海外公開。中国・台湾・香港でどう受け止められたかを国ごとに観測する。

  1. 2026/7/24【中国】映画ちいかわ 海外の反応。微博が「世界一かわいい」と歓喜、上海に海外初の旗艦店
  2. 2026/7/29【台湾】映画ちいかわ 台湾の反応。6歳未満お断りの「保護級」に「大人でもホラー」の声
  3. 2026/7/31【香港】映画ちいかわ、日本に13日遅れて8月6日公開。マクドナルドの限定お守りは初日2時間で品切れ続出
  4. 2026/9/14【韓国】映画ちいかわ、日本から68日遅れで9月30日公開。吹き替え予告で一番多かった声は「歌も韓国語にして」(この記事)

この記事に出てくる韓国語には、すべて(カタカナ読み/意味)を添えています。ハングルが読めなくてもそのまま読み進められます。

映画ちいかわの韓国公開は9月30日。日本から68日遅れ、台湾からは2か月遅れになった

『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』が、9月30日に韓国のシネコンで公開されます。日本公開の7月24日から数えて68日後です。台湾は7月31日、香港は8月6日に公開されていますから、韓国のファンは台湾よりちょうど2か月ほど長く待ったことになります。

面白いのは、この「待たされた期間」がそのまま韓国側の熱量として可視化されていることでした。輸入元の대원미디어(テウォンミディオ=大元メディア)が公開日を告知したときの第一声が「존버단 소리 질러!(チョンボダン ソリ チルロ)」だったのです。존버(チョンボ)は「ひたすら耐えて持ちこたえる」という意味の俗語で、존버단(チョンボダン)はそれを続けてきた人たちの集団、소리 질러(ソリ チルロ)は「声を上げろ」。つなげると「耐えてきたみなさん、叫んでいいですよ」といったところでしょうか。配給側がファンダムを「待たされている集団」として名指ししているわけです。

トップスターニュース報道:輸入元の大元メディアが「耐えてきたみなさん、声を上げて」とメインポスターを公開した

出典먼작귀가 온다…‘극장판 치이카와: 인어 섬의 비밀’, 국내 개봉일 확정→메인 포스터 공개(톱스타뉴스=トップスターニュース / 2026年8月27日)
見出しの意味:「먼작귀(モンジャッキ)が来る…『劇場版ちいかわ 人魚島のひみつ』、韓国公開日が確定→メインポスター公開」

出典‘극장판 치이카와’ 한국어 예고편 공개…일본판 성우와 연기 비교(이코노믹리뷰=イコノミックリビュー / 2026年8月31日)
見出しの意味:「『劇場版ちいかわ』韓国語予告編を公開…日本版声優と演技を比較」

27일 수입사 대원미디어 공식 채널에는 “존버단 소리 질러!”라는 글과 함께 ‘극장판 치이카와: 인어 섬의 비밀’ 국내 개봉 포스터를 게재했다.

日本語訳:27日、輸入元の대원미디어(大元メディア)の公式チャンネルに「존버단 소리 질러!(耐えてきたみなさん、声を上げて)」という言葉とともに、『劇場版ちいかわ 人魚島のひみつ』の韓国公開ポスターが掲載された。

ちなみに「먼작귀(モンジャッキ)」は、韓国でのちいかわの通称です。「뭔가 작고 귀여운 녀석들(モンガ チャッコ キヨウン ニョソクトゥル=何か小さくてかわいいやつら)」という原作の副題を頭文字だけ取って縮めたもので、韓国では作品名そのものとして定着しています。

韓国版のメインポスターには「언제까지나.(オンジェッカジナ=いつまでも)」というコピーが縦に置かれ、右下に「9월 30일 대개봉(クウォル サムシビル テゲボン=9月30日 大公開)」と入っています。

韓国のファンは3年前から韓国語のちいかわを見ている。だから予告への注文が具体的だった

ここを押さえておかないと、このあとの反応が読み解けません。韓国では劇場版が初めてのちいかわではないのです。テレビアニメ版がすでに韓国語に吹き替えられて放送されていて、劇場版もその声優がそのまま続投します。

이코노믹리뷰(イコノミックリビュー)は、韓国語版はテレビアニメ『먼작귀(モンジャッキ)』で3キャラクターを演じてきた이주은(イ・ジュウン)・손정민(ソン・ジョンミン)・권다예(クォン・タイェ)がそのまま劇場版を担当した、と報じています。톱스타뉴스(トップスターニュース)が載せたキャスト表を見ると、日本側と韓国側がきれいに1対1で並んでいました。

