【アメリカ】ポケモンカード「レインコートのピカチュウ」840万ドルで落札。歴代2位の高値に海外で疑問の声

3行サマリー
- 日本語版ポケモンカード「レインコートのピカチュウ」PSA10が、米Fanatics Collectで64件の入札を集めて840万ドル(手数料20%込み)で落札
- 2026年2月の「ポケモンイラストレーター」約1,650万ドルに次ぐ、ポケモンカード史上2番目の高値
- 元は3DSソフト『ポケモンアートアカデミー』のコンテスト賞品で、刷られたのは100枚だけ
レインコートのピカチュウPSA10、Fanatics Collectで64件の入札の末に840万ドル
赤いレインコートを着てオレンジ色の傘を差すピカチュウのカードが、アメリカのオークションで840万ドルの値を付けました。1ドル150円で換算すると、約12億6,000万円です。
カードの正式名は「2015 Pokémon Japanese XY Promo Art Academy Fujishima Pikachu」。日本語版のプロモカードで、鑑定会社PSAの最高評価「10」が付いた1枚です。Dexertoによると、Fanatics Collectのオークションで9月28日(現地時間)に64件の入札を経て落札されました。落札額には20%の購入者手数料が含まれています。
これで、2026年2月にローガン・ポール氏が手放した「ポケモンイラストレーター」PSA10(約1,650万ドル)に次ぐ、ポケモンカード史上2番目の高額取引になりました。落札者と出品者の名前は公表されていません。
Kotakuは「説明のつかない840万ドル」、Dexertoは「歴代2位」と報道
出典:A Pikachu Pokémon Card Just Sold For An Inexplicable $8.4 Million, The Second-Highest Price Of All Time(Kotaku / 2026年9月30日)
出典:Pikachu card sells for $8.4 million to become second most expensive Pokemon card ever(Dexerto / 2026年9月29日)
A Pikachu Pokémon Card Just Sold For An Inexplicable $8.4 Million
2つの媒体は落札額と入札件数では一致していますが、書き方には温度差があります。Dexertoは記録更新として淡々と伝え、Kotakuは見出しに「Inexplicable(説明のつかない)」と入れて、値段そのものに首をかしげる書き方をしていました。
店頭では売られなかった100枚、3DS『ポケモンアートアカデミー』のコンテスト賞品
このカードが希少なのは、一度も市販されていないからです。2015年、ニンテンドー3DSのお絵かきソフト『ポケモンアートアカデミー』と連動したイラストコンテストが開かれ、Y. Fujishima氏の描いたレインコート姿のピカチュウが入賞しました。カードは賞品として100枚だけ刷られ、入賞者に贈られています。
では、なぜ10年以上前の景品カードが今になって億単位の値を付けたのか。背景には2つの流れがあります。
1つ目は、同じ「コンテスト賞品」という出自を持つポケモンイラストレーターが、2026年2月に約1,650万ドルで売れたことです。いちばん高いカードと同じ種類の物語を持つ1枚として、買い手の目が向きやすくなりました。
2つ目は、PSA10という鑑定済みの形で流通すると、カードが「状態を保証された資産」として扱われることです。KotakuによるとPSA10に鑑定された個体は57枚あるとされます。100枚しか刷られていない中の57枚なので希少には違いありませんが、1枚しかないイラストレーターのPSA10と同列に並ぶほどではない、というのがKotakuの見立てでした。
6月は15万6,250ドル、3カ月で約54倍に跳ね上がった値段の謎
Kotakuが疑問を投げかけた最大の理由は、直前の取引との開きです。同誌がまとめた取引記録では、同じPSA10は2025年に1万6,100ドルと2万6,100ドル、2026年6月にHeritage Auctionsで15万6,250ドル、8月に7万9,999.99ドルで売れていました。
6月の価格から見ると、今回の840万ドルは約54倍です。Dexertoが挙げた2025年6月の取引(1万9,200ドル)と比べると、約437倍になります。
Kotakuは、中国のオークションサイトPokecolorで同じカードが1万ドル弱で取引された記録にも触れ、今回の個体と過去の個体に目立った違いは見当たらないと書いています。記録を並べてみると、1年あまりで値段が桁違いに変わったことがよく分かりました。
Redditでは「本当に支払われたのか」と疑う声と「二度と出ない1枚」の声が割れた
海外のコレクターの受け止めは、祝福よりも疑いのほうが目立ちます。
カード投資の掲示板r/PokeInvestingでは、落札の直後に「Fake sales are getting out of hand recently(偽の取引が最近ひどくなっている)」という投稿が立ち、67件のコメントが付きました。投稿者は、1週間前に中国で同じカードが145万元(約21万5,000ドル)で売れていたと主張していますが、裏付けは示されていません。
一方、鑑定カードの掲示板r/PokeGradingでは「New Record! $8m」という投稿が立ち、落札者が支払いを済ませたと書き込まれました。こちらも誰が書いたのかは明らかになっておらず、Fanatics Collect側からのコメントも出ていません。
コメント欄で目立ったのは、次のような声です。
- 「PSA10が57枚もあるカードでこの値段?富豪はもう何でも買う」(r/PokeGradingで最も支持を集めたコメント)
- 「アートアカデミーはヴィンテージですらないのに、もうこの騒ぎ。将来はどうなるのか」
- 「840万ドルの価値かは分からないけど、こういうカードはお金があっても見つからない。逃したら二度と出てこないかもしれない」(r/PokeInvesting)
- 「21,000ドルで売った人のことを想像してしまう」
資金洗浄を疑う書き込みも複数ありましたが、いずれも具体的な根拠は示されていません。現時点で確かなのは、64件の入札を経て840万ドルで落札されたという記録までです。
日本発の景品カードが海外マネーの的に、30周年のポケモンカードが映す二面性
今回の件で印象的だったのは、日本の3DSソフトのお絵かきコンテストから生まれた1枚が、アメリカのオークションで「資産」として競り上げられたことです。歴代1位のイラストレーターも、もとは日本の雑誌コンテストの賞品でした。上位2枚がどちらも日本語版の景品カードという事実は、日本発の「限られた場でしか配られなかった1枚」に海外の買い手がどれだけの値を付けるかを示しています。
ただ、Redditのコメントを追っていくと、同じ現象を喜んでいる人ばかりではありませんでした。値段が理解できないほど上がると、普通のコレクターは市場から離れていきます。「こういう取引で離れていく人は多い。自分もその1人だ」という書き込みもありました。
ポケモンが30周年を迎えた2026年、カードは遊ぶものと投資するものの間で引き裂かれつつあります。支払いが本当に済んだのか、落札者が名乗り出るのか。個人的には、その答えが出るまでは「史上2位」という肩書きを少し距離を置いて眺めておきたいと感じました。
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