【アメリカ】渋谷生まれのスパイダーマン、日本の漫画家が描く。マーベルとKADOKAWAが年内に5作品

3行サマリー
- マーベル・コミックスとKADOKAWAが新プロジェクト「MARVEL|KADOKAWA」を始動し、まず5作品の新作漫画を刊行する
- 発表は現地時間7月25日、サンディエゴ・コミコンのパネル「Marvel Fanfare」。第1弾は渋谷を舞台にしたスパイダーマンの漫画
- 集英社のマーベル漫画5タイトルは9月30日で契約終了。日本でマーベル作品を出す顔ぶれが入れ替わる
Seriesマーベル×KADOKAWAの日本オリジナル漫画全2本
マーベルとKADOKAWAの共同レーベル「MARVEL|KADOKAWA」の発表から連載の動きまでを追う連載
- 2026/7/28【アメリカ】渋谷生まれのスパイダーマン、日本の漫画家が描く。マーベルとKADOKAWAが年内に5作品(この記事)
- 2026/10/12【アメリカ】マーベルの新作マンガ5作、KADOKAWAのカドコミで連載開始。集英社版の終了から10日、海外Redditは706票
渋谷に住む男子高校生がスパイダーマンになる、日本発の新作
マーベル・コミックスとKADOKAWAが組む新プロジェクト「MARVEL|KADOKAWA」の始動が発表されました。まず5作品の新作漫画が予定されていて、そのうち今回明らかになったのは2作品です。
1作目は『Spider-Man of Shibuya』。舞台は東京・渋谷で、渋谷に暮らす男子高校生がスパイダーマンの力を手に入れ、街をスイングしていく物語になるとされています。作画を担当するのは、マーベルで『Jeff The Land Shark』も手がけたtokitokoro。2作目はスパイダーグウェンを題材にした漫画で、山田リューセイが担当します。連載はウェブで、2026年末までに始まる予定です。
作者本人も7月26日にXで「ついに発表されました」と告知し、渋谷生まれのスパイダーマン、新宿のデアデビル、ヤクザ風のパニッシャーという設定を自ら明かしています。翻訳でも移植でもなく、日本の街と日本の作家からキャラクターを立ち上げ直す企画です。
THE RIVER報道:サンディエゴ・コミコンのパネルにKADOKAWAの編集者が登壇した
出典:「MARVEL|KADOKAWA」始動 ─ 渋谷が舞台のスパイダーマン漫画など発表(THE RIVER / 2026年7月27日)
出典:Marvel Partners With Kadokawa for Upcoming Manga Projects(Anime News Network / 2026年7月26日)
マーベル・コミックスとKADOKAWAがタッグを組む新プロジェクト「MARVEL|KADOKAWA」が始動することが発表された。
THE RIVERによれば、発表の場となったのは現地時間7月25日のパネル「Marvel Fanfare」。マーベル・コミックス編集長のC.B.セブルスキーと、新編集長のスティーヴン・ワッカーが登壇し、そこにKADOKAWAの編集長・松井健太と編集者の間篠尚史が招かれました。新作について松井編集長は「何よりもこの作品が世に出ていって、皆さんがどんな反応をしてくださるのか、楽しみで仕方がない」とコメントしたと同誌は伝えています。
デアデビルは鬼の面、パニッシャーは刀を持つヤクザとして描き直された
パネルで公開されたコンセプトアートがそのまま話題になりました。デアデビルは鬼の面をつけ、鎖のついた刃を振るう自警団として。パニッシャーは髑髏をあしらい、刀を差したヤクザの取り立て役として描かれています。スパイダーマンの衣装も、手作りのパーカーから、ストリートウェアの質感を残した赤と青のスーツへ変化していく流れが示されました。
ここで効いているのは、単なる和風のアレンジではなく「東京のどの街の話か」まで決めていることだと感じます。渋谷のスパイダーマン、新宿のデアデビルという置き方は、ニューヨークのクイーンズやヘルズ・キッチンといった原典の地理感覚を、そのまま東京に翻訳する試みです。舞台を東京にしただけの企画とは、狙いの細かさが違います。
もうひとつ見逃せないのが人の配置です。マーベルは7月16日、編集長のセブルスキーが役職を退き、「Asia Originals」の編集者になると発表しました。彼はこのあと東京に拠点を移します。日本を「販売先」ではなく制作の現場として扱う体制に切り替わった、ということになります。
集英社のマーベル漫画は9月30日で終了、日本の窓口はKADOKAWAへ移る
日本の読者にとって、この発表は「新作が増える」だけの話ではありません。背景で、日本におけるマーベル作品の出し手が入れ替わっています。
集英社は7月1日、ウォルト・ディズニー・ジャパンとの契約が9月30日で終了すると発表しました。『Marvel × 少年ジャンプ+ 最強ヒーローズコラボ』『Secret Reverse』『スパイダーマン:オクトガール』『スパイダーマン:キズナ』『デッドプール:SAMURAI』の5タイトルが9月28日から30日にかけて電子書店から順次削除され、紙の単行本の販売も終了します。5作とも連載はすでに終わっています。小学館集英社プロダクションのマーベル日本語版の出版契約も、今年3月31日に終了していました。権利の移し替えとしては手続きどおりでも、読者から見れば、9月末を過ぎると新しく買う手段が消える作品が5つ出るということです。契約が切れるたびに過去作が店頭から消える売り方そのものは、そろそろ見直されてよいと思います。
つまり、これまで日本でマーベル漫画を出してきた2つの窓口が半年のあいだに閉じ、そこへKADOKAWAが入る形になります。読める作品がいったん減り、そのあと別の作り手の手で戻ってくる。断絶ではなく、担い手の交代です。『デッドプール:SAMURAI』のように日本発のマーベル漫画が海外で評価された前例があるだけに、次の5作品がどこまで届くかは、日本の作家がグローバルIPの本編にどれだけ食い込めるかという問いでもあります。
マーベルが日本に求めているのは翻訳ではなく、原作である
この企画の分かれ目は、権利がどこへ移ったかではなく、何を作るかにあります。かつて日本でのマーベル漫画は、アメリカ本国の物語を届けるための入口でした。今回は逆で、日本の作家が日本の街を舞台に、キャラクターの解釈から作る。編集長経験者が東京へ移住してまで関わる体制は、その本気度をよく表しています。
年内にウェブで始まる5作品が、日本のマーベル漫画の主戦場になります。まずは渋谷のスパイダーマンから。個人的には、鬼の面をかぶったデアデビルがどう動くのかがいちばん気になっています。
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