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海外で聴かれる日本の曲ランキング2026年9月|上位20曲中10曲がアニメ由来、King Gnu「AIZO」が3位

吉沢まこと
Velleity Note 編集長
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海外で聴かれる日本の曲ランキング2026年9月|上位20曲中10曲がアニメ由来、King Gnu「AIZO」が3位

3行サマリー

  • Billboard JAPANの海外向けチャート2026年9月24日付で、上位20曲のうち10曲がアニメ作品に由来する楽曲でした
  • 同じ上位20曲のうち10曲は159週連続でランクインしており、2023年9月14日のチャート開始から一度も圏外に落ちていません
  • 日本の世界ストリーミングシェアは2025年で2.52%の9位にとどまり、海外へ届く経路がアニメに偏っている構図が数字に表れています

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訂正(2026-09-27)

当初の記事では「1979年発表の『真夜中のドア〜stay with me』が3年間2位に居座っている」としていましたが、同曲は2025年5月29日付で同チャートの首位を獲得しており、3年間2位だったわけではありませんでした。チャートイン週数を示す「159週」を、同じ順位に留まった期間と読み違えたことが原因です。お詫びして訂正します。

海外で聴かれた日本の曲、上位20曲中10曲がアニメ作品に由来していた

日本を除く世界で聴かれている日本の曲は、その半分がアニメ作品から来ています。Billboard JAPANが2026年9月24日付で公開した「Global Japan Songs Excl. Japan」の上位20曲を、1曲ずつタイアップ元まで確認しました。結果は10曲がアニメの主題歌・オープニング・劇伴。うち9曲がアニメ本編の主題歌かオープニングで、残る1曲は劇場版の劇伴です。

3位のKing Gnu「AIZO」はTVアニメ『呪術廻戦』第3期「死滅回游 前編」のオープニングテーマ、5位の米津玄師「IRIS OUT」は『劇場版チェンソーマン レゼ篇』の主題歌。7位「KICK BACK」、8位Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」、13位Creepy Nuts「オトノケ」、14位King Gnu「SPECIALZ」、15位YOASOBI「アイドル」、17位キタニタツヤ「青のすみか」、19位アイナ・ジ・エンド「革命道中」も、すべてアニメのオープニングか主題歌として世に出た曲でした。20位の牛尾憲輔「in the pool」は『劇場版チェンソーマン レゼ篇』のサウンドトラック収録曲です。

順位曲名アーティスト週数タイアップ元
1TOKYO DRIFT(FAST & FURIOUS)TERIYAKI BOYZ159ハリウッド映画
2真夜中のドア〜stay with me松原みき1591979年のシティポップ
3AIZOKing Gnu36呪術廻戦 死滅回游 前編 OP
4NIGHT DANCERimase159なし
5IRIS OUT米津玄師53劇場版チェンソーマン レゼ篇 主題歌
6死ぬのがいいわ藤井風159なし
7KICK BACK米津玄師159チェンソーマン OP
8Bling-Bang-Bang-BornCreepy Nuts141マッシュル 第2期 OP
9PretenderOfficial髭男dism159なし
10It’s Going Down NowLotus Juice / 高橋あず美121ゲーム『ペルソナ3 リロード』
11夜に駆けるYOASOBI159なし
12ループザルーム (feat. 初音ミク)ルシノ34なし
13オトノケCreepy Nuts102ダンダダン OP
14SPECIALZKing Gnu159呪術廻戦 渋谷事変 OP
15アイドルYOASOBI159【推しの子】OP
16Good Boy&TEAM2なし
17青のすみかキタニタツヤ159呪術廻戦 懐玉・玉折 OP
18Mark on Me&TEAM2なし
19革命道中アイナ・ジ・エンド63ダンダダン 第2期 OP
20in the pool牛尾憲輔49劇場版チェンソーマン レゼ篇 劇伴

Billboard JAPAN「Global Japan Songs Excl. Japan」、日本を除く200以上の国と地域が集計対象

このチャートの特徴は、日本国内の再生を一切含まないところにあります。Billboard JAPANは2023年9月14日に提供を開始し、集計方法を次のように公表しています。

出典:Global Japan Songs Excl. Japan(2026年9月24日付)(Billboard JAPAN / 2026年9月24日)

出典:King Gnu「AIZO」リリース情報(ソニーミュージック / 2026年)

日本の楽曲を対象に、Luminate Data LLCが集計した、日本を除く(excluding)世界200以上の国と地域における主要デジタル・プラットフォームの定額課金型(サブスクリプション)と広告支援型の公式ストリーミング、ダウンロードにそれぞれ比重をつけて算出し、ランク付けしたチャート。

つまりここに並ぶ順位は、日本のファンの支持をいったん取り除いた姿です。Billboard JAPANは同時に「Japan Songs(国名)」という国別チャートも設けていて、韓国・シンガポール・インド・フランス・英国などで日本の曲がどう聴かれているかを個別に出しています。詳細はチャート開始時の告知にまとまっています。

上位20曲のうち10曲が159週連続、チャート開始から一度も圏外に落ちていない

このチャートでもう一つ目を引くのは、上位の顔ぶれがほとんど動かないことです。2026年9月24日付で「159週」と表示されている曲が、上位20曲中10曲あります。チャートの開始は2023年9月14日。この日から9月24日付までは1106日、ちょうど158週です。初回を1週目と数えれば9月24日付は159回目の発表にあたるので、159週という表示はそのまま「初回から一度も圏外に落ちていない」ことを意味します。

該当するのは1位「TOKYO DRIFT(FAST & FURIOUS)」、2位「真夜中のドア〜stay with me」、4位「NIGHT DANCER」、6位「死ぬのがいいわ」、7位「KICK BACK」、9位「Pretender」、11位「夜に駆ける」、14位「SPECIALZ」、15位「アイドル」、17位「青のすみか」の10曲。1979年発表の「真夜中のドア〜stay with me」が47年後の今も上位に残り続けている、という事実がこの市場の性質をよく表していると受け止めました。

