📊 3行サマリー
- 米Atariが5月6日、初代『ウィザードリィ』を含むシリーズ1〜5(1981〜1988年)の権利を元の権利保有者から取得したと発表。
- 日本のドリコムは翌5月7日に「商標権等の権利を売却した事実はない」と公式声明を出し、Wizardry 6〜8と国内外商標は引き続き自社で保有することを明確化。
- JRPGの源流とされるシリーズが、初代5本=Atari/6〜8と「Wizardry」商標=ドリコム、という日米2社の分担管理へ移行する構造に。
📝 Atari、5月6日にウィザードリィ初代5作の権利を取得と発表
米Atariは5月6日、堀井雄二氏や坂口博信氏も影響を受けたとされる古典PCRPG『ウィザードリィ』のシリーズ第1作〜第5作の権利を、元の権利保有者から取得したと発表した。対象は『Proving Grounds of the Mad Overlord』(1981)、『The Knight of Diamonds』(1982)、『Legacy of Llylgamyn』(1983)、『The Return of Werdna』(1987)、『Heart of the Maelstrom』(1988)の5本に加え、関連する契約上の権利・知的財産も含む。Atariは初代群を「Llylgamyn Saga」として再ブランディングし、リマスター・コレクション化・新作展開、さらにはカードゲームや映像化までを長期計画に据えている、と説明した。
📰 Gematsu報道:「日本RPGの礎を築いた」シリーズが米Atari傘下で再始動
元ネタ:Atari acquires rights to first five Wizardry games(Gematsu / 2026年5月6日)
Wizardry is such an influential RPG franchise, yet many of the games have been unavailable for more than two decades.(Atari CEO ウェイド・ローゼン氏)
Gematsuは、JRPGジャンルの土台を据えたシリーズが米Atariの手に戻った、と位置づけた。シリーズ共同制作者ロバート・ウッドヘッド氏のコメントも掲載されており、1980年代当時の業界黎明期を振り返りつつ、再リリースを古参プレイヤーがどう受け止めるか「楽しみにしている」と語っている。
🔥 Wizardry 6〜8と国内外商標はドリコム保有、Atariは「1〜5」のみ取得
初代から第5作の権利をAtariが押さえた一方で、第6作以降と「Wizardry」ブランドそのものの管理権は日本側に残った。ドリコムは2020年に第6作『Bane of the Cosmic Forge』、第7作『Crusaders of the Dark Savant』、『Wizardry 8』、『Wizardry Gold』の著作権、および「Wizardry」シリーズの国内外商標権を取得済みで、これらの権利を今回手放してはいない。第6作以降は1〜5とは別世界観の作品群で、米国でDavid W. Bradley氏らが手がけた、いわゆる「ダーク・サヴァント・サーガ」が中心になる。
Atariが取得した1〜5には、傘下のDigital Eclipseが2024年に発売した初代『Proving Grounds of the Mad Overlord』のリメイクも含まれている。リマスター事業の素地は既に整っているわけで、Atariは続編4本にも公式に手をかけられる立場になった。
🇯🇵 ドリコムが5月7日に公式否定、JRPG源流のIPは日米2社で分担管理へ
取得発表の翌5月7日、ドリコムは公式コーポレートニュースで「一部メディアにおいて、Atari社が当社からWizardryの権利を取得したとの報道がされているが、そのような事実はない」と明言。「今後も保有する『Wizardry』の商標権等の権利を売却する意思はない」と続けた。同社は同日のリリースで、Atariが買収したのは「元の権利保有者から第1作〜第5作の権利」だと明記し、ドリコムから商標が動いた事実は無いとはっきり線を引いている。
ドリコム自身は近年、Wizardry系コンテンツを実際の事業に組み込んできた。2023年に基本プレイ無料のスマホ向け『Wizardry Variants Daphne』を国内外で配信、初代リメイクの日本語版展開、ポータルサイト「Wizardry.info」の運営など、IPホルダーとして商品化・コミュニティ運営の主軸を担っている。今回の権利分担で、米国側の初代群リマスター・新作と、日本側の6〜8系統・商標ガバナンス・派生ライセンスが並走する形になる。
JRPGの土台を作ったシリーズの商標が、引き続き日本企業の管理下にあるという事実は、日本ファンの体感としてはかなり大きい。堀井雄二氏は1980年代、東京の小規模PCショップ経由で輸入された日本語版『ウィザードリィ』をプレイして、ドラゴンクエストの一人称ダンジョン構造の着想を得たとされる。坂口博信氏もファイナルファンタジー創出時のレファレンスとして同シリーズを挙げてきた。日米でブランドを分担する形になった以上、日本ファンが慣れ親しんだ表記・パッケージ・コミュニティ運営は引き続きドリコム経由で安定する公算が高い。
🏁 リマスター・新作・実写化を米Atariが推進、商標ガバナンスは引き続き日本側
Atariが描いているのは、ゲームのデジタル配信とパッケージ復刻にとどまらず、ボードゲーム化・コミック化・映像化までを含む包括的なIP展開だ。一方ドリコム側は「Wizardry」ブランドの国内外管理という根幹を維持しつつ、6〜8の系統や派生コンテンツを掘り続ける。米国生まれのIPを米Atariと日本ドリコムが、異なる時代の作品群と権利層で分担して動かす。Wizardryで実現するこの国際分担モデルは、これまでの大型IPには例がほとんど無い形だ。


