📊 3行サマリー

  • 『聖闘士星矢』ハデス編の主題歌で知られる歌手・松澤由美が、7月10〜12日にサンパウロで開かれる第27回「日本祭り(Festival do Japão)」に出演する。公演は11日17時45分と12日14時の2回。
  • 2026年は同作のアニメ放送開始から40年、松澤の歌手活動30年の節目。会場では原作者・車田正美の直筆サイン入り原画展も同時に開かれる。
  • ブラジルでは主題歌『ペガサス幻想』のポルトガル語版が、メタルバンド「アングラ」の元ボーカル、エドゥ・ファラスキの歌唱で国民的な名曲として定着している。

📝 聖闘士星矢40周年、ハデス編の歌手・松澤由美が7月のサンパウロ「日本祭り」に出演

ブラジルのアニメ系メディアによると、歌手の松澤由美がサンパウロの「日本祭り(Festival do Japão)」2026年版に出演する。日本では『聖闘士星矢』ハデス編で主題歌を歌った人物として知られ、ブラジルでは『カヴァレイロス・ド・ゾディアコ(Os Cavaleiros do Zodíaco)』の名で40年近く親しまれてきた作品の「声」にあたる。

公演は会期2日目の7月11日17時45分と、最終日12日の14時の2回。本人がSNSに公開した動画では、アニメ放送から40年、歌手活動から30年という二つの節目に触れていた。会場のサンパウロ・エキスポは延床4万平方メートルを超える規模で、日本祭りは「日本以外で世界最大の日本文化イベント」を掲げる。

📰 JBox報道:ハデス編の「Chikyuugi」など3曲を歌った歌手、原画展も同時開催

元ネタCantora Yumi Matsuzawa é anunciada no Festival do Japão 2026, em São Paulo(JBox / 2026年5月28日)

松澤由美はハデス編のオープニングとエンディング、すなわち「Chikyuugi」「Kimi to Onaji Aozora」「My Dear」を手がけたことで特に記憶されている。

原作者・車田正美の直筆サイン入りイラストを集めた公式の原画展も、同じ会期中に開かれるという。第27回を数える日本祭りは10〜12日の3日間。47都道府県の郷土料理が並ぶ屋台や文化展示と並んで、アニメ音楽のステージが組まれている。

🔥 主題歌『ペガサス幻想』が、ブラジルでメタルの定番曲になっていた

ブラジルで『聖闘士星矢』の音楽が特別なのは、ハデス編より前のオープニング『ペガサス幻想(Pegasus Fantasy)』があるからだ。原曲はMAKE-UPが歌い、同バンドの中心人物だった松澤浩明が作曲した。この曲にポルトガル語版が作られ、当時メタルバンド「アングラ(Angra)」のボーカルだったエドゥ・ファラスキが歌ったことで、アニメの枠を超えて広がっていく。

ファラスキ版はアニメのファンをそのままヘビーメタルへ橋渡しし、アングラのライブでも観客から繰り返しリクエストされる定番になった。本人は当初、アングラの公演でこの曲を歌うのに照れもあったと語っている。それでも人気は衰えず、2023年には「決定版」と銘打った再録音まで出した。日本のアニメ主題歌が現地のロックシーンにここまで根を張った例は、そう多くない。

🇧🇷 1994年マンシェチ放送から始まった、ブラジルでの定着

『カヴァレイロス・ド・ゾディアコ』は1994年、ブラジルのレジ・マンシェチで放送が始まった。ドラゴンボールやセーラームーンと並んで、1990年代から2000年代初頭にブラジルへアニメ文化を広げた立役者のひとつとされる。主人公の名「ペガサスの星矢(Seiya de Pégaso)」や必殺技は、当時の子どもたちの共通言語になった。

その世代がいま30〜40代の親になり、子どもを連れてイベントへ足を運ぶ。アニメ放送40年・歌手活動30年の節目に松澤の出演と原画展をぶつけたのは、この「二世代にまたがるファン層」を狙った構成だろう。ちなみにブラジルの吹き替えアニメ主題歌を支えた歌手ニジア・バッキが今月13日に亡くなったことも現地で報じられた。当地のアニメ音楽文化が、ちょうど世代交代の時期に差しかかっているのを感じる。

🇯🇵 40年前の日本アニメ音楽が、海外で「生きた文化」になっている意味

日本では、『聖闘士星矢』は名作として愛されてはいても、その主題歌がロックシーンの定番として演奏され続けているわけではない。同じ曲がブラジルでは現地ミュージシャンの手でメタルの古典に化け、40年たっても会場を満たす。この温度差が、今回いちばん面白いところだと思う。

アニメ本編より、むしろ音楽が現地化して独自に育っていく。Adoや米津玄師の世界的ヒットが「日本語のまま海外で聴かれる」現象だとすれば、ブラジルの『ペガサス幻想』は「現地の言葉と現地のバンドに作り替えられて根付く」もう一つの輸出のかたちだ。新人を集める「アニメフレンズ」とは別に、日本祭りが40周年や原画展という記念性で勝負できるのも、この長く厚いファン層があってこそだろう。

🏁 松澤由美のサンパウロ公演が示す、アニメ主題歌の息の長さ

今回の出演は、ただ懐かしの歌手がブラジルに来る話ではない。40年かけて現地に根を張った日本アニメ音楽が、二世代のファンと現地のロックシーンを巻き込みながら、いまも「現役の文化」であり続けている。日本のアニメ主題歌がどこまで遠くへ、どんな形に変わって届くのか。サンパウロの冬の夜に立つ松澤のステージは、その射程を測る一つの目盛りになりそうだ。