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【アメリカ】任天堂『スマブラ』桜井政博氏のAI量産ゲーム警告、米Redditで2,800票超。80年代の業界崩壊を重ねる声

吉沢まこと
Velleity Note 編集長
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3行サマリー

  • 『スマブラ』『カービィ』の桜井政博氏が、Steamのタイトル数(約1万9000本)はAIでさらに増え、その多くは「食えないタイトル」になると電ファミのインタビューで発言
  • 英語圏のゲームメディアが10月20〜21日に相次いで報じ、米Redditのr/Gamesでは投稿が2,837ポイント、コメント318件を集めた(10月22日11時時点)
  • 最も支持されたコメント(847ポイント)は、1980年代前半の粗悪ゲーム氾濫による業界崩壊の再来を懸念する内容だった

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桜井政博氏「Steamの1万9000本はAIでさらに増え、ほとんどが食えないタイトルになる」

『大乱闘スマッシュブラザーズ』や『星のカービィ』を手がけた桜井政博氏が、AIでゲームの本数が増えても、その大半は商売として成り立たないという見方を示しました。発言は、電ファミニコゲーマーが10月16日に掲載したインタビューの中のものです。

この発言が英語圏に翻訳されて広まり、米Redditのゲーム板r/Gamesで大きな反響を呼んでいます。話題の中心は、AIによる量産そのものより、大量に作られたゲームの中で「遊ぶ人に求められていない作品」があふれることへの不安でした。

インタビュー自体は、桜井氏が16年続けた「ゲームデザイナーズ大賞」を終える理由を聞く内容です。AIへの言及は、ゲームの「独創性」を語る流れの中で出てきました。

電ファミのインタビューが発端。英語圏では「食えない」の訳が「unprofitable」と「unplayable」に割れた

出典:私、「ゲームに与える賞」って好きじゃないんですね。審査員長を終えたいま桜井政博が語る、「ゲームデザイナーズ大賞」を16年続けた理由(電ファミニコゲーマー / 2026年10月16日)

出典:Smash Bros. director Masahiro Sakurai warns AI could lead to unoriginal, unplayable games(Nintendo Everything / 2026年10月20日)

基本的に、AIは「いままで作ったもの」を参照するわけですが、「いままでにないもの」は参照できないんですよね。

電ファミの聞き手は、ゲームデザイナーズ大賞が始まった2010年にSteamで販売されていたタイトルは約275本で、現在は約1万9000本、およそ70倍になったと質問しました。桜井氏はこれに「これからはもっと増える」「AIで増やしちゃうから」と答え、その大半は「食えないタイトル」になるとの見通しを示しています。

桜井氏は具体例も挙げました。本を片付けていく『司書のお仕事:魔導図書館を片付けろ!』(英題『Librarian』)のあと、スーパーの商品を並べ直すゲームやネジを戻すゲームなど、似たシステムの作品が大量に出たといいます。こうした模倣は「AIにはすごくやりやすいはず」だと指摘しました。

一方で、『ICO』『ワンダと巨像』の上田文人氏の作風をAIがまねることはできても、上田氏が「将来作るもの」はAIには作れないとも述べています。

英語圏では、Nintendo Everythingが10月20日に、EventHubs、My Nintendo News、PC Guideが10月21日に、それぞれこの発言を取り上げました。「食えない」の訳は媒体によって分かれています。Nintendo EverythingとEventHubsは「unplayable(遊べない)」、My Nintendo NewsとPC Guideは「unprofitable(儲からない)」です。原文の「食えない」は、売れずに開発者の生計を支えられないという意味合いで使われています。

なぜ海外で響いたのか。開催中のSteam Next Festで見た「AI量産品」への疲れ

この発言が海外でここまで支持された背景には、プレイヤーがすでに「AIで量産された似たようなゲーム」を実際に目にしているという事情があります。r/Gamesのコメント欄では、開催中のSteam Next Fest(Steamの新作体験版イベント)の名前が何度も挙がりました。

もう一つの理由は、日本のゲーム開発者による生成AIの扱いが、ここ数か月、海外で繰り返し議論になってきたことです。Velleity Noteでも、カプコンの「AI世代のゲームエンジン」発表に海外で反発が起きた件や、レベルファイブが発表会の生成AI映像を謝罪した件を取り上げてきました。そうした流れの中で、『スマブラ』の生みの親が「独創性」を軸に量産へ疑問を示したことが、海外のプレイヤーには分かりやすい代弁になりました。

