📊 3行サマリー

  • HawkGGが5月1〜3日に東京ビッグサイトで開催された格闘ゲーム世界大会EVO Japan 2026に、サウジ・中東スタジオ3本(AMER Fighting/Box to the Beat VR/Twisted Chance)を出展。
  • 日本最大級のゲームメディア4Gamer.netとの提携を拡大、サウジ・中東スタジオを日本/アジア圏に露出させる相互拡張の枠組みを発表。
  • アクセシビリティ重視のeスポーツ団体ePARAともGulf市場進出支援で提携。日本ゲーム株を買うフェーズから、サウジ製ゲームを日本に売り込むフェーズへの転換が鮮明になった。

サウジ製ゲーム3本がEVO Japan 2026に出展、東京ビッグサイトでHawkGG主導の専用ブース

リヤドと東京の両拠点で動くゲームコンサル「Hawk Gaming Group(HawkGG)」が、5月1〜3日に東京ビッグサイトで開かれた格闘ゲーム世界大会EVO Japan 2026に、サウジ・中東スタジオ3本を出展した。出展タイトルはMadhook Studios製の格闘ゲーム「AMER Fighting」、Khosouf Studios製のVRリズム「Box to the Beat VR」、Fantasy World Studios製の「Twisted Chance」。HawkGGはイベント全体の国際ソリューション・スポンサー枠で専用ブースを構え、政府系投資ファンド傘下のMerak Capitalもポートフォリオ・スタジオを率いる代表団として来日した。EVO Japanは日本の格闘ゲーム文化を世界に発信する旗艦舞台。そこに中東勢が国別ブースで参戦したのは、これまでの「日本企業から買う」だけだったサウジの動きが一段変わった合図だ。

Arab News Japan:「Hawk Gaming Groupがサウジ・中東スタジオをEVO Japan 2026に上陸」

元ネタHawk Gaming Group brings Saudi and Middle Eastern game studios to EVO Japan 2026(Arab News Japan / 2026-05-14)

Riyadh- and Tokyo-based gaming consultancy Hawk Gaming Group showcased Saudi and Middle Eastern game studios at EVO Japan 2026, highlighting the region’s growing ambitions in the global gaming and esports industry.

記事はHawkGG代表ターキー・ファイサル氏の発言として、「日本は世界で最も重要なゲーム市場のひとつで、EVO Japanは競技シーンで最も文化的に意義のあるステージだ」と引いている。出展はブース確保が目的ではなく、日本市場との恒久的なパイプを敷くための「インフラ整備」だと位置づけられている。

サウジは日本ゲーム株購入から、サウジ製ゲーム日本売り込みフェーズへ転換

これまでサウジのゲーム関連投資は、Public Investment Fund(PIF)傘下のEGDCがCapcomを6.04%まで買い増し、Ayar FirstがBandai Namco(5.05%)・Nexon(10.71%)・Koei Tecmo(9.3%)を保有する、いわば「日本の上場ゲーム会社の株を集める」フェーズが目立っていた。EVO Japan 2026への出展はその逆方向の動き。サウジ製ゲームを東京ビッグサイトの会場で日本のプレイヤー・メディア・パブリッシャーに直接見せ、Vision 2030が掲げる「世界の中心となるゲーム拠点」に向けた輸出インフラを敷きに来た形だ。買うだけでなく、自国コンテンツを日本に流し込むためのチャネル整備に、サウジの重心は確実に寄り始めている。

4Gamer.net・ePARA・Merak Capital——3つの提携が日本市場進出インフラを構築

HawkGGが今回同時に打ち出した3つの提携は、日本側に対して別々のレイヤーで接点を作る設計になっている。ひとつめ、国内最大級ゲームメディア4Gamer.netとの提携拡大は、サウジ・中東スタジオを日本/アジア圏の読者層に常時露出させる装置として機能する。ふたつめ、アクセシビリティeスポーツのePARAとは、障害のあるプレイヤーを含む包摂的eスポーツの取り組みをサウジに持ち込む二方向協業を打ち出した。みっつめのMerak Capital来日は、ファンド側がポートフォリオ・スタジオの売り先候補として東京を直接見にきたサインだ。日本のゲームスタジオやパブリッシャーには、サウジ系資本との「協業」「資本提携」「買収提案」の打診が、いまよりも具体的なテーブルとして並ぶ。サウジ製ゲームを日本市場でローカライズ展開する場合の競合は、既存の国内格ゲー・VRリズム・カードゲーム市場。AMER Fightingが日本語版を出すなら、Street Fighter 6が支配する格ゲー市場でどこまで取れるかが最初の試金石になる。

Vision 2030下「ゲーム輸入超過→輸出」が次の競争軸

サウジの「ゲーム×日本」関係は、株式保有・買収提案・スポンサーシップが中心だった第1フェーズから、自国製コンテンツを日本市場に押し込み、日本のメディア・競技団体・クリエイターを巻き込む第2フェーズに切り替わった。HawkGGの東京=リヤド二都市運営は、その第2フェーズを支える物理インフラだ。日本のゲーム業界・eスポーツ関係者にとっては、サウジ側から資本だけでなく、コンテンツ・イベント運営パートナーシップ・アクセシビリティ取組までが同時並行で押し寄せる現実が、もう目の前にある。