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【台湾】コナミ『プロ野球スピリッツ2026』、シリーズ初の中国語版で台湾の週間販売1位。日本の『パワプロ』はまだ中国語に対応していない

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吉沢まことVelleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
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【台湾】コナミ『プロ野球スピリッツ2026』、シリーズ初の中国語版で台湾の週間販売1位。日本の『パワプロ』はまだ中国語に対応していない

3行サマリー

  • コナミの『プロ野球スピリッツ2026』が7月16日に発売され、台湾の週間販売ランキング(7月13日から19日)で1位。翌週も3位に残りました
  • 20年以上続くシリーズで初めて繁体字中国語に対応し、17年ぶりに復活したWBCモードには中華台北代表も入っています。台湾での価格はデジタル版1,390台湾ドル
  • ただし選手名は英語のまま。日本の『実況パワフルプロ野球』はいまも中国語版がなく、台湾の掲示板ではそちらの中国語化を求める書き込みが並びました

コナミの野球ゲーム、初の中国語版で台湾の週間販売1位に

コナミデジタルエンタテインメントの野球ゲーム『プロ野球スピリッツ2026』(台湾での名称は『職棒野球魂2026』)が、7月16日にPlayStation 5とSteamで発売されました。台湾のゲームメディア Game LIFE が伝えた7月13日から19日の週間販売ランキングでは、この新作が初登場で1位に入っています。

台湾で反応が大きかった理由は、はっきりしています。20年以上続いてきたこのシリーズが、今作で初めて全面的に繁体字中国語に対応したからです。あわせて17年ぶりに「World Baseball Classic」モードが復活し、台湾のファンにとって当然の主役である中華台北代表も収録されました。翌週の7月20日から26日は3位。首位を取ったのは、任天堂『スプラトゥーン』シリーズ初の外伝作品でした。

Game LIFE:発売週は1位、翌週も3位に残った

出典2026 年 7 月 13 日至 7 月 19 日台灣遊戲銷售排行榜(Game LIFE / 2026年7月20日)

出典試玩《職棒野球魂2026》收錄中華隊 製作人還透露首次全中文化關鍵(4Gamers / 2026年6月25日)

製作團隊發現了台灣玩家喜歡用電腦玩遊戲,也感受到台灣玩家對棒球的熱情。(開発チームは、台湾のプレイヤーがパソコンでゲームを遊ぶのを好むと気づき、台湾のプレイヤーの野球への情熱も感じ取った)

Game LIFE のランキングは、台湾の販売店「全台 Game 休閒館」と「德周電玩」の実売データによるものです。同じ週について、台湾最大のゲームコミュニティーである巴哈姆特も、MediaCreate の調査にもとづく台湾ランキングで『職棒野球魂2026』のPS5版が1位だったと伝えています。集計元の違う2つの数字が同じ結論を出しているので、発売週の首位はまず動かないところです。

中国語化の決め手は、前作をパソコンで遊んでいた台湾のプレイヤーだった

4Gamers の取材に応じたプロデューサーの山口剛也は、スポーツゲームはリーグのライセンス料などの事情があって現地語化のハードルが高い、と前置きしたうえで、今回それを越えた理由を説明しています。2024年に出した前作『プロ野球スピリッツ2024-2025』をSteamで配信したとき、台湾のプレイヤーがパソコンでこのシリーズを遊んでいることに開発チームが気づき、台湾の野球熱そのものを感じ取った。だから今回はあらゆる困難を解く道を探した、という順番でした。

実際に効いたのは、試合そのものよりテキスト量の多いモードでした。4Gamers の記事は、高校野球の監督になって甲子園を目指す「白球のキセキ」と、1人の選手のプロ生活をたどる「明星選手」の2つが、中国語になったことで以前とは別物の体験になったと書いています。選手の特殊能力が読めないまま遊ぶ状態が長く続いていた、という指摘も添えられていました。

