📝 どんなニュース?
米国特許商標庁(USPTO)が2026年4月1日、任天堂・ポケモンが保有する「キャラクターを召喚して戦わせる」ゲームプレイに関する特許(US 12,433,397)を、26件ある全クレーム(権利主張)について却下する通知を出した。却下理由は「先行技術(prior art)」——つまりこの仕組みは任天堂が特許申請する前から既に他社の特許文書に記述されていた、という判断である。興味深いのは、先行技術として示された4件のうち2件が任天堂自身の過去の特許、残りはコナミとバンダイナムコだった点だ。これは現在進行中のパルワールド訴訟の核となる特許の一つであり、任天堂の法廷戦略に大きな影響を与える可能性がある。
📰 元記事・原文引用
元ネタ:US Patent Office revokes Nintendo’s controversial Pokémon battling patent in nonfinal decision(PC Gamer / 2026年4月1日)
Nintendo has plenty of space to respond, however.
🔥 なぜ今、話題になっているの?
今回却下された特許は、2025年に任天堂に付与された「サブキャラクターを召喚して特定のゲームモードで戦わせる」仕組みを保護するもの。要するに「モンスターボールを投げる→仲間が戦う→捕まえる」という、ポケモンが30年近くゲーム市場で独占してきた中核ループそのものを特許化したものだった。これがポケットペア社の「Palworld(パルワールド)」に対する侵害訴訟で任天堂が武器として使っている特許群の一つである。
USPTOの審査官は、26クレーム全てを「進歩性がない(obvious)」と判断した。18件は2件の先行文献の組み合わせで、残り8件は3件の組み合わせで「容易に想到できた」と見なされたのだ。ここで構造的に重要なのは、任天堂が「独創的な発明」として主張した内容を、USPTOが「任天堂自身が以前出した特許と、コナミやバンダイナムコが既に書いていたことの寄せ集めに過ぎない」と認定したこと。つまり、業界内に既に存在していたアイデアを「囲い込もうとした」という判断である。これは先日のパルワールド関連別特許の無効化判断と同じ構造で、「任天堂は後から広すぎる特許を取って競合を潰そうとしている」という批判が米ゲームメディアで広がる根拠となっている。
🇺🇸 アメリカではどう報じられているか
米国ゲームメディアの論調は任天堂に対して明確に冷ややかだ。Kotakuは見出しに「Pokémon Patent Trolling(ポケモン特許荒らし)」という強い言葉を使い、任天堂の法廷戦略を「パテント・トロール的」と批判している。Windows Centralは「reality check from the US Government(米政府からの現実チェック)」と表現し、PC Gamerも「controversial(論争的な)」特許と位置づけた。日本メディアが「任天堂vsパルワールド訴訟の新展開」と淡々と事実報道する傾向があるのに対し、現地では「大企業による業界共通のアイデアの独占を司法が是正した」という構造的な文脈で語られている。
Reddit・XなどのSNSでは、ゲーマーの間で「任天堂の過去特許が自社特許の先行技術として使われた」という点への皮肉が拡散している。「任天堂は自分たちの過去のアイデアで自分たちの特許を潰した」というミームが一部で流行し、パルワールド支持者にとっては追い風と受け止められている。ただし審査官の判断は「非最終(non-final)」であり、任天堂には反論・補正のため2ヶ月(延長可)の猶予がある。最終決定ではないため、現地の専門家も「パルワールド訴訟が終わったわけではない」と冷静に釘を刺している点は、日本報道と温度感が近い唯一のポイントだ。
まとめ
USPTOの今回の判断は、単なる一社の特許却下ではなく「ゲーム業界で長年使われてきた基本メカニクスを後から特許化することの是非」という構造的な問いを投げかけている。任天堂自身の過去特許が先行技術として使われた事実は、知的財産戦略が時として自社の歴史に足を引っ張られることを示す教科書的事例だ。非最終判断のため決着はまだ先だが、パルワールド訴訟の行方だけでなく、日本ゲーム業界全体の「IP囲い込み戦略」の有効性そのものが、米国司法の側から問われ始めていると言ってよい。


