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【アメリカ】ソニー、米関税の払い戻し800億円を受け取る。高く買ったPS5の差額は返さず、任天堂も返金を拒んでいる

編集部
吉沢まことVelleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
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【アメリカ】ソニー、米関税の払い戻し800億円を受け取る。高く買ったPS5の差額は返さず、任天堂も返金を拒んでいる

3行サマリー

  • ソニーは米国の関税の払い戻しを2026年度に約800億円(約5億800万ドル)と見込み、その約7割を4〜6月にすでに受け取った
  • ゲーム&ネットワークサービス分野の営業利益は2,020億円で前年同期比37%増。関税の還付が増益要因の一つに挙がっている
  • PS5は2025年8月と2026年5月に値上げ済み。差額の返金は表明されておらず、日本のもう一社である任天堂も同種の訴訟で返金義務を否定している

ソニー、米関税の払い戻し約800億円のうち7割を4〜6月に受け取った

ソニーが公表した2026年度第1四半期(4〜6月)の決算資料に、米国の関税の払い戻しが利益を押し上げたと記されています。会社が見込む還付は年間で約800億円、約5億800万ドル。そのうち約7割を第1四半期にすでに受け取りました。還付のほとんどはゲーム部門に入り、残りがイメージセンサー部門に回っています。

払い戻しの理由は、米連邦最高裁がトランプ大統領の一連の関税を違法と判断したことです。ソニーはこの関税を値上げの理由の一つに挙げていました。ところが関税が戻ってきた今も、値上げ後にPS5を買った人へ差額を返す計画は示されていません。順番に並べ直すと、値上げの根拠だった負担は消え、消えた分のお金は会社に残った、ということになります。

GameSpotとGamesRadar:増益要因に関税還付、消費者への返金は表明なし

出典Unsurprisingly, It’s PlayStation, Not You, Benefiting From Tariff Refunds(GameSpot / 2026年7月31日)

出典PlayStation is getting “most” of Sony’s estimated $508 million tariff refund(GamesRadar+ / 2026年8月5日)

どちらの記事も、ソニーが返金しないと明言したとは書いていません。書いてあるのは「返す計画が示されていない」という事実のほうです。この差は小さいようで大きいので、読むときに分けておきたいところでした。なお、同じ論点で先に訴えられている任天堂のほうは、法廷ではっきり返金義務を否定しています。

Those who bought Nintendo’s products received exactly what they bargained and paid for.

(訳:任天堂の製品を買った人は、合意した対価に見合うものをきちんと受け取っている。)

PS5は2025年8月と2026年5月に値上げ。購入者はカリフォルニアで集団訴訟を起こした

PS5の価格は2025年8月と2026年5月の二度にわたって引き上げられました。2026年にはカリフォルニア州北部の連邦地裁に集団訴訟が提起され、2025年8月1日以降にPlayStation本体を買った人が対象になっています。原告側の主張は、ソニーが関税の負担を消費者に転嫁した、というものです。

ただし、ソニーは値上げの理由を関税だけだと説明したことはありません。直近の値上げでは「世界経済の環境からの圧力」という言い方をしています。AIとデータセンター向けの大規模投資が引き起こしたメモリー不足も、ゲーム機の値上げが続いた大きな要因でした。マイクロソフトは6月にXbox本体を再び値上げし、2027年にも部品価格がさらに倍になると見ています。だから「関税が戻った分だけ値段を下げればいい」という単純な話にはなりません。それでも、値上げの説明に関税を使った以上、戻ってきた分の行き先を説明する責任は残ります。

Redditで一番支持された声は「ソニーではなく関税を作った政府を責めろ」だった

この件はRedditのPS5コミュニティで2,655の賛成と302のコメントを集めました。おもしろかったのは、怒りの矛先がソニーに向いていないことです。最も多くの賛成を集めたコメントは、関税を導入した米政権への批判でした。次に多かったのが「任天堂も同じことをした」という指摘です。

「企業は与えられたルールで動いているだけだ。責めるならこのやり方を許した政府のほうだ」という趣旨の投稿にも、多くの賛成が集まっていました。「どの会社もやっている」「米国外の価格も上げて相殺していたことを忘れるな」といった冷めた受け止めも目立ちます。日本語の記事の多くが「ソニーが返さない」の一点を見出しにしたのとは、力点がずいぶん違いました。

一方で、記名の書き手たちははっきり批判に踏み込んでいます。GamesRadar+のJordan Gerblick記者は、本来なら値上げ後に買った人へ還付の一部が回るべきだと書きました。GameSpotのDarryn Bonthuys記者の見出しは、得をしているのはPlayStationであってあなたではない、というもの。匿名の投稿は集合的な空気としてしか読めませんが、署名のある批評はそこを名指ししていました。

日本メーカー二社が同じ問いに立たされている。値上げの理由が消えたら差額は誰のものか

この件で問われているのは、ソニー一社の姿勢ではありません。任天堂はすでに同じ構図の集団訴訟を抱え、返金義務を正面から否定しました。ソニーは来月、統合された集団訴訟に応じる予定だと報じられています。日本を代表するゲーム機メーカー二社が、同じ問いに同じ側から立っている状態です。

日本に住む私たちにも関係のある話です。ゲーム機の価格はここ二年で世界中で上がり、そのたびに関税・為替・部品不足という説明がついてきました。説明に使った理由が消えたとき、企業には何を返す義務があるのか。この訴訟の結論は、次に値上げの説明を聞くときの物差しになります。値上げの理由は丁寧に説明されるのに、その理由が消えたことは静かに処理される。私はそこがいちばん気になりました。

編集部
吉沢まこと
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。