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【アメリカ】ソニーの『PHYSINT』撤退をBloombergが予算超過と報道。海外掲示板931件中84件は2015年のコナミを持ち出した

編集部
吉沢まことVelleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight
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【アメリカ】ソニーの『PHYSINT』撤退をBloombergが予算超過と報道。海外掲示板931件中84件は2015年のコナミを持ち出した

3行サマリー

  • Bloombergは9月11日、PlayStationがコジマプロダクション『PHYSINT』から降りた要因として、デス・ストランディング2作の収益が期待に届かなかったこと、締切の未達と予算の大幅超過、恒久的な独占ではないこと、の3点を挙げて報じました。
  • この報道が立ったRedditの2スレッド(r/gaming・r/Games)に付いたコメント931件を9月12日に数えたところ、予算・コストに触れたものが277件で最も多く、締切・開発の遅れは111件。
  • Bloombergが挙げていない「ハリウッド俳優の起用」に触れたコメントは118件、2015年のコナミとの決別を持ち出したものは84件ありました。日本の会社が10年前に言われたのと同じ言葉が、今度はソニーの側から出ています。

SeriesPHYSINT 販売元の移籍全2本

コジマプロダクション『PHYSINT』の販売元がPlayStationからXBOXへ移った経緯と、その後の報道を追う連載です。

  1. 2026/9/10【アメリカ】コジマプロダクション『PHYSINT』、XBOXが販売元に。海外掲示板のコメントはPlayStation側1,356件・XBOX側478件
  2. 2026/9/12【アメリカ】ソニーの『PHYSINT』撤退をBloombergが予算超過と報道。海外掲示板931件中84件は2015年のコナミを持ち出した(この記事)

PlayStationが降りた理由は、デス・ストランディング2作の収益とふくらんだ予算だとBloombergが報じた

コジマプロダクションの新作『PHYSINT』の販売元がXBOXになった経緯は、9月10日の記事でお伝えしたとおりです。そのときに残っていた「なぜPlayStationが手を離したのか」に、Bloombergが9月11日、Jason Schreier記者の署名記事で答えを出しました。

挙げられた要因は3つ。まず、コジマプロダクションの直近2作、デス・ストランディングとその続編の商業的な成績が、PlayStationの想定した収益に届かなかったこと。次に、発売までまだ数年あるはずの『PHYSINT』がすでに締切を守れておらず、予算を大きく超える見通しだったこと。もうひとつは、デス・ストランディングの2作がいずれも時限独占で、のちに他機種へ出ていったという実績があり、恒久的に自社ハードへ留まらないタイトルに数億ドルを投じることへPlayStationが慎重だったこと。

いずれも匿名の関係者の話としてBloombergが報じているもので、ソニー・インタラクティブエンタテインメントもコジマプロダクションも、この内容について公式なコメントは出していません。ここから先は「Bloombergがそう報じた」という前提で読んでいただければと思います。

出典:Bloomberg 2026年9月11日、Reddit r/Games のスレッド

出典PlayStation Ditched Hideo Kojima’s ‘Physint’ on Budget Concerns, Missed Deadlines(Bloomberg / 2026年9月11日)

出典Bloomberg: PlayStation Ditched Hideo Kojima’s ‘Physint’ on Budget Concerns, Missed Deadlines(Reddit r/Games / 2026年9月11日)

But the new project has also missed deadlines and was on track to be well over budget despite being years away from release.

(訳:新しいプロジェクトもまた締切を守れておらず、発売まで数年あるにもかかわらず予算を大きく超える見通しだった)

掲示板コメント931件で一番多かった話題は予算の277件だった

この報道が立ったスレッドは、9月12日の時点でr/gamingが3,358票・1,114コメント、r/Gamesが1,838票・997コメント。両方の返信までを含めて931件を取得し、どの話題に触れているかを数えました。1件が複数の話題に触れる場合は重複して数えています。

  • 予算・コスト:277件
  • デス・ストランディング:135件
  • ハリウッド俳優の起用:118件
  • 締切・開発の遅れ:111件
  • XBOX・マイクロソフト:106件
  • コナミ/MGSV:84件
  • 恒久独占でないこと:59件

Bloombergが挙げた3要因のうち、読者が真っ先に食いついたのは予算でした。締切の111件や独占の59件より倍以上多く、しかも「ソニーが出し渋った」ではなく「作る側が使いすぎた」の方向に票が集まっています。「そろそろ気づいてきたんだけど、コジマさんは予算と締切に問題があるんじゃないか」という一文が669票。皮肉まじりの短い投稿ですが、スレッドの空気をよく表していました。