ただし159週という表示は「チャートに入り続けた週数」であって、同じ順位に留まっていたことを意味しません。首位は動いています。「真夜中のドア〜stay with me」は2025年5月29日付で初の首位を獲得しており、9月24日付の「TOKYO DRIFT(FAST & FURIOUS)」の首位は通算16度目です。159週のうち首位に立ったのが16回ということは、上位は動かない壁ではなく、この2曲が順位を交換しながら占め続けている、という関係になります。

なぜ入れ替わらないのでしょうか。海外のリスナーのもとへ、日本の曲は「今週の新譜」として届いていないからです。日本国内なら音楽番組やCDの初動、ドラマの放送期間といった時限的な装置が働き、数週間で次の曲へ関心が移ります。国外にはその装置がありません。かわりに、アニメの配信・映画の公開・動画プラットフォームでの再利用が、何年も同じ曲を新しいリスナーに引き合わせ続けます。だから古い曲が落ちず、新曲はその上に積み上がるしかない構造になっています。

新曲が割り込む経路はアニメ主題歌、King Gnu「AIZO」3位・米津玄師「IRIS OUT」5位

居座る定番の壁を越えて上位に入った新しい曲は、ほぼ例外なくアニメ経由です。週数の短い曲を並べると、3位「AIZO」が36週、5位「IRIS OUT」が53週、19位「革命道中」が63週。いずれもアニメのオープニングか主題歌でした。アニメ以外の経路でここへ食い込んだ新曲は、後述する&TEAMの2曲だけです。

「IRIS OUT」の広がり方が、この経路の効き方をいちばん具体的に見せてくれます。Billboard JAPANによれば、同曲はBillboard Global 200の2025年10月4日付で5位に達し、日本語楽曲としての歴代最高位を更新しました。このチャートでも最高1位を記録し、週間ストリーミング数は2025年11月13日付の1,899万回が最高です。『劇場版チェンソーマン レゼ篇』の公開地域が日本から順に広がるにつれて、再生数も地域ごとに立ち上がっていきました。曲が先に広まったのではなく、作品の配給網が曲を運んでいます。

アニメを通らずに入った&TEAM、韓国での発売から2週で16位・18位

今週の上位20曲で唯一、アニメ以外の経路から新規に入ったのが&TEAMでした。「Good Boy」が前週71位から16位へ、「Mark on Me」が前週56位から18位へ跳ね上がり、どちらも週数は2週。「Mark on Me」は同グループが2026年9月8日に韓国でリリースした2枚目のミニアルバムの表題曲で、日本盤の発売は9月21日です。日本国内の再生を含まないチャートで2週目にこの位置へ来ているのですから、順位を押し上げたのは国外の再生です。その中心は韓国だと見ています。

&TEAMは日本人を中心としたメンバー構成でありながら、韓国の制作・宣伝体制に乗せて韓国語作品を出しています。この2曲が示しているのは、アニメ主題歌以外にも国外へ抜ける道が実在すること、そしてその道が現状ではK-POPの流通経路をなぞる形でしか開いていないことです。チャート上位の構造は「アニメか、韓国経由か」の二択に近いところまで来ています。

日本の世界シェアは2.52%で9位、ロイヤリティの半分は国外から入ってくる

アニメ偏重は、日本の音楽が世界でどの位置にいるかという数字とも噛み合っています。Billboard JAPANが公開したグローバルレポートによれば、2025年の日本の世界シェアは2.52%で9位、前年の2.42%から0.1ポイントの微増にとどまりました。同レポートは「世界的な再生数を単独で牽引するアーティストはまだ多くない」と評価しています。

一方で、国外から入ってくる収入の比率はすでに小さくありません。Spotifyは2025年5月29日の公式ブログで、2024年に日本のアーティストが得たロイヤリティの約半分が日本国外由来だったと述べ、その大半が日本語で歌われた曲によるものだとしています。英語に切り替えなくても国外の収入は立つ。足りないのは言語ではなく、曲を運ぶ回路の数です。

日本のリスナーから見ると、この構図は自分が普段聴いている曲との落差として現れます。国内チャートの上位と、この海外向けチャートの上位はほとんど重なりません。アニメを見ない海外リスナーへ日本の曲が届く導線は、いまはまだ細いのだと思います。

「海外で人気」の実体はアニメの配信網であり、曲が単体で広がっているわけではない

このチャートが映しているのは、日本の音楽の実力そのものではなく、日本の音楽が海外へ出ていくときに使っている乗り物の形です。上位20曲の半分がアニメ由来で、もう半分は3年間入れ替わっていません。新曲が入るには、アニメの主題歌になるか、韓国の流通に乗るかのどちらかが要ります。「海外で人気」と語られる現象の多くは、曲の力だけでなく、作品の配信網がどこまで届いたかの結果として起きています。

次の変化を測る物差しははっきりしています。アニメにも韓国経由にも当たらない新曲が、この上位20曲に何曲入るか。その数が増えたときが、日本の音楽が作品から独立して海外へ届き始めたしるしになります。

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吉沢まこと
Velleity Note 編集長(EIC)・エディトリアルディレクター

Webデザイナー、雑誌出版社のWebディレクター、コンテンツマーケター、Web広告プランナーを経て、現在は愛知県の業界No.1企業のインハウスのAIプロダクトマネージャー兼データサイエンティスト。Velleity Noteでは編集長としてメディアの編集方針を定めるとともに、AIとの共著で記事を制作する自動化ワークフローの設計とシステム開発を手がけている。