【アメリカ】2012年のロリポップチェーンソーが実写映画化。許諾はドラガミゲームズ、公式リリースに監督名はない

3行サマリー
- 2012年発売のゲーム『ロリポップチェーンソー』の実写映画化が、9月19日の東京ゲームショウ2026メインステージで発表されました。
- 日本語の公式リリースが名前を挙げた関係者は3人で、全員がプロデューサー職。監督・制作スタジオ・公開時期はどれも発表されていません。
- 原作を手掛けた須田剛一とジェームズ・ガン、リメイク版のプロデューサー安田善巳の3人は、日本語リリースでは「感謝の言葉」の宛先としてだけ登場します。
東京ゲームショウ2026のメインステージで実写映画化が発表、公式リリースに監督名はない
9月19日、幕張メッセの東京ゲームショウ2026メインステージで、ゲーム『ロリポップチェーンソー』の実写映画化が発表されました。翌20日にNADA HOLDINGS CORP.が配信した日本語のプレスリリースによると、実写映画のプロデューサーはKirk Shaw(Ambitious Entertainment CEO)とRobert Franke(Orange Chariot LLC Co-Founder)。IPプロデューサーとして結城崇史の名前があり、ライセンスを許諾しているのは株式会社Dragami Gamesです。名前が出てくるのはここまで。監督も、制作スタジオも、公開時期も書かれていません。
映画の中身については、英語圏の報道のほうが踏み込んでいます。Anime News Networkは、この映画がR指定のアクションコメディとして構想されており、原作ゲームより前の出来事を描くと伝えました。同じ記事は製作陣を5人挙げています。Kirk Shaw(『ハート・ロッカー』のアソシエイトプロデューサー)、Robert Franke(ZDF Studiosの元ドラマ担当VP)、Joe Teng(Nada Holdings創業者)、結城崇史(Throne Inc.マネージングディレクター)、Patricio Rabuffetti(Non Stop TV社長)。5人とも製作側の肩書きで、やはり監督はここに入っていません。
日本語リリースに公開時期もなく、創り手3人は「感謝の言葉」の宛先として出てくる
出典:シリーズ完全新作ゲーム『ロリポップチェーンソー 2 Back2Back』が世界初公開、東京ゲームショウ2026メインステージで実写映画化も電撃発表!(PR TIMES / NADA HOLDINGS CORP. / 2026年9月20日)
出典:Live-Action Lollipop Chainsaw Film Announced(Anime News Network / 2026年9月19日・日本時間)
オリジナルタイトルを手掛けられた須田剛一氏、ジェームズ・ガン氏、リメイク版『RePOP』のプロデューサー安田善巳氏や関係スタッフへの感謝の言葉
リリース全体を通して、3人の名前が出てくるのはこの一文だけです。3人が映画や新作ゲームに関わるとは書かれておらず、関わらないとも書かれていません。書かれているのは、ステージ上で感謝が述べられたという事実だけ。読んだときに引っかかったのはそこでした。安田善巳はリメイク版『ロリポップチェーンソー RePOP』のプロデューサーで、Anime News Networkの表記では角川ゲームスの元CEO、現在はDragami GamesのCEOにあたります。つまり現ライセンス元のトップまでが、関与者ではなく感謝の宛先の側に置かれているわけです。
2012年の原作は須田剛一と、映画監督になる前のジェームズ・ガンの合作だった
原作『ロリポップチェーンソー』は2012年に発売された、チアリーダーの女子高生がチェーンソーでゾンビを倒すアクションゲームです。ゲームデザインを須田剛一が率い、脚本には当時まだ『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を撮る前だったジェームズ・ガンが参加しました。Anime News Networkは端的に「The game was a collaboration between Gōichi Suda (Suda51) and filmmaker James Gunn.」と書いています。この2人の名前が並んでいたことが、この作品が14年経っても語られ続けてきた理由のかなりの部分を占めていました。
シリーズはいま、2つが同時に動いています。ひとつが今回の実写映画。もうひとつが完全新作『LOLLIPOP CHAINSAW 2 Back2Back』で、AUTOMATONは9月17日の記事で、対応プラットフォームはPS5、2027年発売予定と報じています。新作の開発はJP UNIVERSE株式会社です。並べてみると構図はかなりはっきりしていて、原作の看板だけが残り、その下にいる会社と人はほぼ総入れ替えになっている。ゲーム原作の映像化としては珍しくありませんが、この作品の場合、入れ替わった側にいるのが名前で客を呼べる2人だったところが難しい。なお東京ゲームショウ2026そのものは、最終日の9月21日が台風25号で終日中止になりました。実写映画の発表は、その前日のメインステージで行われています。
Gizmodoは「Dragamiからは2人のどちらの名前も出ていない」と書き、英語圏は監督不在より創り手不在を見た
英語圏の記事を並べると、力点が日本語リリースとはっきり違います。どの媒体も監督未発表そのものには驚いておらず、須田剛一とジェームズ・ガンがいないことに紙幅を割いていました。
Gizmodoの記者Justin Carterは9月19日の記事で、こう書いています。
Those hoping for Suda51 or Gunn to be involved may be left wanting, as there’s no mention of either from Dragami in Deadline’s writeup.
「Suda51かガンの関与を期待していた人はがっかりするかもしれない、Dragamiからはどちらの名前も出ていないので」という趣旨です。Gizmodoは記事全体では中立的な紹介にとどめていますが、この一文だけは留保なしでした。
Destructoidは同じ9月19日、2人が映画に「apparently not be returning」、つまり戻ってくる様子はないと表現しました。ComicBook.comはさらに踏み込んで、ジェームズ・ガンの関与は見込まれていない(is not expected to be involved)と書いています。ただしこれらはいずれも媒体側の観測であって、当事者の発表ではありません。
須田剛一とジェームズ・ガン本人からは、9月17日以降この件についての公式な発言は確認できていません。英語記事がしばしば引き合いに出すガンの「I neither endorse nor condemn it(支持も非難もしない)」という言葉は、2022年7月6日に本人がXに書いたもので、当時発表されたリメイク版『RePOP』について述べたものです。今回の実写映画や新作ゲームに向けられた発言ではありません。英語圏の記事でもこの2つが地続きに読めてしまう書き方になっているので、そこは切り分けて読む必要があります。
日本のファンが次に確かめるべきは、監督の名前と、2027年の新作に誰が残るか
日本語の公式リリースから確実に言えるのは、実写映画が動き出したこと、名前が出た関係者3人はいずれもプロデューサー職であること、そして原作と縁のある3人の名前は感謝の対象として出てきたこと。この3点です。R指定の前日譚という中身はAnime News Networkなど英語媒体の報道によるもので、監督も、制作スタジオも、公開時期も、まだ公表されていません。
海外の記事が「創り手がいない」ほうを先に書いたのは、彼らがこの作品を須田剛一とジェームズ・ガンの名前で記憶しているからです。日本のプレイヤーも事情は同じでしょう。原作の空気は企画書では再現できない種類のもので、だからこそ次の発表で誰の名前が並ぶかが、この企画の性格をそのまま示すことになります。2027年に出る予定のPS5版新作も含めて、見るべきはそこだと考えています。
