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【中国】NEKCOMの『昭和米国物語』、gamescomで新映像。日本語声優4人を発表、作中のロサンゼルスは「ネオ横浜」

編集部
吉沢まことVelleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
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【中国】NEKCOMの『昭和米国物語』、gamescomで新映像。日本語声優4人を発表、作中のロサンゼルスは「ネオ横浜」

3行サマリー

  • 中国のNEKCOMが、日本時間8月26日のgamescomオープニングナイトライブで『昭和米国物語』の新トレーラーを公開し、日本語キャスト4人を発表しました。
  • Steamの公式ストアページによると、フル音声に対応するのは英語・日本語・簡体字中国語の3言語で、繁体字中国語は字幕だけです。
  • 舞台は日本がアメリカの土地の大部分を買収した「昭和66年」のアメリカ。作中でロサンゼルスは「ネオ横浜」と呼ばれています。発売はPS5とPC向けに2026年の予定です。

中国のNEKCOM、ケルンの見本市で流した新映像の台詞は日本語だった

ドイツ・ケルンで開かれるゲーム見本市gamescomの開幕番組「オープニングナイトライブ」が、日本時間の8月26日午前3時から配信されました(開催前の時刻と出展本数はこちらにまとめています)。その番組で新しいトレーラーが流れたのが、中国のスタジオNEKCOMが開発する『昭和米国物語』です。

驚いたのは、映像の台詞がまるごと日本語だったことでした。RPG Siteは、このトレーラーが日本語音声で作られていると書いています。パブリッシャーの4Divinityが出した発表文によれば、ナレーションを担当しているのは「アニメ好きの大統領」という設定の人物です。ヨーロッパ最大の見本市で、中国のスタジオが日本語の映像を流したことになります。

トレーラーはNEKCOM Gamesの公式YouTubeにも同じ日の午前4時18分(日本時間)に上がりました。長さは1分37秒。公開から約2時間53分がたった同日午前7時11分の時点で、再生数は7,220回でした(編集部で確認した数字です)。

発表された日本語キャストは4人。主人公の千草蝶子役は日笠陽子

出典Showa American Story gets a new trailer at Gamescom 2026(RPG Site / 2026年8月25日)

出典日本に植民地化された“昭和66年”のアメリカが舞台のゲーム『昭和米国物語』の出演声優があまりにも豪華(電ファミニコゲーマー / 2026年8月26日)

In this outlandish post-apocalyptic RPG set in an alternate 1980s, Japan has bought out most of the United States.(1980年代のもうひとつの世界を舞台にしたこの破天荒な終末RPGでは、日本がアメリカの大部分を買い取っている)

今回あわせて発表された日本語キャストは、次の4人です。

  • マイケル・ヒーロー:石川英郎
  • ババー:大塚芳忠
  • 睦月晶虎:緑川光
  • 千草蝶子:日笠陽子

千草蝶子は本作の主人公で、理由がわからないまま死から蘇った少女です。「災厄」によって社会が崩壊したアメリカを、答えを探して旅していきます。日笠陽子さんがその声を担当し、道中で出会う仲間のマイケル・ヒーローに石川英郎さん、ババーに大塚芳忠さん、謎めいた立ち位置の睦月晶虎に緑川光さんという並びです。

フル音声は英語・日本語・簡体字中国語の3つ。繁体字中国語だけ字幕止まり

Steamの公式ストアページを見ると、対応言語のうちフル音声が付くのは英語・日本語・簡体字中国語の3つで、繁体字中国語はテキストのみでした。中国のスタジオが作る作品で、日本語が英語や簡体字中国語と同じ扱いになっています。日本語が後付けの追加ではなく、最初から主要な音声の1つとして数えられているわけです。

開発はNEKCOM Entertainment、パブリッシャーは4Divinityで、日本を除くアジア地域は2P Gamesが担当します。対応機種はPS5とPC(Steam)の2つ。Steamの公式ページに載っている発売時期は「2026年」でした。一方でRPG Siteは、本作が2025年の発売予定を逃したあと、具体的な発売時期はまだ決まっていないと報じています。

ロサンゼルスは「ネオ横浜」、オースティンは「ネオ東京#4」に置き換わっている

4Divinityの発表文によると、プレイヤーが旅するのは「日本化された」アメリカで、ロサンゼルスは「ネオ横浜」、オースティンは「ネオ東京#4」という名前に変わっています。サンフランシスコやラスベガスも登場します。日本が強い経済力でアメリカの土地の大部分を買収し、経済と文化の両面で影響下に置いた、という設定です。

