📊 3行サマリー
- フランスの新興スタジオSandfall(約30人)の初作『Clair Obscur: Expedition 33』が、発売からちょうど1年で全世界800万本に到達した。
- サウントラックは6億1,700万回ストリーミングされ、英アルバムチャート1位を6回、仏・独で2位を記録している。
- 日本のファミ通レビューは40点満点中36点。日本ゲーム大賞のブレイクスルー賞も受賞し、JRPGの本場が、フランス産のJRPGを正面から認めた。
📝 仏スタジオSandfallの初作『Expedition 33』、発売1年で800万本を突破
フランス・モンペリエの小さなスタジオSandfall Interactiveが作ったターン制RPG『Clair Obscur: Expedition 33』が、2025年4月24日の発売からちょうど1年で全世界800万本を売り上げた。発売初日に50万本、33日で330万本という出足の良さは知られていたが、Xbox Game Passに初日から入っていたにもかかわらずこの数字に届いたのは、ちょっと珍しい。30人ほどの無名スタジオの第1作だと思えば、なおさらだ。
📰 TheGamer報道:「Game Pass配信下でも800万本、サントラは6.17億回再生」
元ネタ:Clair Obscur: Expedition 33 Sells Eight Million Copies In One Year(TheGamer / 2026年4月24日)
“To date, Expedition 33 has sold over 8 million units globally.”(これまでにExpedition 33は全世界で800万本以上を売り上げた)
開発チームの報告によれば、受賞続きのサウンドトラックも発売以来6億1,700万回(追加楽曲を含めると6億4,500万回)ストリーミングされている。英国のオフィシャル・アルバムチャートでは1位を6回、フランスとドイツでは2位、米ビルボードのアルバムチャートでもトップ5入りを6回果たした。ゲーム本編だけでなく、音楽まで国境を越えて聴かれているわけだ。
🔥 「JRPGはもう古い」と言われ続けた末に、ターン制RPGが賞を総なめにした
面白いのは、この快進撃が「ナラティブ重視のシングルプレイRPGはもう売れない」「ターン制は時代遅れ」と長らく言われてきた逆風のなかで起きたことだ。Expedition 33は第29回D.I.C.E.アワードで8部門にノミネートされ、ゲーム・オブ・ザ・イヤーを含む5部門を受賞。英国アカデミー賞(BAFTA)でも最優秀ゲーム賞を取り、シーズンを通したGOTY受賞は500を超えた。主要なGOTYを5つすべて獲ったのは、『Baldur’s Gate 3』に続いて史上2作目になる。
つまり「ターン制RPGが死んだ」のではなく、単に良いものが長らく出ていなかっただけ――という見方を、フランスの新人が数字で突きつけた。
🇯🇵 本場・日本の評価がいちばん響いた——ファミ通36点と日本ゲーム大賞
このゲームの背骨は、まぎれもなく日本のRPGだ。クリエイティブディレクターのギヨーム・ブロシュ氏は、『ファイナルファンタジー』『ペルソナ』『アトリエ』『シャドウハーツ』『幻想水滸伝』といったタイトルから影響を受けたと公言している。日本のJRPGを浴びて育った世代が、フランスで自分たちのJRPGを作った、という構図だ。
だからこそ、日本での評価は彼らにとって特別だった。ファミ通のクロスレビューは4人のレビュアーが各9点をつけ、合計36点(40点満点)。さらに2025年9月の東京ゲームショウで、日本ゲーム大賞のブレイクスルー賞を受賞している。公式アカウントは「私たちが育つなかで愛してきた数々の素晴らしいJRPGから影響を受けた作品なので、日本で認められたことは重要で、とても個人的な意味を持つ。Merci beaucoup(ありがとう)」と投稿した。ブロシュ氏に至っては「どの国で評価されるより、日本のプレイヤーに受け入れられたことのほうが嬉しい」とまで語っている。
🏁 日本のRPGが生んだDNAが、フランス経由で本国に問い返している
Expedition 33の物語は、日本が輸出したJRPGという文化が一周して戻ってきた話でもある。本家の作り手が「もう売れない」と尻込みしていたジャンルを、その影響を受けた海外の新人が本気でやり切り、しかも本場の賞とレビューで認められた。日本のプレイヤーにとっては誇らしい話であると同時に、「ターン制RPGはまだ戦える」という事実を外から見せられた瞬間でもある。次にこの問いに答えるのは、たぶん日本のスタジオの番だ。


