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【韓国】Vaundy、韓国初の単独公演に2日間で3万人。アジアツアーは5都市完売、上海のみ中止

吉沢まこと
Velleity Note 編集長
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【韓国】Vaundy、韓国初の単独公演に2日間で3万人。アジアツアーは5都市完売、上海のみ中止

3行サマリー

  • Vaundyが9月19〜20日、仁川インスパイア・アリーナで韓国初の単独公演を開き、2日間で3万人を動員した
  • チケット予約時の同時接続は約7万人。同アリーナで開かれた公演としては歴代最多の動員だと韓国メディアが伝えている
  • 初のアジアアリーナツアーは6都市11公演。上海の2公演が中止となり、残る5都市9公演はすべて完売した

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Vaundy、韓国初の単独公演で仁川インスパイア・アリーナの歴代最多動員を更新

Vaundyが9月19日と20日、韓国・仁川のインスパイア・アリーナで「Vaundy ASIA ARENA TOUR 2026 “HORO” IN SEOUL」を開催しました。韓国での単独公演は初めてで、2日間の動員は3万人。同アリーナで開かれた公演のなかで最も多い観客数だったと、韓国メディアが主催側の発表として伝えています。

ひとつ補足しておきたいのが会場の場所です。ツアー名には「IN SEOUL」とありますが、インスパイア・アリーナが建っているのはソウルではなく仁川、それも仁川国際空港の隣です。2023年11月に開業した最大1万5,000席規模の屋内アリーナで、ソウル都心からは車でおよそ1時間かかります。

2日間で3万人ということは、1日あたり1万5,000人。両日とも、この会場が取りうる上限に近いところまで客席が埋まった計算になります。都心から車で1時間かかる箱を2日続けて満席にしたのですから、この3万人は「ソウルで売れた」より広い範囲の需要を拾っています。

スポーツ京郷とマイデイリー:チケット予約に約7万人が同時接続し、2日間とも全席完売

出典:日 싱어송라이터 바운디(Vaundy), 3만 관객과 호흡하며 첫 단독 내한 공연 성료(スポーツ京郷 / 2026年9月21日)

出典:바운디, 첫 단독 내한에 3만명 몰렸다…인스파이어 아레나 ‘역대 최다 관객’(マイデイリー / 2026年9月21日)

양일간 총 3만 명 관객을 동원해 인스파이어 아레나에서 열린 공연 가운데 역대 최다 관객 수를 기록했다.
(2日間で計3万人の観客を動員し、インスパイア・アリーナで開かれた公演のなかで歴代最多の観客数を記録した)

両紙はいずれも、チケット予約の受付時に約7万人が同時に接続し、その後すぐ全席が売り切れたと報じています。会場の収容が1万5,000席ですから、単純に並べれば座席1つあたり4人以上が同時に画面の前にいた計算です。韓国では人気公演の予約競争を「ピケッティング(피케팅)」と呼びますが、日本人アーティストの初単独公演でこの規模の滞留が起きるのは珍しいことです。

アニメ主題歌4曲と11億回再生の「怪獣の花唄」が、来韓前に需要を作っていた

3万人は当日に生まれた数字ではありません。Vaundyの楽曲は、本人が韓国のステージに立つ何年も前から、アニメとストリーミングという2つの経路で現地に届いていました。

アニメ主題歌だけでも、2022年の『王様ランキング』オープニング「裸の勇者」、同年の『チェンソーマン』第1話エンディング「CHAINSAW BLOOD」、2023年の『SPY×FAMILY』Season 2エンディング「とどめの一撃 feat. Cory Wong」、2025年の『SAKAMOTO DAYS』オープニング「走れSAKAMOTO」と、4年にわたって並んでいます。いずれも配信で世界同時に見られる作品で、主題歌はエピソードの一部として国境を越えます。作品を追いかけた視聴者が、曲名ではなくアニメ名から歌い手にたどり着く流れができていたわけです。

ストリーミングの規模も大きい。Billboard Japan(小川智宏、9月18日)によれば、Vaundyは1億回再生を超えた楽曲を19曲持ち、「怪獣の花唄」は累計11億回を超えています。同記事は「踊り子」をアジアで最も聴かれた1曲として紹介しており、韓国公演のセットリストにもこの2曲は入っていました。つまり主催側は、現地ですでに聴かれている曲を並べられる状態で興行を組めたことになります。

なぜ今だったのか。Vaundyは2019年のデビューから日本国内で規模を積み上げ、2024年11月には史上最年少の男性ソロアーティストとして4大ドームツアーの開催を発表しました。国内の天井に触れたタイミングで、配信によって先に育っていた海外の需要を回収しにいった、という順番です。