この発想がどこから来たのかも、発表文にはっきり書かれていました。クリエイティブディレクターのXY.Luo氏をはじめとする開発陣は、1980年代の改革開放期の中国で育っています。アメリカと日本のポップカルチャーが短い期間に大量に流れ込んできた時期で、その衝撃と混ざり合いを実際に浴びた世代です。中国の作り手の目から見た日本文化を、北米の風景に重ねる。この作品の妙な既視感は、そこから来ています。

ゲームとしては、近接武器と銃器を組み合わせて戦うリアルタイム戦闘が中心です。刀やドリルアーム、星条旗まで武器になります。アーケード筐体で遊べる「SpaceBunny」「ShowaRun」などのミニゲーム、キャンピングカーを拠点にした生活行動も用意されています。

英語圏は「今年のgamescomで一番」、中国語圏は「最近の国産で唯一おもしろそう」

公開直後のXを見て回ると、言語ごとに反応の力点がずいぶん違いました。

英語圏のゲームメディアNiche Gamerの公式アカウントは、「スタイリッシュでセクシーな終末RPG『昭和米国物語』に、ようやく新しいゲームプレイ映像が来た」と投稿しています。「ようやく」という言葉づかいに、長く音沙汰がなかった作品という受け止めがそのまま出ていました。

英語の個人投稿では、「今年のgamescomで一番好きだった作品」と書いたうえで、露出の多い女性主人公、過剰な暴力、アニメ調の絵づくり、星条旗で敵をなぎ倒す演出を箇条書きで並べる書き方が目立ちます。褒めているのか茶化しているのか、どちらとも取れる書き方が多いのも特徴でした。スペイン語では「ばかげていて、疑わしくて、趣味が悪くて、性的すぎて暴力的。買います」という投稿もあり、否定の言葉を並べたうえで最後に購入宣言を置く、という同じ形をしています。

中国語の投稿で見かけたのは、もう少し切実な言い方でした。「最近の国産ゲームで、唯一おもしろそうだと思えるのが昭和米国物語だ」というものです。中国の大型タイトルへの物足りなさを前提にした褒め方で、英語圏の「悪趣味だけど好き」とは温度がまったく違います。同じ映像でも、自国の作品として見ているかどうかで、こうも読み方が変わるのだと受け止めました。

日本のXで多かったのは、キャストの話より「2026年に本当に出るのか」

日本語の投稿はどうだったかというと、声優発表を素直に喜ぶ書き込みと並んで、発売時期を疑う声がはっきり多く見られました。「本当に2026年内に発売するんですかね」といった内容です。2025年の予定が流れた経緯を知っている人ほど、キャストより日付を見ています。

もう1つ目立ったのが、実在の作品やブランドに似た意匠が多いことへの心配でした。「見覚えがありすぎて怒られが生じないか心配になる」という書き方で、期待と不安が同じ文に同居しています。中国の作り手が日本の昭和を再現しようとすると、参照元がどうしても具体的な既存作品に近づく。日本の読者はそこに真っ先に気づく立場にいます。

日本の私たちにとってこの作品が面白いのは、日本を題材にした海外製ゲームなのに、日本語が翻訳の後付けではなく、フル音声3言語の1つとして最初から入っている点だと思います。日本語で語られる「昭和」を、日本以外の作り手が組み立てている。その珍しさは、キャストの豪華さと同じくらい記録しておく価値があります。

中国の作り手が思い描いた昭和が、日本語の声で世界に出ていく

gamescomの会期は8月26日から30日までで、『昭和米国物語』は会場で試遊もできます。同じ番組ではカプコンの『ロックマン: デュアル オーバーライド』の新映像も流れました(こちらは初ボスの発表内容をまとめています)。日本の作品が海外の見本市で紹介される流れは見慣れていますが、今回はその逆の形が同じ舞台に並んだことになります。

発売時期がはっきりしないままなのは事実で、日本語の投稿が心配していたとおり、そこが最大の未確定要素です。それでも、1980年代の中国で日本と米国の文化を同時に浴びた作り手が、その記憶を日本語のフル音声で世界に出す。ゲームの輸出入がどちらの方向にも流れるようになった今を、これほど分かりやすく示す作品はそう多くありません。発売時期の告知が出たときが、次に確かめるべきタイミングです。

編集部
吉沢まこと
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。