📊 3行サマリー

  • 『鬼滅の刃 無限城編』がインドで歴代最高興収のアニメ映画になった。全国750館での公開は、インドにおけるアニメ映画として過去最大規模。
  • インド初の「早朝5時台」上映が組まれ、前売りはBookMyShowだけで6万5,000枚、PVRでも2万5,000枚が動いた。
  • 配給はソニー系のCrunchyrollとソニー・ピクチャーズ。2025年9月の初公開に続き、2026年3月にはインド初の270度上映「ScreenX」で再上映された。

📝 『鬼滅の刃 無限城編』が、インドで歴代いちばん売れたアニメ映画になった

日本のアニメ映画『劇場版 鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来』が、インドでアニメ映画として歴代最高の興行収入を記録した。2025年9月12日にソニー系のCrunchyrollとソニー・ピクチャーズが全国750館以上で公開し、これはインドでアニメ映画が公開された規模としては過去最大になる。日本で社会現象になった作品が、人口14億人の市場でも同じ熱を生んだ格好だ。

象徴的だったのは上映時間だ。需要に追いつかず、プネーやムンバイの劇場が朝5時台の回を追加した。インドでアニメ映画に早朝5時の枠が立ったのは初めてで、ヒンディー映画の大作でもなかなか見ない光景だった。

📰 Bollywood Hungama・Outlook India:750館・早朝5時という異例の扱い

元ネタDemon Slayer: Infinity Castle to re-release in India on March 6, 2026(Bollywood Hungama / 2026年3月5日)ほか、Outlook India報道

In India, the film emerged as the highest-grossing anime title ever released in the market.

インドの映画メディアは、これを単なる「アニメの話題作」ではなく、本数字を持つ興行案件として扱った。トレード分析で知られるタラン・アダルシュ氏はX上で「インドで初めて早朝5時の回が立ったアニメ映画。チケットは飛ぶように売れ、すでに完売の回も出ている。750館はインドのアニメ映画として史上最大の公開規模」と書いている。アニメをサブカルチャーではなく、一般映画と同じ土俵で語る論調に変わってきたのが見て取れる。

🔥 なぜインドの観客が早朝5時に並んだのか——前売りだけで65,000枚

盛り上がりは前売りの段階からはっきりしていた。インドの主要チェーンを合わせると、BookMyShowで6万5,000枚、PVRで2万5,000枚、Cinepolisで6,000枚が公開前にさばけた。需要を見たチェーン側がIMAXや標準スクリーンの回を足し、結果として早朝5時台という異例の枠まで生まれた。プネーのInox Megaplexでは5時15分、ナビムンバイのCinepolis Seawoodsでは5時20分の回が組まれている。

世界規模で見ても、この作品の勢いは群を抜いていた。『無限城編』は2025年の全世界興収で7位に入り、歴代アニメ映画の世界最高興収を更新した。北米では『グリーン・デスティニー』が25年守ってきた「外国語映画の最高興収」記録を抜いている。ゴールデングローブ賞のアニメ作品賞にノミネートされ、BAFTAのロングリストにも残った。インドの観客は、その世界的な熱とリアルタイムで地続きだった。

🇯🇵 日本のアニメがインドで「一般映画」と戦える規模に変わった

日本側にとって、この話のいちばんの意味は「市場の格が変わった」点にある。これまでインドでの日本アニメは、Crunchyrollのファンイベントや配信を中心にした、熱心な層向けの商売という色が濃かった。それが今回、750館という一般映画並みの公開規模で、しかも興収でアニメ歴代1位を取った。日本のアニメがインドで、ボリウッド大作と同じ売り場に立てることを実証したわけだ。

気をつけたいのは、これを「鬼滅だからできた」で終わらせないことだ。配給を握ったのはソニー傘下のCrunchyrollで、日本発のIPをソニーがインド市場で大きく当てた構図でもある。日本の制作会社や権利元が、この成功からどれだけ継続的な収益と次の公開枠を引き出せるかは、まだこれからの話だ。鬼滅が一度こじ開けた扉に、二本目、三本目が続くか。そこが試金石になる。

🏁 鬼滅がこじ開けたインド市場に、次の日本作品は続けるか

今回の記録は、「日本のアニメがインドでも人気」という話の一歩先にある。早朝5時の劇場に人が並び、前売りだけで6万枚超が動き、アニメ映画の興収記録が塗り替わった。インドはもう、日本アニメにとって「いつか伸びる市場」ではない。すでに当たっている市場だ。問題は、鬼滅という一作の現象を、日本のコンテンツ産業が仕組みに変えられるか。個人的には、ここで一本目に続く二本目を出せるかどうかが、本当の分かれ目だと思っている。