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【アメリカ】クランチロール社長「アニメの翻訳にAIは使わない」。r/animeで1,970票、最多票は「企業は信用しない」

吉沢まこと
Velleity Note 編集長
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【アメリカ】クランチロール社長「アニメの翻訳にAIは使わない」。r/animeで1,970票、最多票は「企業は信用しない」

3行サマリー

  • ソニーグループ傘下のクランチロールのラウール・プリニ(Rahul Purini)社長が、日本経済新聞の取材で「海外配信する日本アニメの翻訳にAIは使わない」と述べた(2026年10月14日0時22分配信)
  • 海外最大のアニメ掲示板r/animeでは、この報道のスレッドが1,970票・503コメントを集め、最多票(1,669票)は「企業は信用しない」という趣旨の一言だった
  • 不信の背景には、2024年の「AI字幕を試験中」発言と、2025年7月に字幕へ「ChatGPT said:」が残った騒動がある

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クランチロール社長、日経に「アニメの翻訳にAIは使わない」

海外最大級のアニメ配信サービス、クランチロールのラウール・プリニ社長が、日本アニメの翻訳に生成AIを使わない方針を日本経済新聞に語りました。日経によると、理由は「独自の言葉の表現を維持するため、人の手が欠かせない」からです。

取材は、ソニーグループが米ニューヨークで開いたアニメ業界向けイベントに合わせて行われました。クランチロールはソニーグループの子会社で、日本のアニメを英語やドイツ語などの字幕・吹き替えで世界に配信しています。キャラクターのせりふを誰がどう訳すかは、日本の制作側にとっても作品の受け止められ方を左右する問題です。

日経「キャラの言葉に配慮」、5月にも同じ趣旨の発言

出典:ソニーG、アニメの海外配信「翻訳にAI使わず」 キャラの言葉に配慮(日本経済新聞 / 2026年10月14日)

出典:Crunchyroll CEO Says Anime Creators Can Use Whatever Technology They Want but It’s a No for AI Subs and Dubs(Anime Corner / 2026年5月30日)

We’re not using AI in our creative process – whether it’s subtitling or dubbing.

プリニ社長が同じ立場を示したのは今回が初めてではありません。2026年5月には英Radio Timesの取材に「字幕でも吹き替えでも、制作のプロセスにAIは使っていない」と述べたと、Anime Cornerが報じています。今回の日経の記事は方針転換ではなく、5月と同じ方針をあらためて語ったものです。

ファンが疑う理由は、2024年の「AI字幕を試験中」発言と2025年のChatGPT字幕

海外のファンがこの発言をすぐには信じない理由は、過去の2つの出来事にあります。

1つ目は2024年2月です。プリニ社長は米The Vergeのインタビューで、字幕の作成にAIを使う試験をしていると語りました。音声から直接字幕を起こし、日本の放送により早く追いつくのが狙いだったと、The Beatが2024年3月12日付で伝えています。

2つ目は2025年7月です。『ネクロノミ子のコズミックホラーショー』初回のドイツ語字幕に「ChatGPT said:」という文言が残っているのを視聴者が見つけました。クランチロールは「外部の委託業者がAI生成の字幕を使った。契約違反であり、調査して修正する」との声明を出しています(Aftermath、2025年7月3日)。

「AIを試している」と語った社長が、のちに「使わない」と言う。その間に、委託先経由とはいえAI字幕が実際に配信されていた。ファンの側から見れば、方針の言葉と配信の中身が一度食い違ったわけです。今回の発言が疑いの目で読まれたのは、この経緯があるからです。

r/animeの最多票は「企業は信用しない」、2位以下も皮肉が並ぶ

海外最大のアニメコミュニティであるReddit・r/animeでは、この日経記事を紹介したスレッドが10月14日午前1時34分(日本時間)に立ちました。同日15時時点で1,970票、503件のコメントが付いています。上位のコメントは次のとおりです(票数は同時点)。

  • 1,669票:「企業なんて信用するな。嘘をついたご褒美に、またボーナスを100万ドルもらうんだろう」
  • 751票:「翻訳するとこうなる。『しまった、金が!次は黙ってやろう』」
  • 403票:「なるほど、CR(クランチロール)の字幕は原作への忠実さで有名だからね……」
  • 227票:「AIが書いたひどい作品紹介文をすでに試していた。ウィキペディアの焼き直しで、作品の中身に入る前に商業的な成功の話が3段落も続いた」

上位はほぼ皮肉で埋まりました。一方で、少数ながら別の見方もあります。25票のコメントは「企業を信用しないのは当然」と前置きしたうえで、AIと言えば投資家の評価が上がる今の時期に、あえて日経に「使わない」と語ったこと自体に意味がある、と指摘しています。人の翻訳者もせりふを流行りのスラングに置き換えてきた、という批判(26票)も出ています。AIか人かより、翻訳の質そのものに不満を持つ層がいるということですね。個人的には、皮肉の多さよりも「日経に語ったこと自体に意味がある」という25票のコメントのほうが、冷静な読み方だと感じました。

問われているのは「使わない」と言い続けられるか

今回の発言で一番の焦点は、AIを使うかどうかの宣言より、その約束を委託先まで含めて守れるかどうかです。2025年の騒動は、クランチロール本体ではなく外部業者の段階でAI字幕が混入しました。配信の量が増えるほど、委託先の工程は見えにくくなります。

r/animeの反応を見ると、海外のファンは社長の言葉そのものではなく、実際に配信される字幕で判断しようとしています。日本のアニメが世界でどう受け止められるかは、最後は翻訳の質で決まります。クランチロールの「AIは使わない」が本当かどうかは、これから配信される一話一話の字幕が示すことになりそうです。

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吉沢まこと
Velleity Note 編集長(EIC)・エディトリアルディレクター

Webデザイナー、雑誌出版社のWebディレクター、コンテンツマーケター、Web広告プランナーを経て、現在は愛知県の業界No.1企業のインハウスのAIプロダクトマネージャー兼データサイエンティスト。Velleity Noteでは編集長としてメディアの編集方針を定めるとともに、AIとの共著で記事を制作する自動化ワークフローの設計とシステム開発を手がけている。