2026年9月12日 海外メディアとファンの愛を、脚色なしで日本語に @VelleityNote
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【ブラジル】聖闘士星矢の車田正美さんが46億円の横領被害を提訴。ブラジルのファンが「AI禁止」の応援タグを立ち上げた

編集部
吉沢まことVelleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
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【ブラジル】聖闘士星矢の車田正美さんが46億円の横領被害を提訴。ブラジルのファンが「AI禁止」の応援タグを立ち上げた

3行サマリー

  • 『聖闘士星矢』の車田正美さんが9月2日、東京地裁に提訴しました。原告側は横領された総額を46億8,617万円と主張しています
  • うち約18億円はすでに回収済みで、請求額は28億9,688万円。被告は個人7名と法人4社の計11にのぼります
  • ブラジルのファンアーティストが応援タグ「#WeStandWithKurumada」を呼びかけ、その投稿は9月7日13時(日本時間)の時点で表示5万1,852・いいね628まで伸びていました

車田正美さん、9月2日に東京地裁へ提訴。原告側の主張は46億8,617万円

『聖闘士星矢』『リングにかけろ』の車田正美さんが9月2日、長年にわたって創作以外の実務を任せてきた男性らに資金を横領されたとして、東京地裁に損害賠償を求める訴えを起こしました。同日、都内で代理人弁護士とともに記者会見が開かれています。

原告側の主張によると、横領された総額は46億8,617万円。このうち約18億円はすでに回収済みで、残る28億9,688万円の支払いを求めています。被告は主犯とされる男性のほか、その弟や知人ら個人7名と、男性が実質的に支配する法人4社を合わせた計11です。男性は実名では報じられていません。訴訟はまだ始まったばかりで、被告側の主張や判決は出ていません。ここに書いた内容はいずれも原告側の申し立てにもとづくものです。

手口はライセンス料の横取りと、海外の再保険を使った送金だと原告側は説明した

出典『聖闘士星矢』作者・車田正美氏が46億円横領被害…「先生は人間嫌い」と25年外部遮断“元マネージャー”を提訴(弁護士JPニュース / 2026年9月2日)

出典漫画「聖闘士星矢」作者の車田正美さん、46億円横領被害訴え 元マネジャーら提訴(時事通信 / 2026年9月2日)

発覚当時は信じられず、怒りというよりも、そんなものは通り越して虚しくなりました。

会見に同席した代理人によると、男性は約25年前に集英社の契約社員として車田さんの担当編集を務めていた人物で、のちに著作権管理などを担う3社の設立を提案し、経理と対外交渉の窓口を一手に引き受けたとされます。原告側は、その立場を使って「車田先生は人間嫌いだから人に会わない」と関係先に伝え、本人への接触を長年遮断していたと説明しました。

手口として挙げられたのは三つです。管理会社と似た名前の会社を別につくり、海外の取引先から入るはずのライセンス料をそちらに振り込ませたこと。会社の資金を理由なく関係者の口座へ送ったこと。そして、支払った保険料が再保険・再々保険と海外を経由し、最後は男性が支配する海外法人に入る仕組みをつくったこと。発覚のきっかけは2024年2月ごろの国税の税務調査で、横領された資金は暗号資産に投じられていたといいます。ここは代理人の説明にもとづく報道ベースの内容です。

ブラジルのファンアーティストが呼びかけた「#WeStandWithKurumada」、条件は「AIは絶対に使わない」

この一件で先に動いたのは、日本ではなく海外のファンでした。ブラジルのファンアーティスト @PachecooMajuu さんが9月6日8時37分(日本時間)、Xで「世界中の聖闘士星矢のファンアーティストへ」と呼びかけ、車田さんが描いた象徴的な色紙を自分のタッチで描き直そうという企画を立てています。条件として書かれていたのは、手描きでもデジタルでもかまわないこと、そして「AIは絶対に使わない」ことでした。

9月7日13時(日本時間)に筆者が確認した時点で、この呼びかけ投稿は表示5万1,852・いいね628・リポスト226・返信25。タグから最も伸びていたのは @SoldierDreamArt さんが9月6日20時11分(日本時間)に投稿したイラストで、表示3,041・いいね319・リポスト77でした。この投稿は日本語で「長年にわたる情熱と、私たちにたくさんの素晴らしい作品を届けてくださったことに、心から感謝しています」と添えられています。

同じ時刻に確認したタイムラインには、投稿から2分以内の新着が並んでいました。チリのファンは「手元に絵はないけれど、聖闘士星矢は私の人生を何度も形づくった作品です」と書き、メキシコのファンは「聖闘士星矢は私が初めて出会ったアニメで漫画でした」と続けています。ブラジル語圏では解説アカウント @DamienTempest さんが日曜に「この騒動のあとの聖闘士星矢の未来」を語る配信を予告していました。中南米とブラジルは『聖闘士星矢』が国民的な作品として根づいた地域で、反応の速さと量はそこに素直に対応しています。

海外に渡ったのは金額だけで、フランスの大手サイトは見出しと本文で桁が10倍ずれた

いっぽうで、会見の中身がそのまま海外へ届いたわけではありません。英語圏のAnime News Networkは9月2日に「2018年から2024年にかけて計46億円」と正確に報じましたが、記事に載ったのは金額と期間までで、25年におよぶ窓口の独占や、海外ライセンス料の付け替え、再保険を使った送金といった手口は落ちています。ブラジルの各媒体は、そのANNの記事をもとに書いていました。

そのため、通貨に直す段階で数字がばらけました。9月7日13時(日本時間)に筆者が見た範囲では、ブラジルの媒体だけでも請求額を基準にした「9,000万レアル」、横領総額を基準にした「1億5,000万レアル」「1億7,000万レアル」が並んでいます。フランス語圏では「1,500万ユーロ」(請求額基準)と「2,500万ユーロ」(総額基準)が混在し、韓国のアジア経済は「400億ウォン」と書いていました。

いちばん目を引いたのはフランスのjeuxvideo.comです。9月6日16時30分(現地時間)公開の記事は、本文と要約欄では「2,500万ユーロ」としているのに、見出しだけが「250万ユーロ」になっていました。桁が一つ落ちています。同じ記事の中で金額が10倍ずれたまま、9月7日13時(日本時間)には表示5万6,482回まで読まれていました。海外の反応を読むときは、金額がどの数字を換算したものかを必ず確かめる必要があります。

原画展は来年春に開かれる。海外のファンのほうが先に動いた一週間だった

車田さんは会見で、2024年6月に予定していた原画展を中止せざるをえなかったことをファンに謝罪しました。調査の過程で、関係会社のなかに男性が支配する会社が入っていることがわかり、開催すれば相手を利することになると判断したためです。そのうえで「世界中の車田漫画を愛してくれる人たちのためにも、まだ頑張って執筆を続けていきたい」と述べ、来年春に都内で原画展を開くことを発表しています。

訴訟の行方はこれから決まります。ただ、この一週間に起きたことで確かなのは、日本で開かれた会見の中身が海外では金額だけに縮んで届き、その縮んだ情報を受け取ったブラジルやチリやメキシコのファンが、それでも自分の手で絵を描いて名前を呼んだということです。40年前の少年漫画が、いまも遠い国で誰かの人生の一部でありつづけている。来年春の原画展に並ぶ色紙を、いちばん心待ちにしているのは彼らです。

編集部
吉沢まこと
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

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