📊 3行サマリー

  • 『鉄拳』を率いた原田勝弘が、SNK傘下の新スタジオ「VS Studio」を設立し、代表に就任した。設立は2026年5月1日、本拠地は東京。
  • 原田はバンダイナムコに31年在籍したベテラン。元『鉄拳』プロジェクトディレクターの米森雄一氏も合流した。
  • SNKは2022年からサウジのムハンマド皇太子が関わる財団(MiSK)の傘下。VS Studioも、その系列の投資会社の下に入る。

📝 鉄拳の原田勝弘、SNK傘下の新会社「VS Studio」代表に就任

『鉄拳』シリーズを長年率いてきたゲームクリエイターの原田勝弘氏が、新会社「VS Studio」を立ち上げた。設立は2026年5月1日、本拠地は東京。原田氏は同社の代表取締役に就いた。VS Studioは、格闘ゲーム『餓狼』『KOF』で知られるSNKが出資する連結子会社で、両社はゲーム開発で協業していく。SNK側のプロデューサー・小田泰之氏も関わる。社名の「VS」は対戦(Versus)をはじめ、開発陣が複数の意味を込めた言葉だという。SNKは発表で、スタジオの理念を「伝統を超え、完璧に仕上げる」と説明した。

📰 SNKの発表:新スタジオの理念は「伝統を超え、完璧に仕上げる」

元ネタFormer Tekken Game Producer Katsuhiro Harada Launches VS Studio SNK(Anime News Network / 2026年5月12日)

Beyond tradition, crafted to perfection.(伝統を超え、完璧に仕上げる)

日本のゲームメディア「電ファミニコゲーマー」は、原田氏とSNKの小田氏らへの長時間インタビューを掲載した。そのなかで原田氏は、最初に手がける作品をまだ格闘ゲームに限定していないとしつつ、こだわりの中心は「競技性」と「対戦」にあると語っている。技術と感性、世界水準の専門性を組み合わせたい、というのが立ち上げ時点での言葉だ。

🔥 31年勤めたバンダイナムコを離れ、元鉄拳ディレクターの盟友も合流

原田氏は2025年末まで、31年にわたってバンダイナムコに在籍した『鉄拳』の顔だった。その人物が古巣を離れ、サウジ資本傘下のSNKで新会社を構えた。業界ではこれを「サプライズ」と受け止める声が多い。VS Studioにはもう一人、元『鉄拳』プロジェクトディレクターの米森雄一氏が加わった。米森氏は『鉄拳タッグトーナメント』から『鉄拳7』、初代『ソウルキャリバー』『ストリートファイター×鉄拳』などに関わったのち、数年前にバンダイナムコを離れていた。原田氏は電ファミニコゲーマーのインタビューで、声をかけたのはごく最近だったと明かしている。それでも米森氏は、ほぼ即答で「一緒にやろう」と返してきたという。VS Studioはまだ採用を始めたばかりで、原田氏は年齢を問わず広く人を募っている。

🇯🇵 サウジ資本がSNKの先へ。日本の格闘ゲーム人材まで抱え込む構図

日本のゲーム好きが見落としたくないのは、この新スタジオの「上流」だ。SNKは2022年から、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が関わる財団(MiSK財団)の傘下にある。VS Studioは、そのMiSK系の投資会社「Electronic Gaming Development Company」の下に位置づけられる。つまり、東京を拠点に日本人クリエイターが日本の感性で作る会社でありながら、資本をたどればサウジに行き着く。サウジはこれまで、任天堂株の取得やカプコンへの出資、モバイルゲーム『Mobile Legends』運営会社の買収などで、ゲーム業界に資金を入れ続けてきた。今回はIPでも株でもなく、『鉄拳』を作ってきた人材そのものを、傘下のSNKを通じて迎え入れた形になる。日本のゲーム産業から見ると、開発資金の出どころが増えるのは作り手の選択肢が広がる面がある。その一方で、稼ぐ仕組みと作り手が少しずつ別の国に分かれていく流れでもある。

🏁 最初の1作は数年先。決まっているのは「対戦ゲーム」ということだけ

気の早い話だが、VS Studioが最初に何を出すのかは、まだ何も決まっていない。原田氏は格闘ゲームに戻るとは明言しておらず、ジャンルも絞っていない。はっきりしているのは「対戦・競技性のあるゲームを作る」という一点だけだ。原田氏は人と競うゲームは欠かせないと考えており、肩書きよりも自分が制作の現場に深く関わることにこだわっている。スタジオは立ち上がったばかりで、最初の作品が見えるまでには数年かかる見込みだ。鉄拳のレジェンドが、サウジ資本という新しい後ろ盾のもとで何を作るのか。これは追いかける価値がある。