日本語版韓国語版
ちいかわ青木遥이주은(イ・ジュウン)
ハチワレ田中誠人손정민(ソン・ジョンミン)
うさぎ小澤亜李권다예(クォン・タイェ)
栗まんじゅう淺井孝行원종준(ウォン・ジョンジュン)
モモンガ井口裕香미소(ミソ)
ラッコ内田雄馬이동윤(イ・ドンユン)
シーサー島袋美由利장채연(チャン・チェヨン)
古本屋春海百乃김진아(キム・ジナ)

이코노믹리뷰(イコノミックリビュー)の記事で個人的に一番おもしろかったのが、손정민(ソン・ジョンミン)が語っていたハチワレの発音でした。AniBox のインタビューで、「그냥(クニャン=ただ、なんとなく)」を「고냥(コニャン)」のように発音して「오(オ)」の音を立てる、と説明しているそうです。猫の丸くとがった口の形を、口の動きではなく母音で表現している。日本語版には存在しない工夫です。ちいかわ役の이주은(イ・ジュウン)も、同じインタビューで自分の演技を伽倻琴(カヤグム)の弦をはじくことにたとえ、繊細な息づかいが要ると話したと書かれていました。

つまり韓国のファンは、ちいかわたちの声を韓国語で聞くことに慣れています。劇場版の予告に対する注文が具体的だったのは、そのためでした。

吹き替え予告で一番いいねが付いたのは「主題歌も韓国語で歌って」の529件

ここからは自分で数えた話です。韓国語吹き替え予告は、配給の CJ ENM Movie と輸入元の 대원미디어DAEWON(テウォンミディオ)、2つの公式チャンネルに別々に上がっています。9月14日時点の再生数は大元メディア版が37万9806回、CJ ENM版が14万4369回で、合わせて52万回を超えていました。同じ映像でも2.6倍の差があるので、片方だけ見ていると規模を読み違えます。コメント数は大元メディア版が141件。この2本のコメントをいいね順に並べて読みました。

一番上に来たのが「더빙ost도 주십쇼…(トビン オーエスティド チュシプショ)」で529件のいいねでした。ここは直訳すると「吹き替えのOSTもください」になるのですが、日本語にした瞬間に意味が飛びます。言いたいのは「主題歌も韓国語で歌い直したものを出してほしい」ということです。

韓国語直訳言っている中身日本語でそのまま言えない理由
더빙 OST
(トビン オーエスティ)
吹き替えのOST韓国語で歌い直した主題歌・挿入歌韓国では劇中で流れる歌をまとめて「OST」と呼びます。日本語の「サントラ」は器楽曲を含むアルバム全体を指すので、範囲がひとまわりずれます。さらに日本語の「吹き替え」は台詞に対して使う言葉で、歌には使いません。だから「OSTを吹き替える」と書くと、日本語としては何を求めているのか伝わらなくなります

同じ要求が、そのあともずっと続きます。「1か月も残っていませんが、今からでも主題歌を韓国語で歌ったものをお願いします」に161件。「歌を韓国語版に差し替えて上げ直すために、一度下げたのかと期待しました」に109件。「歌も韓国語にしてくれたらいいのに」に64件。

なかには「本の5巻以降を放り出しておいて、歌まで放り出すのか」という趣旨の書き込みに56件のいいねが付いていました。漫画の翻訳出版が止まっていることへの不満が、劇場版の歌の話に乗っています。

451件のいいねが集まっていたのが、公式の訳がないから自分で作った、という投稿でした。予告に出てくる食べものの歌を、韓国語で歌えるように音数を合わせて訳し直したものです。あんバター、ビール、회오리감자(フェオリカムジャ=ハリケーンポテト)、ドーナツ、ワッフル、おにぎり、양념치킨(ヤンニョムチキン=甘辛だれのフライドチキン)と、韓国の屋台で並ぶものに置き換わっていました。公式が用意しないものを、ファンが供給している状態です。

もうひとつ目を引いたのが、日本語で書かれたコメントに66件のいいねが付いていたことでした。韓国の人たちに向けて、エンドクレジットのあとにも少し話が続くので最後まで見ていくことをすすめる、という内容です。中身には一切触れず、「最後まで残って」とだけ伝えている。先に観た側の作法として、これはきれいだなと受け止めました。

