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【韓国】i-dleソヨンの新曲、日本語の曲名が4通りに割れた。同じ媒体の中でも「退社」と「退職」で食い違う

編集部
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
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【韓国】i-dleソヨンの新曲、日本語の曲名が4通りに割れた。同じ媒体の中でも「退社」と「退職」で食い違う

3行サマリー

  • i-dleのソヨンが9月7日に出した初のソロ正規盤、そのタイトル曲は「会社を辞めます」と告げる一文がそのまま曲名になっています。9月14日のメロンTOP100で14位、曲ページの「いいね」は11,712件でした。
  • 2005年の大学歌謡祭で大賞を取ったバンド、イクスの曲に似ているという指摘が出ましたが、ソヨンは9日放送の『ラジオスター』で、事前に許可をもらったオマージュだと説明しています。
  • 日本語で配信された記事の見出しを集めると、この曲名は「退社するわ」「退社するよ」「退社するね」「退職します」の4通りに割れていました。同じ媒体の中でも記事ごとに違っています。

ソヨンの初ソロ正規盤は5年2か月ぶり、9月14日のメロンTOP100で14位

グループ i-dle のソヨンが、9月7日午後6時に初のソロ正規1集『끝내주는 인생』を出しました。ソロ名義の新譜は2021年のミニ1集以来で、5年2か月ぶりになります。ロック、ハイパーポップ、ディスコ、バンドサウンドと振れ幅の大きい8曲が入っていて、歌詞はソヨンが単独で書きました。

タイトル曲は「퇴사할게여(Narr. 기안84)」。会社を辞めますと告げる一文が、そのまま曲名になっています。ナレーションには漫画家でテレビ出演も多い기안84(キアン84)が参加しました。所属のキューブエンターテインメントの社屋を背景に、ソヨン本人が「퇴사할게요」と投稿していたのがこのカムバックの予告だった、という仕掛けです。移籍や脱退かと受け取った人がそれなりにいたところから始まっています。

実際にどれくらい聴かれているのかを確かめるため、2026年9月14日にメロンのTOP100を見に行きました。この曲は14位に入っていて、曲ページの「いいね」は11,712件。同じ日の1位はRESCENEの「LOVE ATTACK」で147,688件、6位のCORTIS「REDRED」が88,800件でしたから、上位勢とは1桁違います。ただ、100位までの中で新譜が入れる位置としては十分に上のほうです。

韓国経済新聞は「痛快な退職宣言」と書いた

出典“이팔청춘 후회하면 어때요, ‘퇴사할게여'”…소연, 끝내주는 컴백 [신곡in가요](韓国経済新聞 / 2026年9月7日)

出典‘퇴사할게여’ 전소연, 표절 파장에 원곡자 등판…”찍은 날은 당사자 생일 당일”(テンアジア / 2026年9月11日)

그룹 아이들(i-dle) 소연이 많은 이들의 공감을 자극할 발칙, 통쾌한 ‘퇴사 선언’을 했다.

「多くの人の共感を誘う、生意気で痛快な退職宣言をした」。韓国経済新聞はそう書き出しています。会社員の現実をバンドサウンドに乗せた曲、という位置づけで、日本の媒体もおおむねこの線で紹介しました。

2005年のバンド、イクスへの類似指摘は本人と原曲の歌い手の説明で収まった

発売直後から、曲の入りが2005年のMBC大学歌謡祭で大賞を取ったイクス(익스)の「잘 부탁드립니다」に似ている、という指摘がネット上で出ました。ソヨンは9日に放送されたMBC『ラジオスター』で、イクスの曲をオマージュしたくてイ・サンミ本人に直接連絡し、事前に許可をもらったと説明しています。

そのイ・サンミが11日、自身のアカウントに「みなさん憶測はやめて」と書き、ソヨンと並んで撮った写真を何枚も公開しました。動画は8月のソヨンの誕生日に撮ったものだとも明かしています。原曲の歌い手が自分から出てきて線を引いたので、この件はここで止まりました。テンアジアと日刊スポーツがそれぞれ報じています。

