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【ドイツ】BMWとMINIの車内でアニメ5万話が観られるように。先に搭載したのはソニー・ホンダの車、日本では今も観られない

編集部
吉沢まことVelleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
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【ドイツ】BMWとMINIの車内でアニメ5万話が観られるように。先に搭載したのはソニー・ホンダの車、日本では今も観られない

3行サマリー

  • アニメ配信のクランチロールが8月12日、BMWとMINIの車載画面でアニメを観られるようにすると発表しました。
  • 再生できるのは5万話を超える作品と2万5000時間分。対象はBMWグループ全体から40を超える自動車ブランドへ広げます。
  • 日本国内ではクランチロールを利用できません。2024年9月にこのサービスを最初に載せた車は、ソニーとホンダのAFEELAでした。

クランチロール、8月12日にBMWとMINIの車載画面へ対応すると発表

アニメ配信サービスのクランチロールが8月12日、自動車向けアプリ配信基盤のAppning by FORVIA(アプニング/FORVIA)と組み、車の画面から直接アニメを観られるようにすると発表しました。手はじめはBMWとMINIで、そこからBMWグループ全体、さらに40を超える自動車ブランドへ広げていくとしています。

スマートフォンをつなぐのではなく、車にもとから入っている画面のアプリとして動くところが、これまでとの違いです。観られるのは5万話を超えるエピソードと映画、時間にして2万5000時間分。ふだん家のテレビやスマートフォンで観ているものが、そのまま運転席のとなりに移ってくる、と考えるとわかりやすいはずです。

対象はアジアから中南米まで6地域、アプニングは40ブランドに300を超えるアプリを配信している

出典Crunchyroll to begin in-car streaming(Advanced Television / 2026年8月12日)

出典Anime im Auto: Crunchyroll startet eigene App für BMW und MINI(Anime2You / 2026年8月16日)

Today’s consumers expect their entertainment to be available wherever they are, including in their vehicle.(今の視聴者は、車のなかも含めて、どこにいても楽しめることを前提にしています)
― Brian McGarvey(クランチロール 世界流通・事業開発担当SVP)

対象となる地域は、アジア、オーストラリア、ヨーロッパ、インド、中南米、北米の6つ。BMW車ではアプニングがアプリストアまわりを、TiVoが作品を探す画面を受け持ちます。アプニング側の発表によると、同社はすでに40の自動車ブランドに300を超えるアプリを配信していて、ドイツのアニメ専門メディアAnime2Youは、その顔ぶれにメルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲングループ、ロータス、上海汽車(SAIC)が含まれる点を挙げています。BMWとMINIは入口にすぎない、ということですね。

走行中は映像が止まり、駐車しているあいだだけ再生できる

安全のため、映像が流れるのは車を停めているあいだだけです。ギアを走行に入れた時点で再生は止まります。つまり想定されているのは、運転しながら観る場面ではなく、充電待ちや迎えの待ち時間、あるいは同乗している家族が後部座席で1話ぶん観る、といった使い方です。

この設計を地味と見るか現実的と見るかは、受け取り方が割れるところでしょう。ただ、電気自動車が増えて「停まっている時間」そのものが長くなっている以上、埋めるべき時間は確実に生まれています。アニメ1話ぶんの尺は、その隙間にちょうど収まります。クランチロールの月額は9.99ドルから、サービス自体は200を超える国と地域で提供されています。

2024年9月に最初にクランチロールを載せた車は、ソニーとホンダのAFEELAだった

ここが個人的にいちばん引っかかった点です。車のなかでクランチロールを観るという話は、今回が最初ではありません。ソニーとホンダの合弁であるソニー・ホンダモビリティは2024年9月20日、自社ブランドAFEELAの車載サービスにクランチロールを組み込むと発表し、これを世界初と説明していました。ただし対象は北米向けでした。

クランチロール自体も、もとをたどれば東京に行きつきます。運営するCrunchyroll, LLCは、米ソニー・ピクチャーズエンタテインメントと日本のアニプレックス(ソニー・ミュージックエンタテインメント傘下)による合弁で、どちらもソニーグループの一員です。日本の会社が権利を持ち、日本の会社の車が先に載せた。それでも今回、看板になったのはドイツのBMWでした。

日本ではクランチロールを利用できないため、この機能は日本の運転席には届かない

そして日本の読者にとって、いちばん効いてくるのがここです。クランチロールは公式のヘルプページで、日本国内からはサービスを利用できないと案内しています。旅行者でも居住者でも同じ扱いです。今回の発表で並んだ6地域にアジアは入っていますが、日本の運転席にこのアプリが下りてくる見込みは、現時点ではありません。

日本で新作アニメを観る手段は、dアニメストアやU-NEXT、ABEMA、各社の配信サービスと、もともと十分にそろっています。国内の視聴環境が弱いという話ではありません。ただ、海外向けに整えられた棚と、日本国内の棚は、もう別々に育っています。BMWの画面に5万話が載るというニュースは、その分かれ方がどこまで進んだかを示す1つの目盛りだと私は受け止めました。日本のアニメが世界へ広がるという言い方は、もう半分しか当たっていません。広がっているのは作品であって、それを届ける棚のほうは、日本を通らない経路が太くなっています。

東京のソニー傘下が抱えるアニメの棚が、日本より先にドイツ車の画面に載る

今回の発表を一言でまとめると、東京のソニーグループが抱えるアニメの棚が、日本国内より先にドイツ車のダッシュボードへ届く、ということになります。2024年に世界で最初の一歩を踏み出したのが日本の車だったことを思うと、なおさら不思議な順番です。

次に見るべきなのは、アプニングが配信先に挙げているメルセデス・ベンツやフォルクスワーゲングループへ実際に広がるかどうか、そしてAFEELAで先行した仕組みが北米の外へ出るかどうかの2点だと思います。車の画面がテレビの代わりになるのなら、そこにどの棚が置かれるかは、思っているより大きな話になります。

編集部
吉沢まこと
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。