予告が一度消えて戻ってきた。ファンが数えた差分はBGMの引き下げとラスト一言の削除

이코노믹리뷰(イコノミックリビュー)は韓国語吹き替え予告の公開を8月31日と報じていますが、いま残っている2本はどちらも9月5日ごろの投稿です。コメント欄を読むと、その間に何が起きたかがわかります。

「また上がってきましたね。毎日見ていたのに消えていて悲しかったです」(36件)、「ハムにゃんとよ、どこに行っていたの。再生数はまた上げるからおとなしくしていてね」(203件)。そして差分を特定した書き込みが並びます。「全体的にBGMを下げて、子どもたちの声を強調する方向に変わった」(206件)、「ちいかわが最後に泣くところでBGMが消えてよく聞こえるのはいいです。でも、何も言わずに消えないでください」(155件)、「극장에서 만나!(クッチャンエソ マンナ=劇場で会おう!)を返してください」(305件)。

最後の一言が削られたことに、いちばん多くの反応が集まっていました。予告全体では、647件のいいねを集めたこの一文が状況をよく表しています。「予告は全部暗記したので、もう公開してください(モモンガの口調で)」。

一度公開されたものが差し替えられ、消えた1秒がどこかまで特定される。これも「3年間ずっと韓国語で見てきた」蓄積がなければ起きない現象です。

ハチワレの韓国語名は「가르마(カルマ=分け目)」。それでも韓国の記事は「하치와레(ハチワレ)」と書いている

最後に、日本の読者に一番おもしろく届くであろう話を置いておきます。韓国語版でのハチワレの名前は「가르마(カルマ)」です。髪の分け目のことを指す言葉で、頭のまんなかで色が分かれている見た目からきています。

一方、日本語の「ハチワレ」はもともと猫の毛色の呼び名です。額の模様が漢字の「八」の字に割れて見えるところからきています。ただし、ここを猫の話だと早合点すると間違えます。ハチワレは猫ではありません。2022年のナガノ展で原画に添えられた説明書きに「ハチワレはねこではない」と書かれていたことがXで話題になり、そのまとめは閲覧33万回を超えました。ピクシブ百科事典には、この説明が「ハチワレはねこではないので、たまねぎやチョコも食べています」と続いていたと記されています。玉ねぎもチョコレートも、本物の猫には与えられないものです。ファンのあいだでは、ハチワレが猫ではないことは前提として共有されています。

つまり日本語の「ハチワレ」は、猫の柄の名前を借りているだけで、正体が猫だと言っているわけではありません。韓国語の「가르마(カルマ)」は、その猫由来の部分をまるごと落として、見た目だけを人の髪の言葉で取り直した訳ということになります。落ちたものは確かにあるのですが、落ちたのが「猫」だったせいで、結果としては原作の設定のほうに近づいている。訳でこぼれたものが設定と噛み合ってしまった、めずらしい例だと感じました。

そして実際の表記も割れていました。이코노믹리뷰(イコノミックリビュー)は韓国側のキャラクター名を「치이카와(チイカワ)・가르마(カルマ)・토끼(トッキ=うさぎ)」と書き、同じ記事の日本側は「하치와레(ハチワレ)」と書いています。톱스타뉴스(トップスターニュース)のキャスト表に至っては、韓国語名の「가르마(カルマ)」を使わず「하치와레(ハチワレ)」で通していました。韓国の大手ユーザー参加型事典 나무위키(ナムウィキ)には、韓国のファンの多くが「가르마(カルマ)」より原語の「하치와레(ハチワレ)」をしっくりくるものとして使っている、という記述があります。

公式に韓国語の名前があるのに、報道もファンも日本語の呼び名を使い続けている。ちいかわの韓国での3年間が何を積み上げたのかは、この1点によく出ていると感じます。歌も韓国語で聞きたい、というあの529件も、同じ場所から出てきた声なのだと思います。

9月30日、韓国はようやく劇場版を受け取ります。日本が7週間かけて積み上げた考察が、そこからどう韓国語になっていくのか。続けて見ておきたいところです。

※ 再生数・コメントのいいね数は2026年9月14日時点の実測値です。YouTube上の公開データを筆者が集計しました。数値は時間とともに変わります。カタカナ読みは日本語話者が読みやすい形に寄せた表記で、現地の発音と完全には一致しません。

編集部
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。