気になる台日版の差についても、山口プロデューサーは今回は内容が同じだと明言しています。過去に『実況パワフルプロ野球』のアジア版でOB選手が一部抜けていたような違いは、今作にはないという説明でした。台湾での価格はデジタル版が1,390台湾ドル、パッケージ版が1,590台湾ドル。中国語表示は、発売当日の更新データを当ててから使えるようになります。

台湾の掲示板で目立ったのは「パワプロも中国語にしてほしい」という声

ここが今回、一番面白いところでした。台湾の受け止め方は、素直な歓迎だけではありません。

まず、対応しきれなかった範囲は会社側が先に公表しています。KONAMI ASIA は公式Facebookで、ライセンスなどの事情により中国語と韓国語で表示できない部分が残ると告知し、選手名、選手情報、実況とアナウンスの音声、球場名、球団名、そしてデザイン要素を含む一部の表示を具体的に挙げました。この告知は台湾最大の電子掲示板PTTの野球板にも転載され、5月末の時点で議論になっています。4Gamers の記事でも、選手名がすべて英語なのは少し直感的でない、と書かれていました。

そのPTTの反応でくり返し現れたのが、『プロ野球スピリッツ』ではなく『実況パワフルプロ野球』を中国語にしてほしいという要望です。「実況野球をください」「実況野球のほうが大事」といった書き込みが何度も並びました。テキスト量が多いから難しいのだろうという見方に対して、本当の壁は権利処理と市場の需要のほうだと指摘する書き込みもありました。選手名については、英語よりも漢字のほうがいいという意見と、登録名は知っているから困らないという意見が分かれています。選手情報の画面をGoogleレンズで訳しながら遊んでいた、という人もいました。

巴哈姆特の『野球魂』掲示板には「初めての中国語化について、正直すこし残念」という感想スレッドも立っています。長く日本語版でシーズンモードを遊んできた人にとっては、ニュースや選手の活躍を伝える文章の日本語そのものが手ざわりの一部だった、という趣旨でした。歓迎と物足りなさが同時に出ている。それが今回の台湾の反応だと受け止めました。

日本のスポーツゲームの輸出を止めているのは、翻訳量ではなく権利処理

台湾は野球を「国球」と呼ぶ地域です。2024年11月のプレミア12では、東京ドームの決勝で日本代表を破って優勝しました。中国語圏でもっとも野球ファンの層が厚い市場であり、日本とアメリカのプロリーグに送り出した選手も多くいます。それでもコナミの主力野球ゲームが中国語になるまで20年以上かかった、というのが今回の事実関係です。

日本のメーカーに返ってくるのは、翻訳コストの話ではありません。今作で中国語にできなかったのは、テキスト量の多いところではなく、選手名や球団名のように第三者の権利が乗っているところでした。日本のスポーツゲームが海外に出るときに詰まるのは、訳す分量よりも、日本プロ野球機構や選手会との取り決めを海外向けにどこまで広げられるかという交渉のほう。台湾のプレイヤーがそこを掲示板で言い当てていたのは、正直こちらが驚いた部分でした。

そして日本の野球ゲームでもっとも遊ばれている『実況パワフルプロ野球』は、いまも中国語版がありません。4Gamers の記事は、『野球魂』や『実況野球』の今後の中国語化は、今回ファンとプレイヤーが買って支えるかどうかで決まるだろうと書いています。売上ランキングの1位は、その意味では台湾側から日本のメーカーへ返された最初の返答でした。

権利の壁を残した中国語版が、それでも台湾で最初に売れた

まとめると、今回起きたのはこういうことです。日本の野球ゲームが20年以上ぶりに台湾市場へ本気で向き合い、選手名も球団名も訳せないという不完全な形のまま出したところ、発売週の販売1位を取りました。台湾の需要は、完成度が整うのを待つほどおとなしくはなかった。

次に見るべき数字は、この1位が『実況パワフルプロ野球』の中国語化を動かすかどうかです。台湾のファンが本当に欲しがっているのは、17年ぶりのWBCモードよりも、甲子園と育成の物語を母語で読めるほうだと思います。日本のメーカーが権利処理をそこまで広げられるか。今回の1位は、その判断材料として使われることになります。

編集部
吉沢まこと
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。