Bloombergが挙げていない「ハリウッド俳優のギャラ」に118件が向かった

面白いのは3番目です。ハリウッド俳優やセレブリティの起用に触れたコメントが118件あり、これはBloombergの記事が要因として挙げていない項目でした。報道された3つの理由を読んだうえで、読者が自分たちなりの「4つ目の理由」を足している形です。

最多の1,542票を集めたのは、ゲーム開発者としての一番の問題はそこではないか、ハリウッド俳優への執着と、声優より俳優を上に置く姿勢が予算に効いているはずだ、という指摘。288票の投稿は、ゲーム業界では有名でも本人はハリウッドで有名になりたいのだろう、ハリウッドの俳優を起用することが映画監督に一番近づける手段なのだ、と書いていました。どちらも匿名の投稿です。事実の裏づけとしてではなく、海外のファンがどこに原因を見ているかを示す材料として読んでください。

84件が2015年のコナミを持ち出し、「あのときと同じ言い分だ」と書いた

そして84件が、2015年のコナミとの決別へ話を戻しました。『メタルギアソリッドV』の開発が延び、予算がふくらみ、最終的に袂を分かった、あの件です。

582票を集めたのは、これはソニーの失点ではあるけれど『MGSV』とコナミのことを思い出してしまう、あのとき決別につながったのとまったく同じ理由だ、という投稿。563票のコメントは一行だけで、コナミが当時を思い出してフラッシュバックを起こしているだろう、と。156票の投稿はもう少し踏み込んで、コナミは確かにひどいやり方をしたけれど、同時に唯一の歯止めでもあったのではないか、と書いていました。

2015年当時、日本のゲーム会社の判断は海外でほぼ全面的に批判されました。10年経って、別の会社が同じ理由を挙げた途端、掲示板の空気が「あのときの言い分にも理があったのでは」の側へ振れている。日本のメーカーが海外でどう評価されるかは、その判断の中身だけでなく、あとから誰が同じことをするかでも変わるのだと、件数を数えながら感じました。

日本の商習慣を知る担当者がPlayStationに残っていない、という指摘が574票を集めた

もうひとつ、日本の読者に近い論点がありました。Bloombergの記事にある「日本でのビジネスは関係性がすべてで、この数十年コジマ氏と最も近い場所にいたPlayStationの幹部たちはもう社内にいない」という一節を、Schreier記者自身がBlueskyでも強調していて、それを引用したコメントが574票を集めています(Jason Schreier氏の投稿)。署名記事を書いた本人の発信なので、匿名の投稿とは分けて扱える材料です。

それに続く255票のコメントは、フロム・ソフトウェアがPlayStationと近い関係から離れていった流れも同じだ、本社がカリフォルニアへ移って日本のスタジオの多くが閉じられたときに、日本国内の橋はほとんど焼かれた、という見立てでした。これは個人の観測であって裏づけのある話ではありません。ただ、海外のファンがソニーの日本離れをどう理解しているかは伝わってきます。

予算と締切という言葉は、10年前に日本の会社が使ったものと同じ形をしている

『PHYSINT』自体はXBOXが引き取ったので、企画が消えたわけではありません。それでも今回の報道ではっきりしたのは、大作を抱えた日本のスタジオとプラットフォーム側の関係が、10年前と同じ場所でつまずくということでした。予算がふくらむ、締切が動く、独占が保証されない。理由の並びは、会社の国籍が変わっても同じまま。

931件を数えて一番はっきり見えたのは、海外のファンがこの件を「ソニーが悪いか、コジマプロダクションが悪いか」ではなく、「大作の作り方そのものが持たなくなってきた」という話として読んでいることでした。同じ構図は、いま大型タイトルを抱えている日本のメーカーのどこにでも当てはまります。次にこの言い分を口にするのがどこになるのか、しばらく見ておくつもりです。

編集部
吉沢まこと
Velleity Note 編集部 ・ Overseas Reception, Read Straight

日本のアニメ・ゲーム・音楽・カルチャーが海外でどう受け止められたかを、賛否そのままに、現地語の一次ソースで確かめてから日本語にしています。褒めるだけの国内報道とは違う角度で。続報があれば更新日を明記して追記します。