「怪獣の花唄」の大合唱に本人が驚き、生配信を見た日本のファンが客席の声量を比べた

会場で最も話題になったのは動員数ではなく、客席の声でした。韓国の観客はサビだけを追いかけるのではなく、公演を通して複数の曲を最初から一緒に歌ったと複数の韓国メディアが伝えています。とりわけ「怪獣の花唄」では、アリーナ全体の合唱がそのまま演出の一部のようになり、Vaundyとバンドメンバーが驚く様子も見られたといいます。その後は本人が積極的に客席をあおる場面が増えたそうです。用意した演出ではなく客席の側から返ってきたものが公演の見せ場になった、というのは取材記事を読んでいて印象に残りました。

この様子が日本側にも直接届いたのは、9月20日の公演が全世界に生配信されたためです。자투리경제(2026年9月23日、송지수記者)は、配信を見た日本のファンから「日本ツアーより観客の声がはるかに大きい」といった受け止めがSNSで目立ったと報じています。個々の投稿を裏取りできる形ではないため断定はできませんが、同じ公演を日韓の客席が比較し合う構図が生まれたこと自体が、この興行の副産物でした。

Vaundyは公演中に韓国語で挨拶し、「泣き地蔵」で幕を開けたあと「不可幸力」「napori」「怪獣の花唄」「踊り子」といった代表曲を続けています。日本語のまま歌われた曲を、韓国の客席が日本語で歌い返した形です。

アジア6都市11公演のうち、完売しなかったのは中止になった上海の2公演だけ

韓国公演は単発ではなく、Vaundyにとって初のアジアアリーナツアーの一区間です。公式サイトが8月26日に出した告知によると、ツアーは6都市11公演の規模で組まれ、内訳は次のとおりです。

  • 東京・幕張メッセ9/11ホール:9月5〜6日(完売)
  • ソウル・仁川インスパイア・アリーナ:9月19〜20日(完売)
  • 香港・AsiaWorld-Arena:10月3日(完売)
  • 福岡・北九州メッセ:10月24〜25日(完売)
  • 台北・台北アリーナ:10月31日〜11月1日(完売)
  • 上海:11月14〜15日(中止)

公式はこの5都市9公演がすべて売り切れたことを発表しています。海外分だけを取り出すと、ソウル2公演・香港1公演・台北2公演の計5公演が完売済みです。

残る上海の2公演は、諸般の事情により中止となりました。チケットが未発売の段階だったため払い戻しの手続きは発生せず、すでに上海の日程が印刷された公式グッズについては、制作スケジュールの都合からほかの会場でそのまま販売が続けられています。中止の具体的な理由は公表されていないため、ここでは事実関係のみを記します。

ただ、この中止で「アジアアリーナツアー」の輪郭はかなり細くなりました。海外に出たのは結局ソウル・香港・台北の3都市5公演で、11公演のうち6公演は東京と福岡、つまり国内です。しかもアジア最大の市場である中国本土が丸ごと抜けました。完売という結果は立派でも、初回のアジア興行として押さえられた面は広くありません。ここを埋められるかどうかが、2回目以降の実際の課題になると私は見ています。

国内ドーム7公演35万人の先にある、J-POPソロの海外アリーナ興行

この1件が示しているのは、日本のソロアーティストが海外のアリーナを「埋められるかどうか」という段階を、すでに通り過ぎつつあるということです。

Billboard Japanが挙げた国内の実績を並べると、ドームツアーは7公演で35万人超、さいたまスーパーアリーナ公演は2日間で7万6,000人、2022年の日本武道館は合計2万6,000席に対して15万人超の応募がありました。今回の仁川は2日間3万人ですから、規模だけ見れば国内公演の方がはるかに大きい。それでも意味があるのは、海外での3万人が「現地のプロモーターがリスクを取って押さえたアリーナを、日本語の楽曲だけで満席にした3万人」だからです。同時接続7万人という予約時の数字は、次に同じ規模の箱を2日間ではなく3日間押さえる根拠になります。

アニメ配信が世界同時になったことで、主題歌は作品と一緒に現地へ運ばれるようになりました。Vaundyの4本のアニメ主題歌は、いずれもその経路に乗っています。日本のアーティストにとって海外公演は「凱旋」でも「挑戦」でもなく、配信で先に積み上がった数字を興行に換える作業へ近づいている。仁川の3万人は、その移り変わりを数字で見せてくれました。

ツアーはこのあと10月3日の香港、10月24〜25日の福岡、10月31日〜11月1日の台北と続きます。海外分の最終地点である台北まで終わった段階で、アジア5都市の通算動員がどこに着地するのかが、次に確かめるべき数字です。

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吉沢まこと
Velleity Note 編集長(EIC)・エディトリアルディレクター

Webデザイナー、雑誌出版社のWebディレクター、コンテンツマーケター、Web広告プランナーを経て、現在は愛知県の業界No.1企業のインハウスのAIプロダクトマネージャー兼データサイエンティスト。Velleity Noteでは編集長としてメディアの編集方針を定めるとともに、AIとの共著で記事を制作する自動化ワークフローの設計とシステム開発を手がけている。