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【カナダ】バイオウェア『ドラゴンエイジ』三部作リマスター、元開発責任者が「ほぼ無理」。2009年の自社エンジンを理解する社員が残っていない

編集部
吉沢まことVelleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
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【カナダ】バイオウェア『ドラゴンエイジ』三部作リマスター、元開発責任者が「ほぼ無理」。2009年の自社エンジンを理解する社員が残っていない

3行サマリー

  • 『ドラゴンエイジ』シリーズの元エグゼクティブプロデューサーが、初期3作をまとめたリマスター構想「Champion Edition」の実現はほぼ無理だと語りました。
  • 『オリジンズ』(2009年)はEclipse、『2』(2011年)はLycium、『インクイジション』(2014年)はFrostbiteと、3作の土台になったエンジンがすべて別物です。
  • 日本語版『Dragon Age: Origins』は2011年1月27日にスパイクから発売されました。自社製エンジンで作った過去作が十数年で社内から動かせなくなる問題は、日本のメーカーにも重なります。

三部作リマスター「Champion Edition」は構想されたが、技術の壁で止まった

『ドラゴンエイジ』シリーズで長く開発を率いた元エグゼクティブプロデューサーが、初期3作をひとつにまとめたリマスターは実現がほぼ無理だと語りました。社内には「Champion Edition」という構想が実際にあり、『オリジンズ』『2』『インクイジション』の3本を収める計画だったといいます。

止めたのは市場性の判断ではなく、技術でした。2009年の『オリジンズ』が動いていた自社製エンジンを理解している社員が、もうバイオウェアに残っていない。しかも社外にも、そのエンジンを扱える会社が存在しません。売れるかどうか以前に、開けられる箱がなくなっていたわけです。

Eurogamer報道:「バイオウェアにAuroraエンジンを理解する人間はもういない」

出典A Dragon Age Trilogy remaster probably won’t happen as no one still employed at BioWare knows how the engine works, claims producer(Eurogamer / 2026年7月29日)

出典A Dragon Age remaster trilogy is unlikely because nobody who knows the old engine is left, producer says(Video Games Chronicle / 2026年7月29日)

There is basically no one at BioWare anymore that understands the Aurora Engine.(訳:Auroraエンジンを理解している人間は、もうバイオウェアには基本的にいません)

両媒体とも同じ発言を軸に報じていて、内容は一致しています。ただしバイオウェアやエレクトロニック・アーツの公式発表ではなく、元開発責任者の説明にもとづく話です。

『オリジンズ』『2』『インクイジション』で、土台のエンジンが3本ともバラバラだった

この話が重いのは、3作の中身がそれぞれ別の技術で建っているからです。『オリジンズ』はAuroraエンジンを発展させたEclipse、『2』は同系統のLycium、『インクイジション』はDICEのFrostbite。世代ごとに土台が入れ替わっています。三部作をひとつのパッケージにするというのは、実質3本を別々に作り直すのに近い作業です。

比較対象としてよく挙がる『Mass Effect Legendary Edition』が成立したのは、3作とも業界標準のUnreal Engine 3で動いていたからでした。外に技術者がいくらでもいるエンジンと、社内にすら分かる人がいない自社製エンジン。同じ「三部作リマスター」でも、そもそも土俵が違います。TechRadarは、バイオウェア側が三部作リマスターを提案したもののエレクトロニック・アーツが乗り気ではなかったと報じており、技術だけでなく社内の温度も逆風だったようです。

Redditで4,600票を集めたのは「MOD制作者にできて社員にできないのか」という皮肉

この記事はRedditのr/gamingで9,000票超・620件のコメントを集め、7月30日のゲーム系投稿では最大級の反応になりました。Eurogamerの記事が見出し下に「それはつらい」と書き添えているとおり、報じる側の筆致にも同情がにじんでいます。掲示板の空気は、もっと辛辣でした。以下はコメントの意訳です。

  • 「長年やってきたソフトウェアエンジニアやゲームデザイナーがエンジンを解明できない、と。MOD制作者はゲームを丸ごとリバースエンジニアリングして改造まで作っているのに」(約4,600票・最多支持)
  • 「三部作リマスターは要らない。『オリジンズ』のリメイクだけでいい。グラフィックとエンジンを新しくしてバグを直す、ゲーム性はそのまま」(約320票)
  • 「初代Switchが出たとき、マスエフェクトやドラゴンエイジを移植して手堅く稼ぐんだろうと思っていた。もう来ないのかもしれない」(約185票)

個々の匿名投稿を事実の裏づけにはできませんが、「技術的に無理」という説明を額面どおり受け取らない声が目立った、という受け止めの方向は見てとれます。裏を返せば、それだけ初期3作に手を入れてほしい人が残っているということです。そして、その熱を10年以上ためさせた末に「もう社内に分かる人がいません」と説明するのは、さすがに順序が逆だと感じます。人を減らす判断をしたのは会社の側ですから。

自社製エンジンで作った過去作は、十数年で社内から動かせなくなる

一社の失敗談で終わる話ではないと受け止めました。独自エンジンは当時の表現を突き詰めるには強い武器ですが、作った人が辞めた瞬間に、会社にとってはブラックボックスに変わります。ドキュメントは残っても、読んで直せる人まで残るとはかぎりません。バイオウェアは度重なる人員削減を経てきました。失われたのはコードではなく、人の側の知識だったわけです。

日本語版『Dragon Age: Origins』は2011年1月27日にスパイクからPlayStation 3とXbox 360で発売されています。当時これを遊んだ日本のプレイヤーにとっても、続きの見えない話になりました。そして同じ構図は、自社製エンジンで名作を作ってきた日本のメーカーにもそのまま当てはまります。旧作を遊べる状態に保てるかどうかは、権利やリマスター予算の前に、社内に人を残せるかどうかの問題。そう考えると、リマスターが出ないニュースは、思っていたより先の話をしているのだと思います。

編集部
吉沢まこと
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。