なお、桜井氏はゲームデザイナーズ大賞を今年で終えることを、9月の日本ゲーム大賞2026の授賞式で明らかにしています(当時の海外の反応はこちら)。今回のインタビューは、その理由を掘り下げたものです。

米r/Gamesで2,837ポイント。最多支持は「80年代の業界崩壊の再来」への懸念

r/Gamesの投稿は、10月22日0時34分(日本時間)に立てられました。同日11時時点で2,837ポイント、コメント318件です。上位のコメントをいくつか紹介します(いずれも意訳)。

  • 847ポイント:「80年代前半に業界を崩壊させた、粗悪なコピーゲームの氾濫。これを再現してしまうのが最大のリスクだと思う。冷静な人たちが量産品を抑えてくれるといいけど」
  • 365ポイント(上のコメントへの返信):「80年代の任天堂が出した答えは『品質保証シール』と、自社プラットフォームの厳しい選別だった。今回もたぶんそれしかない。企業はもう一度、自分のストアをきちんと選別すべきだ」
  • 344ポイント:「彼の言うとおり。今回のSteam Next Festは、同じような量産品の雪崩で本当に気がめいった」
  • 190ポイント:『ドラゴンクエスト』の堀井雄二氏の名前を挙げ、「功績は尊敬するが、AIに強く前向きな姿勢にはまったく同意できない。桜井氏の言うことが正しい」と対比するコメント(堀井氏の姿勢についてはコメント投稿者の見方です)

847ポイントのコメントが指しているのは、日本で「アタリショック」と呼ばれる1983年前後の北米ゲーム市場の崩壊です。返信が任天堂の「品質保証シール」に触れているように、海外のプレイヤーにとってこの話は、日本のメーカーが一度解決した問題がもう一度起きるかもしれない、という文脈で読まれています。

反論は「UnityやRPGツクールでも同じことが言われた」。安い道具からBalatroも生まれた

スレッドは賛同一色ではありません。悲観論に対して、過去の例を挙げて反論するコメントも上位に入っています(意訳)。

  • 27ポイント:「Flash、RPGツクール、アセットストア、Unityと、15年間まったく同じ議論を聞いてきた。そのたびにゴミは本当にあふれたが、結局問題にはならなかった。『Undertale』も『Hollow Knight』も『Balatro』も、同じ安い道具から出てきたのだから」
  • 21ポイント:「桜井氏も、制作の流れにAIを取り入れることには言及している。今回は欠点の側を話しただけで、ほかの人とそれほど違うわけではない」
  • 20ポイント:「Steamで出るゲームの半分はレビュー10件にも届かない。量産品が本気の作品を押しのけるという騒ぎがあるが、Steamは売れないものを推す理由がない」

反論している人たちも、量産品が増えること自体は否定していません。意見が分かれているのは、それが業界を沈めるのか、ストアの選別で吸収されるのか、という点です。

個人的に目を引いたのは、20ポイントのコメントが桜井氏の見通しを裏側から支えていることでした。レビューが10件に届かないゲームが半分を占めるなら、「食えないタイトル」はすでに多数派です。AIで変わるのはその数で、問われているのは、遊ぶ人が良い作品を見つけられるかどうかです。

桜井氏が示した答えは「いままでにないもの」を作れる人の価値

海外の議論は「量産品があふれるかどうか」に集中しましたが、インタビューで桜井氏が強調したのはその先です。粗製乱造の時代になるほど、独自の味つけを理解して作れる「道なき道を行く人」が大事になる、と語っています。

r/Gamesで2,837ポイントを集めた反応を見ると、海外のプレイヤーはこの発言を日本の大御所による警告としてだけでなく、自分たちがSteamで日々感じている違和感の代弁として受け止めていました。80年代の崩壊のあと、北米市場を立て直したのは任天堂でした。その記憶があるからこそ、日本のクリエイターの言葉に重みが乗ったのだと受け止めています。

出典:r/Games「Masahiro Sakurai – AI usage will lead to “unoriginal” and “unprofitable” games」(Reddit / 2026年10月22日 日本時間)

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吉沢まこと
Velleity Note 編集長(EIC)・エディトリアルディレクター

Webデザイナー、雑誌出版社のWebディレクター、コンテンツマーケター、Web広告プランナーを経て、現在は愛知県の業界No.1企業のインハウスのAIプロダクトマネージャー兼データサイエンティスト。Velleity Noteでは編集長としてメディアの編集方針を定めるとともに、AIとの共著で記事を制作する自動化ワークフローの設計とシステム開発を手がけている。