韓国のSNSでは別の角度からの反発も出ていました。会社勤めをしたことがない人が退職を歌うのか、という受け止めです。もっとも、Xで広く読まれていたのは反対側の投稿のほうで、会社員の立場から「辞めたことがないだろうと説教したいわけではない、こういう歌があって自分が聴いて共感できるならそれでいい」と書いた投稿は9月13日の時点で「いいね」730件、表示2.2万回まで伸びていました。個別の匿名投稿を根拠にはできませんが、反発一色ではなかったことは見えます。

日本語の見出しは「退社するわ」「退社するよ」「退社するね」「退職します」に割れた

ここからは自分で数えた分です。2026年9月14日、Googleニュースの日本語版でこの曲に触れた記事の見出しを集めて、曲名がどう書かれているかだけを取り出しました。結果は4通りです。

日本語の曲名そう書いた媒体
「退社するわ」Kstyle、wowKorea(配信先のdメニューニュース、千葉テレビの番組表にも同じ表記)
「退社するよ」wowKorea、毎日経済の日本語版、スターニュースの日本語版
「退社するね」毎日経済の日本語版
「退職します」Kagit、スターニュースの日本語版
2026年9月14日、Googleニュース日本語版の見出しから Velleity Note が集計

目を引いたのは、媒体をまたいで割れているだけではないところです。wowKorea は MV ティザーの記事で「退社するわ」、音楽番組の直カム記事で「退社するよ」。毎日経済の日本語版は『ラジオスター』の記事で「退社するよ」、イ・サンミの記事で「退社するね」。スターニュースの日本語版は「退社するよ」と「退職します」の両方を使っていました。3社とも、同じ社名の下で記事ごとに違う曲名が出ています。

この3社はいずれも韓国の媒体の日本語版で、記事に自動翻訳が入っています。毎日経済の日本語版が i-dle の韓国語名「(여자)아이들」を「子供たち」とそのまま置き換えていたので、そこは察しがつきました。一方、編集者が日本語で書いている Kstyle は「退社するわ」、Kagit は「退職します」で、こちらは記事ごとにぶれていません。ぶれているのは訳す人ではなく、訳す仕組みのほうでした。

韓国語の「퇴사」は退職だけを指し、日本語の「退社」は帰宅も指す

なぜ割れるのか。理由は2つあります。

1つは漢字語のずれです。韓国語の「퇴사(退社)」は、会社を辞めるという意味しか持ちません。ところが日本語の「退社」は、会社を辞めることも、その日の勤務を終えて帰ることも指します。「退社するわ」という日本語の見出しだけを見た人が、定時で帰る歌だと受け取っても無理はない。Kagit が「退職します」を選んだのは、この二義性を避けたからだと思われます。

もう1つは語尾です。原題は「퇴사할게요」ではなく「퇴사할게여」。丁寧形の語尾をわざと崩した書き方で、きちんとしているのに甘えているような、社内のチャットに打つような響きがあります。日本語には対応する崩し方がないので、「わ」「よ」「ね」という終助詞で近づけるしかない。わずかな差ですが、「退社するわ」は独り言に、「退社するね」は誰かに言っている感じに寄ります。同じ原題から、違う話し相手が立ち上がってしまうわけです。

訳の割れ方が、この曲がどういう言葉づかいの歌かを逆に示している

曲名の訳が4通りあると聞くと、どれかが間違いのように思えます。でも実際には、どれも原題の一部しか運べていないだけです。会社を辞めるという意味を優先すれば「退職します」になり、崩した語尾の親しさを優先すれば「退社するね」になる。両方いっぺんには持てません。

裏を返せば、この曲名は韓国語の中でかなり細い線を狙って作られています。辞表を出すときの決まり文句を使いながら、最後の一文字だけをずらして肩の力を抜いてみせる。会社員の共感を集めたのはメロディだけの話ではなく、この書き方そのものだったのだと思います。日本語の見出しが4通りに散らばったのは、訳した側の粗さというより、原題がそれだけ狭いところに立っているという証拠に見えました。

編集部
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。